健全な短編【単車】
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※マイティノベルネタバレあり
*
泣きそうな顔に嗜虐心が疼いたと言えば、きっと彼は幻滅するだろう。嫌悪感を示すように目を細め、そうやってジトリと私を見つめる、いや、睨み付けるのだ。普段よりもワントーン低い声で私の名前を呼び、可愛らしくも絶望的な圧を掛ける。
「…だから僕、きっと…柚葉さんの思うような人間じゃないんです…」
ぽっかり心に空いた穴。空洞。水晶のような心を持つ彼は、何もない自身のことを6年という長くも短い期間を空けて打ち明けた。マイティノベルX。檀黎斗が仕掛けたタチの悪いゲームで紐解かれた永夢のこと。
要するに、彼は私のことを見くびったのだ。
笑顔の眩しい聖人君子の宝生永夢は所詮演技で、自分は巴柚葉に求められるような輝く人間ではないのだと。だから別れよう。今まであなたを騙していてごめんなさい。
「…ふざけないで」
「…すみません…」
「本当に信じらんない。君、それでも仮面ライダーなの?」
「…そうですよね…だって…こんなの…」
項垂れる永夢の胸倉を掴む。一切抵抗しない彼を引き寄せ、その可愛らしい額に頭突きをかましてやった。痛ッ、と言って思わず額を押さえようとする彼の腕を掴み、そのまま勢いよく唇を奪ってやった。ガチ、と歯がぶつかったことにも構わず彼を見ると、目を丸くして頬を赤らめている永夢と目が合った。
「な…ッ」
「…永夢」
「は、歯大丈夫ですか!?すごい勢いでしたけど…!」
「…歯が折れる程度で君と熱烈なキスが出来るのなら喜んでキスしたいな」
キスをした事実に初々しく反応する永夢。君本当に5年付き合った彼氏なのか。やることはやってるだろうに。
「…事実を聞いたとき、こう思ったよ。永夢を救ってあげたい、とね。烏滸がましいにも程があるが…もう十分私は救われたからさ」
「そんな…僕は別に、何も…」
「どれだけの人間が君に救われたと思ったのさ。今度は私達が救う番だ。例え今までの君が空洞だったとしても、これから埋めていけばいい。埋まらないのなら、それでもいい。だってそれが、宝生永夢なんだろう」
「……それじゃあ、僕が騙していたことに対する答えになっていません…」
「鈍いなあ。どんな永夢でも好きだということだよ。騙されていたなんてとんでもない。君のことをまた一つ知れて嬉しいくらいなんだから」
「…柚葉さん…」
ゲーマーMの強気な永夢。医者として患者を支え、笑顔にする永夢。ゲームが好きで、少しドジな永夢。そして、水晶であり空洞という永夢の本質。どれもかけがえのない宝物だ。宝生永夢を構成する要素に過ぎず、全部ひっくるめて宝生永夢になる。
きっとこれは、結局他人事であるからそう考えられてしまうのだろう。永夢本人からすれば非常に深刻な問題だからこそこんなに真摯に向き合ってくれているのに、私はそれに対しキス一つで応えるという暴挙に出てしまった。
「…柚葉さんって、その…僕のこと結構好きですよね」
「…永夢は嫌い?私のこと」
「え!?も、もちろん好きですよ!大好きです!」
「あはは、嬉しいなあ」
「…どうして僕に、そんなに優しくしてくれるんですか。僕は…何もないのに。自分の命を投げ出すくらい…空洞なのに」
「まだそんなことを言わせるのか」
どうしようもなく君が好きだからだよと言い、彼を抱き寄せる。石鹸の匂いがする白衣。トクトクと鳴る心臓と体温。もさもさした黒髪。戸惑う声。一つ一つを噛みしめ、実感し、ぎゅうと抱きしめると、「僕で猫吸いをしないでください」と不服そうな声が聞こえた。無視しておいた。
*
泣きそうな顔に嗜虐心が疼いたと言えば、きっと彼は幻滅するだろう。嫌悪感を示すように目を細め、そうやってジトリと私を見つめる、いや、睨み付けるのだ。普段よりもワントーン低い声で私の名前を呼び、可愛らしくも絶望的な圧を掛ける。
「…だから僕、きっと…柚葉さんの思うような人間じゃないんです…」
ぽっかり心に空いた穴。空洞。水晶のような心を持つ彼は、何もない自身のことを6年という長くも短い期間を空けて打ち明けた。マイティノベルX。檀黎斗が仕掛けたタチの悪いゲームで紐解かれた永夢のこと。
要するに、彼は私のことを見くびったのだ。
笑顔の眩しい聖人君子の宝生永夢は所詮演技で、自分は巴柚葉に求められるような輝く人間ではないのだと。だから別れよう。今まであなたを騙していてごめんなさい。
「…ふざけないで」
「…すみません…」
「本当に信じらんない。君、それでも仮面ライダーなの?」
「…そうですよね…だって…こんなの…」
項垂れる永夢の胸倉を掴む。一切抵抗しない彼を引き寄せ、その可愛らしい額に頭突きをかましてやった。痛ッ、と言って思わず額を押さえようとする彼の腕を掴み、そのまま勢いよく唇を奪ってやった。ガチ、と歯がぶつかったことにも構わず彼を見ると、目を丸くして頬を赤らめている永夢と目が合った。
「な…ッ」
「…永夢」
「は、歯大丈夫ですか!?すごい勢いでしたけど…!」
「…歯が折れる程度で君と熱烈なキスが出来るのなら喜んでキスしたいな」
キスをした事実に初々しく反応する永夢。君本当に5年付き合った彼氏なのか。やることはやってるだろうに。
「…事実を聞いたとき、こう思ったよ。永夢を救ってあげたい、とね。烏滸がましいにも程があるが…もう十分私は救われたからさ」
「そんな…僕は別に、何も…」
「どれだけの人間が君に救われたと思ったのさ。今度は私達が救う番だ。例え今までの君が空洞だったとしても、これから埋めていけばいい。埋まらないのなら、それでもいい。だってそれが、宝生永夢なんだろう」
「……それじゃあ、僕が騙していたことに対する答えになっていません…」
「鈍いなあ。どんな永夢でも好きだということだよ。騙されていたなんてとんでもない。君のことをまた一つ知れて嬉しいくらいなんだから」
「…柚葉さん…」
ゲーマーMの強気な永夢。医者として患者を支え、笑顔にする永夢。ゲームが好きで、少しドジな永夢。そして、水晶であり空洞という永夢の本質。どれもかけがえのない宝物だ。宝生永夢を構成する要素に過ぎず、全部ひっくるめて宝生永夢になる。
きっとこれは、結局他人事であるからそう考えられてしまうのだろう。永夢本人からすれば非常に深刻な問題だからこそこんなに真摯に向き合ってくれているのに、私はそれに対しキス一つで応えるという暴挙に出てしまった。
「…柚葉さんって、その…僕のこと結構好きですよね」
「…永夢は嫌い?私のこと」
「え!?も、もちろん好きですよ!大好きです!」
「あはは、嬉しいなあ」
「…どうして僕に、そんなに優しくしてくれるんですか。僕は…何もないのに。自分の命を投げ出すくらい…空洞なのに」
「まだそんなことを言わせるのか」
どうしようもなく君が好きだからだよと言い、彼を抱き寄せる。石鹸の匂いがする白衣。トクトクと鳴る心臓と体温。もさもさした黒髪。戸惑う声。一つ一つを噛みしめ、実感し、ぎゅうと抱きしめると、「僕で猫吸いをしないでください」と不服そうな声が聞こえた。無視しておいた。
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