健全な短編【単車】
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※復活のコアメダルネタバレあり
*
これは救いじゃない。答えでもない。こんなに残酷な物語が、君にとっての幸せの一つだったなんて、誰にも言わせない。
「夢を見たんだ」
「夢?」
「そう。君が死ぬ夢。誰かを庇って、火野君が死んでしまう夢さ」
「…なんか、俺らしい結末だね」
「笑い事ではないのだがね」
「ごめんごめん、でも夢の中だから」
夢の中の火野君は満足そうにしていた。やっと手が届いた、と。ボロボロになっても尚、人の身を案じていた。
「そうだね、所詮夢だ。君はここで生きている」
「でしょ?アンクが生き返るまで、俺は絶対に死ねないしさ」
「そうだとも。君はアンク君と共に歩むべきだ」
「なんかそう言われるとちょっと照れ臭いな…。アンクや比奈ちゃん達、勿論柚葉ちゃんもね」
「……ありがとう、火野君」
底なしに優しい。優し過ぎる彼は、こんなに汚れた私ですら共に歩む人だと言ってくれる。私も彼の手に救われた人間だ、許される限り彼の傍にいたい。そして彼は、きっと最期まで許してくれる。
「柚葉ちゃんも変わったよね。最初は野良猫みたいだったのに」
「そりゃあ、君と会えば誰だって変わるだろう。というか、野良猫とはなんだ野良猫は。それはアンク君だろう」
「あいつはまあ猫っていうか…インコだから」
「インコか。鷹と言ってあげないと、次に会った時に怒られるぞ」
「ああー確かに…悪いアンク、本心ではちゃんと鷹だって思ってるから!」
持っているメダルを慈しむように撫で、再び懐に入れる。こういう彼だからこそ、アンクも心を開いたのだろう。
「火野君、再々言うが困ったことがあれば何でも言ってくれ。君の為だ、どんな無理でもやってみせよう」
「ありがとう、柚葉ちゃん。あ、でも無茶はしないでね」
「いやいや、私の無茶は君の無茶に比べれば足元にも及ばないよ」
火野君が無茶をするような状況になんてなってほしくもない。きっとそれは本当にどうしようもないときで、世界の終わりのような状況なのだから。
*
「夢を見たんだ」
君が生きている夢。
窓から差し込む朝日が夢の終わりを告げた。シーツを握りしめ、がくりと項垂れる。全部夢だった。火野君の笑顔も、声も、体温も、鼓動も。全部全部、私の妄想と都合の良い願望に過ぎなかった。
笑ってほしかったんだ。ただ、火野君がアンク君と一緒に笑い合う未来が欲しかったんだ。あんなに優しい彼が、これ以上酷い目に遭う必要なんて絶対に無い。ただ人を助けたいだけのお人好しな旅人が、どうしてあんな目に遭わないといけないんだ。
「大分魘されていたな」
「……きっと、私だけではないだろう」
後藤君はふいと他のメンツを見た。女性陣はまだ寝ており、アンク君や伊達君はいない。散歩か、既に活動を開始しているか、眠れていないのか。後藤君は既に目が覚めているあたり、彼も熟睡できなかったのだろう。
「ひどいな…火野君は」
「…でも、それがアイツだから」
「…夢の中に出てこなくたって、いいじゃないか」
生きているとき以上に私達を苦しませるなんて罪な男だ。あの世に逝ったら、真っ先に文句を言ってやろう。私が天国に逝けたら、の話だが。
気が抜けると、目が痛いことに気が付いた。泣きながら寝てしまったせいで、涙が乾き張り付いてしまっていたらしい。痛みに耐えながらゴシゴシと目を擦っていると、「顔くらい洗ってこい」と言われてしまった。ごもっともである。
「…彼を永遠の孤独に閉じ込めてしまうことになった」
「…死ぬことは、お前にとって孤独なのか?」
「…心の中に生きているなんて綺麗事を言った奴がいたら私はそいつを迷いなく殺すね。彼が死んだことは事実で、死人とは会えない。生者とは会えない。」
火野君の温もりは永遠に失われてしまった。
この世から火野映司という青年は、生きている人間は、いなくなってしまった。残っているのは彼の記録と遺体。それすらもそのうち無くなり、やがて誰もが彼を忘れていく。
「…死ぬなよ」
「…約束はできない」
「火野が命を懸けて守った世界だ!」
「彼がいない世界なら死んだ方がマシだ!」
後藤君の言い分はきっと正しいのだろう。彼が守った今日が明日に繋がっている。彼が守った命が未来を紡いでいく。彼の死を無駄には、
「……無駄には、って何なんだ…!」
「…柚葉…」
「彼は誰にも汚させない…!彼は、火野君は…!」
誰かを許し、助け、救い、戦う彼はまぎれもなく、神さまだったのだから。
*
これは救いじゃない。答えでもない。こんなに残酷な物語が、君にとっての幸せの一つだったなんて、誰にも言わせない。
「夢を見たんだ」
「夢?」
「そう。君が死ぬ夢。誰かを庇って、火野君が死んでしまう夢さ」
「…なんか、俺らしい結末だね」
「笑い事ではないのだがね」
「ごめんごめん、でも夢の中だから」
夢の中の火野君は満足そうにしていた。やっと手が届いた、と。ボロボロになっても尚、人の身を案じていた。
「そうだね、所詮夢だ。君はここで生きている」
「でしょ?アンクが生き返るまで、俺は絶対に死ねないしさ」
「そうだとも。君はアンク君と共に歩むべきだ」
「なんかそう言われるとちょっと照れ臭いな…。アンクや比奈ちゃん達、勿論柚葉ちゃんもね」
「……ありがとう、火野君」
底なしに優しい。優し過ぎる彼は、こんなに汚れた私ですら共に歩む人だと言ってくれる。私も彼の手に救われた人間だ、許される限り彼の傍にいたい。そして彼は、きっと最期まで許してくれる。
「柚葉ちゃんも変わったよね。最初は野良猫みたいだったのに」
「そりゃあ、君と会えば誰だって変わるだろう。というか、野良猫とはなんだ野良猫は。それはアンク君だろう」
「あいつはまあ猫っていうか…インコだから」
「インコか。鷹と言ってあげないと、次に会った時に怒られるぞ」
「ああー確かに…悪いアンク、本心ではちゃんと鷹だって思ってるから!」
持っているメダルを慈しむように撫で、再び懐に入れる。こういう彼だからこそ、アンクも心を開いたのだろう。
「火野君、再々言うが困ったことがあれば何でも言ってくれ。君の為だ、どんな無理でもやってみせよう」
「ありがとう、柚葉ちゃん。あ、でも無茶はしないでね」
「いやいや、私の無茶は君の無茶に比べれば足元にも及ばないよ」
火野君が無茶をするような状況になんてなってほしくもない。きっとそれは本当にどうしようもないときで、世界の終わりのような状況なのだから。
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「夢を見たんだ」
君が生きている夢。
窓から差し込む朝日が夢の終わりを告げた。シーツを握りしめ、がくりと項垂れる。全部夢だった。火野君の笑顔も、声も、体温も、鼓動も。全部全部、私の妄想と都合の良い願望に過ぎなかった。
笑ってほしかったんだ。ただ、火野君がアンク君と一緒に笑い合う未来が欲しかったんだ。あんなに優しい彼が、これ以上酷い目に遭う必要なんて絶対に無い。ただ人を助けたいだけのお人好しな旅人が、どうしてあんな目に遭わないといけないんだ。
「大分魘されていたな」
「……きっと、私だけではないだろう」
後藤君はふいと他のメンツを見た。女性陣はまだ寝ており、アンク君や伊達君はいない。散歩か、既に活動を開始しているか、眠れていないのか。後藤君は既に目が覚めているあたり、彼も熟睡できなかったのだろう。
「ひどいな…火野君は」
「…でも、それがアイツだから」
「…夢の中に出てこなくたって、いいじゃないか」
生きているとき以上に私達を苦しませるなんて罪な男だ。あの世に逝ったら、真っ先に文句を言ってやろう。私が天国に逝けたら、の話だが。
気が抜けると、目が痛いことに気が付いた。泣きながら寝てしまったせいで、涙が乾き張り付いてしまっていたらしい。痛みに耐えながらゴシゴシと目を擦っていると、「顔くらい洗ってこい」と言われてしまった。ごもっともである。
「…彼を永遠の孤独に閉じ込めてしまうことになった」
「…死ぬことは、お前にとって孤独なのか?」
「…心の中に生きているなんて綺麗事を言った奴がいたら私はそいつを迷いなく殺すね。彼が死んだことは事実で、死人とは会えない。生者とは会えない。」
火野君の温もりは永遠に失われてしまった。
この世から火野映司という青年は、生きている人間は、いなくなってしまった。残っているのは彼の記録と遺体。それすらもそのうち無くなり、やがて誰もが彼を忘れていく。
「…死ぬなよ」
「…約束はできない」
「火野が命を懸けて守った世界だ!」
「彼がいない世界なら死んだ方がマシだ!」
後藤君の言い分はきっと正しいのだろう。彼が守った今日が明日に繋がっている。彼が守った命が未来を紡いでいく。彼の死を無駄には、
「……無駄には、って何なんだ…!」
「…柚葉…」
「彼は誰にも汚させない…!彼は、火野君は…!」
誰かを許し、助け、救い、戦う彼はまぎれもなく、神さまだったのだから。