健全な短編【単車】
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「まだ、お眠りにならないのですか?魔王様」
「……柚葉か」
魔王様──人々はオーマジオウと呼び畏れる──が腰を下ろす玉座の間に、私は足音も立てずやって来た。深夜に訪れるのは無礼極まりないことだが、そもそもの私の役目を考えれば昼間よりも人々が眠った時間帯の方が相応しい。
「もし宜しければ、千夜一夜物語に肖って私めが何か……」
「いや、その必要はない」
こちらへ来い、と手招きされて畏れ多くも魔王様の元に近付く。しかし君主はもっと近付けと仰られる。つまりはその、触れてしまう距離のことだ。
「い、いえしかし…私のような下賤の者が…」
「ならば命令だ。私の元に来い」
「……は」
恐る恐る、身を寄せると抱き寄せられた。多くの者を従わせ、平伏させるその手が、私の腰に添えられる。この方の御膝に乗らせていただいたのなんて、私くらいではないだろうか。
「……重くは、ありませんか」
「お前一人くらい、乗せていないのとそう変わりはしない」
「……流石です、魔王様」
私の胸に耳を当てられる。緊張しているのを悟られないように、平常心を保とうするが、恐らくこのお方には全てお見通しだろう。
「…私の心臓は、動いておりますか」
「…ああ。まるで時計の針のように時を刻んでいる。人は変わるものだが──これだけは、変わらないな」
人は変わる。つまりそれは、魔王様に刃向かう愚かな奴等…レジスタンスのことを言っているのだろう。
「…蛮族共が、また何かしている模様です」
「無意味なことを…」
「全くです。崩壊も近いというのに無駄な足掻きをして…意地の悪い」
魔王様が手を下さずとも、私にお任せしていただけたら──などという烏滸がましいことは具申しない。忠実な従者とは、王命にのみ従うものだ。
「魔王様、どうか…どうか、貴方様の道に、祝福があらんことを」
「……柚葉か」
魔王様──人々はオーマジオウと呼び畏れる──が腰を下ろす玉座の間に、私は足音も立てずやって来た。深夜に訪れるのは無礼極まりないことだが、そもそもの私の役目を考えれば昼間よりも人々が眠った時間帯の方が相応しい。
「もし宜しければ、千夜一夜物語に肖って私めが何か……」
「いや、その必要はない」
こちらへ来い、と手招きされて畏れ多くも魔王様の元に近付く。しかし君主はもっと近付けと仰られる。つまりはその、触れてしまう距離のことだ。
「い、いえしかし…私のような下賤の者が…」
「ならば命令だ。私の元に来い」
「……は」
恐る恐る、身を寄せると抱き寄せられた。多くの者を従わせ、平伏させるその手が、私の腰に添えられる。この方の御膝に乗らせていただいたのなんて、私くらいではないだろうか。
「……重くは、ありませんか」
「お前一人くらい、乗せていないのとそう変わりはしない」
「……流石です、魔王様」
私の胸に耳を当てられる。緊張しているのを悟られないように、平常心を保とうするが、恐らくこのお方には全てお見通しだろう。
「…私の心臓は、動いておりますか」
「…ああ。まるで時計の針のように時を刻んでいる。人は変わるものだが──これだけは、変わらないな」
人は変わる。つまりそれは、魔王様に刃向かう愚かな奴等…レジスタンスのことを言っているのだろう。
「…蛮族共が、また何かしている模様です」
「無意味なことを…」
「全くです。崩壊も近いというのに無駄な足掻きをして…意地の悪い」
魔王様が手を下さずとも、私にお任せしていただけたら──などという烏滸がましいことは具申しない。忠実な従者とは、王命にのみ従うものだ。
「魔王様、どうか…どうか、貴方様の道に、祝福があらんことを」