おちたツキ【暴太郎・ソノイ】
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人間に想いを寄せた者は処刑される。それが脳人の掟。そうソノニに言いつつも、ソノイ達も彼女同様人間に情が入ってしまった事実を受け入れた。
許しの輪の名前も出たが「脳人の歴史の汚点になる」とソノイはこれを拒否する。そしてとうとうソノシ、ソノゴ、ソノロクによって拠点としていた脳人レイヤーを追い出されてしまった。行く当てを失った彼らは喫茶どんぶらにやって来て、柚葉が見守る中ドンブラザーズと同じ席に着いた。
「つまり君達は脳人をクビになった。そしてソノシ達が君らに代わって仕事を引き継ぐ。そういうことだな?」
「そういうことだ」
「あの…それで、雉野は?なんとかならないの?前にタロウを助けてくれた時みたいに…」
「無理だ。あの時とは条件が異なる」
「そんな…じゃあ雉野はもう…」
「ところで、タロウはどうした?」
「犬塚翼は?」
脳人に斬られた雉野など眼中にもないような感じでソノイは店内を見渡した。だが、タロウと犬塚はジロウと共に華果村に行った為不在である。
「それがわからない…。ジロウの故郷に行った筈なんだが…」
「恐らく、向こうでも何か起こっている」
全員にコーヒーを運んでくるマスター。タロウや犬塚は雉野がヒトツ鬼になった際召喚されなかったことを根拠に、彼はそう言った。
「ならばタロウに伝えてくれ。私達と手を組もう、と」
「今や敵は同じだ。問題あるまい」
「どうかな…。タロウが”はい”と言うとは思えない…。昨日まで敵だった君達とすぐに同盟を結ぶとは…。大体、君達は今まで多くの人間を消去してきたのではないのか?」
その言葉は三人に重く圧し掛かった。特に、柚葉を助けた際の分が加算されているソノイにとっては。柚葉は消去された人間のことなどソノイ自身に比べれば気にもしていないようだが、ソノイが浮かない顔をしたのを見て不安そうにした。
「ではどうすれば…?」
「まずは誠意を見せてほしい」
すると、ソノニが猿原に俳句を教えてほしい、と頼んだ。自身の得意分野を突かれた猿原は分かりやすく反応し、一句詠みそうになる。だが、「そんなことで騙されないぞ」と彼女を再び警戒した。
「しかし誠意とは…?」
「一般的に人間界で誠意とは…金のことだ」
「違う!もっと心のこもった誠意を…やめなさい!」
マスターが指で丸を作ったのを猿原が手でたしなめた。
「マスターもそんな仕草するんだね…」
「…柚葉はどうなんだ。仮にも、君の知り合いは殆どがヒトツ鬼になってソノイに消されているだろう。そんな彼らがドンブラザーズと同じ側になるのは…」
「いいよ」
「ええっ?」
「私は…みんなとソノイさん達が仲良くしていると、凄く嬉しいから」
そう言って指でハートを作り、ニコニコとソノイに向かって笑いかけた。
*
脳人三人衆が出て行き、猿原とはるかも召喚された為喫茶どんぶらには柚葉とマスターが残った。レモンティーを飲みながら、彼女はマスターに話しかける。
「そういえば、前にタロウ君を助けたって言ってたけど…。あれどういうこと?何があったの?」
「…ソノイは、以前桃井タロウを倒している。だが、うんぬんかんぬんすればタロウが蘇ることを知っていた」
「ということは…消去された人って、生きてるの?」
「…恐らく」
「…じゃあ…もしかしたら、取り戻せるかもしれないんだね…」
「…取り戻したい?」
「…人は…やっぱり好きだから」
カップに口を付け、そう告げる柚葉。それに沈黙で返したマスターに、続けて彼女は語る。
「私…今までは、人間はみんな平等に好きだった。でも、ソノイさんやみんなと出会ってからは…優先順位がつくようになっちゃった。ご飯を一緒に食べるならソノイさんやみんながいい。誰でもいいとか、知らない人でも選ぶとか、そういうのが無くなったの」
「…それは、君にとって良いこと?」
「…どう、なんだろう。人を比べて自分の中で順序を付けるって、生きていく上で当たり前のように見えて結構残酷だとは思うけど…」
「でも…今の君の方が、楽しそうだよ」
マスターがそう言うと、柚葉は目を丸くする。しかしすぐに目を細め、口角を緩めた。
許しの輪の名前も出たが「脳人の歴史の汚点になる」とソノイはこれを拒否する。そしてとうとうソノシ、ソノゴ、ソノロクによって拠点としていた脳人レイヤーを追い出されてしまった。行く当てを失った彼らは喫茶どんぶらにやって来て、柚葉が見守る中ドンブラザーズと同じ席に着いた。
「つまり君達は脳人をクビになった。そしてソノシ達が君らに代わって仕事を引き継ぐ。そういうことだな?」
「そういうことだ」
「あの…それで、雉野は?なんとかならないの?前にタロウを助けてくれた時みたいに…」
「無理だ。あの時とは条件が異なる」
「そんな…じゃあ雉野はもう…」
「ところで、タロウはどうした?」
「犬塚翼は?」
脳人に斬られた雉野など眼中にもないような感じでソノイは店内を見渡した。だが、タロウと犬塚はジロウと共に華果村に行った為不在である。
「それがわからない…。ジロウの故郷に行った筈なんだが…」
「恐らく、向こうでも何か起こっている」
全員にコーヒーを運んでくるマスター。タロウや犬塚は雉野がヒトツ鬼になった際召喚されなかったことを根拠に、彼はそう言った。
「ならばタロウに伝えてくれ。私達と手を組もう、と」
「今や敵は同じだ。問題あるまい」
「どうかな…。タロウが”はい”と言うとは思えない…。昨日まで敵だった君達とすぐに同盟を結ぶとは…。大体、君達は今まで多くの人間を消去してきたのではないのか?」
その言葉は三人に重く圧し掛かった。特に、柚葉を助けた際の分が加算されているソノイにとっては。柚葉は消去された人間のことなどソノイ自身に比べれば気にもしていないようだが、ソノイが浮かない顔をしたのを見て不安そうにした。
「ではどうすれば…?」
「まずは誠意を見せてほしい」
すると、ソノニが猿原に俳句を教えてほしい、と頼んだ。自身の得意分野を突かれた猿原は分かりやすく反応し、一句詠みそうになる。だが、「そんなことで騙されないぞ」と彼女を再び警戒した。
「しかし誠意とは…?」
「一般的に人間界で誠意とは…金のことだ」
「違う!もっと心のこもった誠意を…やめなさい!」
マスターが指で丸を作ったのを猿原が手でたしなめた。
「マスターもそんな仕草するんだね…」
「…柚葉はどうなんだ。仮にも、君の知り合いは殆どがヒトツ鬼になってソノイに消されているだろう。そんな彼らがドンブラザーズと同じ側になるのは…」
「いいよ」
「ええっ?」
「私は…みんなとソノイさん達が仲良くしていると、凄く嬉しいから」
そう言って指でハートを作り、ニコニコとソノイに向かって笑いかけた。
*
脳人三人衆が出て行き、猿原とはるかも召喚された為喫茶どんぶらには柚葉とマスターが残った。レモンティーを飲みながら、彼女はマスターに話しかける。
「そういえば、前にタロウ君を助けたって言ってたけど…。あれどういうこと?何があったの?」
「…ソノイは、以前桃井タロウを倒している。だが、うんぬんかんぬんすればタロウが蘇ることを知っていた」
「ということは…消去された人って、生きてるの?」
「…恐らく」
「…じゃあ…もしかしたら、取り戻せるかもしれないんだね…」
「…取り戻したい?」
「…人は…やっぱり好きだから」
カップに口を付け、そう告げる柚葉。それに沈黙で返したマスターに、続けて彼女は語る。
「私…今までは、人間はみんな平等に好きだった。でも、ソノイさんやみんなと出会ってからは…優先順位がつくようになっちゃった。ご飯を一緒に食べるならソノイさんやみんながいい。誰でもいいとか、知らない人でも選ぶとか、そういうのが無くなったの」
「…それは、君にとって良いこと?」
「…どう、なんだろう。人を比べて自分の中で順序を付けるって、生きていく上で当たり前のように見えて結構残酷だとは思うけど…」
「でも…今の君の方が、楽しそうだよ」
マスターがそう言うと、柚葉は目を丸くする。しかしすぐに目を細め、口角を緩めた。