おちたツキ【暴太郎・ソノイ】
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久しぶりに喫茶どんぶらへやって来た。ソノイさんは屋台をしている為私一人だ。
どんぶらにはマスターしかいなかった。以前はウェイトレスとして働いていたはるかちゃんもソノザさんもいない。
「随分ご無沙汰だね」
マスターはそう言ってレモンティーを提供した。久しぶりの再会だというのに特に話しかけてくることはなく、ドリンクの提供が終わったら相変わらず文庫本を読んでいる。それでも店主なのだろうか。
「みんなは?元気?」
「さあ?」
「さあ、って…」
「…最近は、誰も来ていないよ」
「…やっぱりそうなんだ」
あの時のような騒がしさはない。私は別に、ドンブラザーズに深く関わっていた訳ではないが…それでも寂しいと、思う。
「マスターは寂しくないの?」
「寂しくないよ」
「どうして?」
「物語は、人が望む限り続いていくから」
どういう意味、なのだろう。よくわからない。
「巴柚葉」
「えっ…あ、はい」
「君は…近いうちに、不幸になる」
「え…」
「ソノイと居れば、決して幸せとは言えない道を辿ることになる」
私が…不幸に?ソノイさんと一緒に、いると…。
思い当たる節は正直無い。だって、私は彼と一緒にいられるだけで幸せだ。彼と歩む道に不幸が起きようとも、それはただの障害物、乗り越えるものでしかない。
「そんなこと…」
「あるよ」
「っ…何で!?」
「ドンブラザーズは、あの時から変わっていないと思う?」
「…それは…」
「人は変化し続ける。変化していく限り、日常に絶対も永遠も無い」
無慈悲な言葉だった。確かに、ドンブラザーズはタロウ君の休養を区切りに変わっていってしまった。タロウ君がいなくなろうともドンブラザーズは変わらない…と思っていたが、現実はそうじゃなかった。
私とソノイさんの生活にも、いずれ変化が訪れる。
「……怖い、ね」
「受け入れるしかない」
「そうだけど…」
「それに……それを嫌だと思うのなら、抗えばいい」
「え…」
「物語の登場人物に、抗う力はない。でも、生者には…運命を変えようとする力がある。君が運命に抗おうとしてどうなるかはわからないけど…巴柚葉は、生きている」
私は、生きている。鼓動も、肉体も、魂も。まだ、ここにある。理不尽に抗う権利がある。私達の人生は、作者という神様に決められる創作じゃないから。
「…そうだね。この先どうなるのかは分からないし…どうにもならない苦しいことだって、あるのかもしれない。でも、向き合い方は自由だから。どうにかしてみせるよ。失敗したおでんだって、軌道修正できたもんね」
「軌道修正したのは君じゃないけど…」
「野暮なこと言わないで」
でも、訪れる不幸がソノイさんに捨てられるとかだったら嫌だな…。ソノイさんに限って浮気なんて無いだろうけど、変化した私のことが嫌になるっていうのは捨てきれないし…。
どうかそういうのではありませんようにと祈り、ストローでレモンティーを混ぜた。
どんぶらにはマスターしかいなかった。以前はウェイトレスとして働いていたはるかちゃんもソノザさんもいない。
「随分ご無沙汰だね」
マスターはそう言ってレモンティーを提供した。久しぶりの再会だというのに特に話しかけてくることはなく、ドリンクの提供が終わったら相変わらず文庫本を読んでいる。それでも店主なのだろうか。
「みんなは?元気?」
「さあ?」
「さあ、って…」
「…最近は、誰も来ていないよ」
「…やっぱりそうなんだ」
あの時のような騒がしさはない。私は別に、ドンブラザーズに深く関わっていた訳ではないが…それでも寂しいと、思う。
「マスターは寂しくないの?」
「寂しくないよ」
「どうして?」
「物語は、人が望む限り続いていくから」
どういう意味、なのだろう。よくわからない。
「巴柚葉」
「えっ…あ、はい」
「君は…近いうちに、不幸になる」
「え…」
「ソノイと居れば、決して幸せとは言えない道を辿ることになる」
私が…不幸に?ソノイさんと一緒に、いると…。
思い当たる節は正直無い。だって、私は彼と一緒にいられるだけで幸せだ。彼と歩む道に不幸が起きようとも、それはただの障害物、乗り越えるものでしかない。
「そんなこと…」
「あるよ」
「っ…何で!?」
「ドンブラザーズは、あの時から変わっていないと思う?」
「…それは…」
「人は変化し続ける。変化していく限り、日常に絶対も永遠も無い」
無慈悲な言葉だった。確かに、ドンブラザーズはタロウ君の休養を区切りに変わっていってしまった。タロウ君がいなくなろうともドンブラザーズは変わらない…と思っていたが、現実はそうじゃなかった。
私とソノイさんの生活にも、いずれ変化が訪れる。
「……怖い、ね」
「受け入れるしかない」
「そうだけど…」
「それに……それを嫌だと思うのなら、抗えばいい」
「え…」
「物語の登場人物に、抗う力はない。でも、生者には…運命を変えようとする力がある。君が運命に抗おうとしてどうなるかはわからないけど…巴柚葉は、生きている」
私は、生きている。鼓動も、肉体も、魂も。まだ、ここにある。理不尽に抗う権利がある。私達の人生は、作者という神様に決められる創作じゃないから。
「…そうだね。この先どうなるのかは分からないし…どうにもならない苦しいことだって、あるのかもしれない。でも、向き合い方は自由だから。どうにかしてみせるよ。失敗したおでんだって、軌道修正できたもんね」
「軌道修正したのは君じゃないけど…」
「野暮なこと言わないで」
でも、訪れる不幸がソノイさんに捨てられるとかだったら嫌だな…。ソノイさんに限って浮気なんて無いだろうけど、変化した私のことが嫌になるっていうのは捨てきれないし…。
どうかそういうのではありませんようにと祈り、ストローでレモンティーを混ぜた。
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