健全な短編【単車】
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※ジオウVSディケイド、ディケイド小説のネタバレを含みます。捏造多め。
*
「あはは、またゲームオーバーになっちゃったね」
夏海がいなくなってどれ程経った頃だろうか。ソイツは俺の目の前に現れた。無垢な笑みを浮かべ、まるで旧友にでも会うかのような足取りでやって来る。
「ほんと君、どの世界でもろくでもない人生を歩むよね」
「普通の人生なんてつまらないだろ?」
「はは、マゾかな」
「いきなり現れて随分言ってくれる…お前、何者だ?」
「君の恋人」
「は、そうだとしたらそっちの俺は趣味が悪いな」
「驚いた。こんなにあっさり話を飲み込んでくれるなんて」
女は巴柚葉と名乗り、ソファに腰を下ろした。ミニスカートであるにも関わらず足を組み、俺が飲もうとして淹れていたコーヒーを奪い取り喫する。苦い、といってカップを机に置いた彼女に少々苛立ち、「当たり前だろ」と言ってやる。
「もっと甘いのがいいな。ココアとかないの?」
「さっきゲームオーバーって言ったな、どういう意味だ」
「べっつにー?」
「言っておくが、俺はこの旅の終着点がゲームオーバーだったなんて思っていないぞ」
「前向きだね」
「前向きとは違う。ただの事実だ」
柚葉は小馬鹿にしたように笑った。
「何が可笑しい」
「結局どの世界でも士は士なんだね」
「はあ?」
「嫌いなんだよ」
笑みが消える。憎むように、慈しむように、哀れむように、俺を捕える瞳が揺れる。
「その目も、意志も…どうせろくな終わりじゃないって分かっているのに、進もうとする姿勢」
「何をどうしようかは俺の勝手だ。お前が決めることじゃない」
「またそんなこと言って」
「何なんだ、お前。俺の何を見てきたんだ」
「全て」
柚葉はカップを持ち、机に放り投げた。案の定カップは粉々に砕け、まだ熱いコーヒーが机にぶち撒けられる。現像した写真にも勿論それはかかり、ややピンの合っていない写真はシミなんてどころではなく元が分からないくらい汚された。
「おい!」
「もう良いんだよ。帰ろう、士」
俺の手を取り、縋るように見つめる。一瞬だが、こいつと一緒にいた「門矢士」がどうして柚葉を選んだのか分かったような気がした。俺は自分で思っている以上にお人好しで、こういう目に弱い。
「俺の帰るべき世界だ」
「やだ」
「やだって、お前…」
「士がいる限り戦いは終わらない。きっとこの世界の士も、いずれ…」
「そうだとしても俺は死なない。俺が負けることはない」
「ッ…負けたから言ってるんでしょ!?」
平手打ちをしようとする手を掴み、力強く抱きしめた。じたばたと暴れるからもっと力を強めるとようやく抵抗をやめる。泣きそうな声で柚葉はやめて、と呟くが随分好き勝手してくれた奴の要望を聞き入れるつもりはない。
「私はただ、士に幸せになってほしいだけなのに」
「毒親かお前は…」
「君がいけないんだ、君があんまりにも修羅の道を歩むから」
「……何があったかは知らんが、悪かったな。そっちの俺に代わって謝ってやる」
「許さない。どれだけ謝っても許さない。海東君の分まで私が痛めつけてやる」
「俺は痛めつけられても幸せにはならないぞ」
「うるさい」
「おい、俺の上着で鼻をかむなよ」
「泣いてないから」
さっきまでの威勢はどこへやら、彼女は鼻声で肩を震わせている。女の慰め方なんてしらないが、とりあえず恋仲だったのなら大丈夫だろうと判断して頭を撫でてやると、もっとやれと言わんばかりに頭を押し付けてきた。デカい猫かこいつは。
「ここの士が生きててよかった…」
「…」
「もう会えないと思ってた」
「……少し前に色々あって一人分部屋が空いてるんだ。場所くらいなら、ある」
「…いいの?私、夏海ちゃんの代わりなんてできないよ」
「そろそろ家政婦が欲しいと思っていたからな」
「家政婦じゃないから!」
「耳元で叫ぶな」
「こうなったら士の胃袋を掴んでメロメロにしてやる。何か食べたいものある?」
「オムレツ。だが、卵が足りないから買ってくるところからだ」
「じゃあすぐに行かないとね」
立ち上がり、駆け足で扉に向かっていく。ある光景がフラッシュバックしたが、それを振り払うように「気を付けて行ってこい」と言った。すると柚葉は腰に手を当てて「何言ってんの」と口を尖らせる。
「士も一緒に行くの!」
「な、」
「当たり前でしょ!」
へへ、と笑った彼女は、俺の手を掴んで外の世界へと連れ出した。
*
「あはは、またゲームオーバーになっちゃったね」
夏海がいなくなってどれ程経った頃だろうか。ソイツは俺の目の前に現れた。無垢な笑みを浮かべ、まるで旧友にでも会うかのような足取りでやって来る。
「ほんと君、どの世界でもろくでもない人生を歩むよね」
「普通の人生なんてつまらないだろ?」
「はは、マゾかな」
「いきなり現れて随分言ってくれる…お前、何者だ?」
「君の恋人」
「は、そうだとしたらそっちの俺は趣味が悪いな」
「驚いた。こんなにあっさり話を飲み込んでくれるなんて」
女は巴柚葉と名乗り、ソファに腰を下ろした。ミニスカートであるにも関わらず足を組み、俺が飲もうとして淹れていたコーヒーを奪い取り喫する。苦い、といってカップを机に置いた彼女に少々苛立ち、「当たり前だろ」と言ってやる。
「もっと甘いのがいいな。ココアとかないの?」
「さっきゲームオーバーって言ったな、どういう意味だ」
「べっつにー?」
「言っておくが、俺はこの旅の終着点がゲームオーバーだったなんて思っていないぞ」
「前向きだね」
「前向きとは違う。ただの事実だ」
柚葉は小馬鹿にしたように笑った。
「何が可笑しい」
「結局どの世界でも士は士なんだね」
「はあ?」
「嫌いなんだよ」
笑みが消える。憎むように、慈しむように、哀れむように、俺を捕える瞳が揺れる。
「その目も、意志も…どうせろくな終わりじゃないって分かっているのに、進もうとする姿勢」
「何をどうしようかは俺の勝手だ。お前が決めることじゃない」
「またそんなこと言って」
「何なんだ、お前。俺の何を見てきたんだ」
「全て」
柚葉はカップを持ち、机に放り投げた。案の定カップは粉々に砕け、まだ熱いコーヒーが机にぶち撒けられる。現像した写真にも勿論それはかかり、ややピンの合っていない写真はシミなんてどころではなく元が分からないくらい汚された。
「おい!」
「もう良いんだよ。帰ろう、士」
俺の手を取り、縋るように見つめる。一瞬だが、こいつと一緒にいた「門矢士」がどうして柚葉を選んだのか分かったような気がした。俺は自分で思っている以上にお人好しで、こういう目に弱い。
「俺の帰るべき世界だ」
「やだ」
「やだって、お前…」
「士がいる限り戦いは終わらない。きっとこの世界の士も、いずれ…」
「そうだとしても俺は死なない。俺が負けることはない」
「ッ…負けたから言ってるんでしょ!?」
平手打ちをしようとする手を掴み、力強く抱きしめた。じたばたと暴れるからもっと力を強めるとようやく抵抗をやめる。泣きそうな声で柚葉はやめて、と呟くが随分好き勝手してくれた奴の要望を聞き入れるつもりはない。
「私はただ、士に幸せになってほしいだけなのに」
「毒親かお前は…」
「君がいけないんだ、君があんまりにも修羅の道を歩むから」
「……何があったかは知らんが、悪かったな。そっちの俺に代わって謝ってやる」
「許さない。どれだけ謝っても許さない。海東君の分まで私が痛めつけてやる」
「俺は痛めつけられても幸せにはならないぞ」
「うるさい」
「おい、俺の上着で鼻をかむなよ」
「泣いてないから」
さっきまでの威勢はどこへやら、彼女は鼻声で肩を震わせている。女の慰め方なんてしらないが、とりあえず恋仲だったのなら大丈夫だろうと判断して頭を撫でてやると、もっとやれと言わんばかりに頭を押し付けてきた。デカい猫かこいつは。
「ここの士が生きててよかった…」
「…」
「もう会えないと思ってた」
「……少し前に色々あって一人分部屋が空いてるんだ。場所くらいなら、ある」
「…いいの?私、夏海ちゃんの代わりなんてできないよ」
「そろそろ家政婦が欲しいと思っていたからな」
「家政婦じゃないから!」
「耳元で叫ぶな」
「こうなったら士の胃袋を掴んでメロメロにしてやる。何か食べたいものある?」
「オムレツ。だが、卵が足りないから買ってくるところからだ」
「じゃあすぐに行かないとね」
立ち上がり、駆け足で扉に向かっていく。ある光景がフラッシュバックしたが、それを振り払うように「気を付けて行ってこい」と言った。すると柚葉は腰に手を当てて「何言ってんの」と口を尖らせる。
「士も一緒に行くの!」
「な、」
「当たり前でしょ!」
へへ、と笑った彼女は、俺の手を掴んで外の世界へと連れ出した。