おちたツキ【暴太郎・ソノイ】
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あの後ヒトツ鬼になった雉野さんを追ってみんなは店を出て行ってしまった。マスターにも「今日は疲れたから閉店」と店を追い出され、その日は結局家に帰ることになってしまった。
が、後日。おでんを食べに行こうとドンブラザーズのみんなに誘ってもらえた。おでんを食べに行くだけなのでいつもの格好で向かうと、既にみんなが席に着いていた。タロウ君の隣に座り、即座にたまごを頼む。
「そういえば、雉野さん元に戻ったの?」
「ああ。俺の新しい力でな」
「良かった~。でも、ドンブラザーズもヒトツ鬼になっちゃうもんなんだね…」
「あいつは二回目だ」
「二回目!?どんだけ欲望あるの雉野さん…」
ヒトツ鬼に一瞬なったとはいえ、すぐに戻ったはるかちゃんと教授って結構精神力強かったんだな…。
そんなことを思っていると、後ろで車が走る音がした。ただ車が通っただけかと思っておでんを食べていると、誰かが暖簾を捲る。
全員が振り返ると、そこには何故かタキシードやドレス、紋付き袴を着た脳人三人がいた。
「おお、いらっしゃい!青年、詰めて詰めて!さあ、どうぞどうぞ!」
「そっ、そそ、ソノイさんっ!?」
何故故にタキシード…?と思ったが、それよりも。か、かっこよすぎる。いつもの変な服を着ていても相当な美男だったのだ。普通の服を着ればそりゃあとんでもなく様になる。
詰めて、と言われたものの、ソノイさんはタロウ君の隣に座りたいのではないかと思って私は席を譲った。当たり前のようにしてタロウ君の隣にいったので、すみません、とソノニさんに言って大人しくソノイさんの隣に陣取らせてもらう。役得だ。
「驚いたな。まさかここで会うとは」
「何か問題が?」
「ここは人間の店だ。脳人が…来ていいのか?」
「よせ。おでんはおでん。みんなのものだ」
「そうだよ教授、ご飯はみんなに平等なんだから」
そう言ってソノイさんに目配せしてみたが、ガン無視。
「こっちの青年、何にします?」
脳人三人はおでんを初めて見るのだろう。ジロジロと観察し、ソノイさんはたまご、ソノニさんははんぺん、ソノザさんはさつま揚げを頼んだ。
ソノイさんはおでんのルーツについて語り始めたが、タロウ君は「おでんを食べるのに余計な知識はいらない」と一刀両断してしまった。
たまごを食べたソノイさんは「美味い」と言い、どうやら気に入ったようである。良かった、同じたまご好きだった。
次にタロウ君がからしを差し出した。ソノイさんは箸にからしを付けたかと思いきや、ダイレクトで口に運ぶ。
「あっソノイさん…からしはそのまま食べるんじゃなくて…」
「うっ…!」
彼の目から涙が一筋零れた。心なしか赤い涙だ。
「痩せ我慢をするな。涙が出ているぞ」
タロウ君は若干楽しそうにそれを見ていた。彼がここまで楽しそうにするのも珍しい。タロウ君を見たあとにソノイさんを見つめると、ソノイさんの目の色やネクタイの色が赤から青に戻っていた。
「…違う。おでんの力だ。私が今まで食べたものでも上位に位置する味。初めて食べたのに、不思議と故郷を思い出すような…」
「!い、今の言い方…。元に戻ったのか、ソノイ!」
「ソノイさん…正気を取り戻して…」
「何の話だ?私はずっと私のままだが…」
いや、散々「俺」とか「お供」とか言ってましたけど…。
それより、元のソノイさんに戻って、ついでにその状態でタキシード姿を至近距離で見れるなんて眼福過ぎる。生きていて良かった。並んでいるせいか肩が少しぶつかることすら嬉しくて、心地よい。
「故郷か…。青年、いいこと言うねえ。ポエムだねえ。はい、サービス」
大根をサービスしてもらい、嬉しそうにタロウ君に微笑むソノイさん。可愛い。私に向ける微笑みとは全然違う。というか、何だか雰囲気自体が以前と変わったような気がする。前はもっと自他共に厳しい人という印象だったが、今は少し柔らかくなったというか…。
「そういえば、何故あなたがここに?あなたもドンブラザーズなんですか?」
「私は、タロウ君達に誘われただけで…。ただの一般人です」
「…額に、何か書かれていますが…」
「あっこれは…この間ソノイさんに書いてもらって…」
「私が…?」
首を傾げたが、ソノイさんは取り出したハンカチで私の額を拭いてくれた。…ハンカチで!?態々私の額を!?
「油性ペンで書かれたのでしょうか…かなり濃く書かれていますね…」
「あっ…い、良いんです!ご褒美みたいなものなので!」
「そうですか?まあ、いずれ取れるでしょう」
「は、はいっ……取れなくても、全然良いんですけど……」
元に戻って、前よりも穏やかになって、しかも、頭を触ってもらえた。
ああ私…今日死んでもいいかも……。
が、後日。おでんを食べに行こうとドンブラザーズのみんなに誘ってもらえた。おでんを食べに行くだけなのでいつもの格好で向かうと、既にみんなが席に着いていた。タロウ君の隣に座り、即座にたまごを頼む。
「そういえば、雉野さん元に戻ったの?」
「ああ。俺の新しい力でな」
「良かった~。でも、ドンブラザーズもヒトツ鬼になっちゃうもんなんだね…」
「あいつは二回目だ」
「二回目!?どんだけ欲望あるの雉野さん…」
ヒトツ鬼に一瞬なったとはいえ、すぐに戻ったはるかちゃんと教授って結構精神力強かったんだな…。
そんなことを思っていると、後ろで車が走る音がした。ただ車が通っただけかと思っておでんを食べていると、誰かが暖簾を捲る。
全員が振り返ると、そこには何故かタキシードやドレス、紋付き袴を着た脳人三人がいた。
「おお、いらっしゃい!青年、詰めて詰めて!さあ、どうぞどうぞ!」
「そっ、そそ、ソノイさんっ!?」
何故故にタキシード…?と思ったが、それよりも。か、かっこよすぎる。いつもの変な服を着ていても相当な美男だったのだ。普通の服を着ればそりゃあとんでもなく様になる。
詰めて、と言われたものの、ソノイさんはタロウ君の隣に座りたいのではないかと思って私は席を譲った。当たり前のようにしてタロウ君の隣にいったので、すみません、とソノニさんに言って大人しくソノイさんの隣に陣取らせてもらう。役得だ。
「驚いたな。まさかここで会うとは」
「何か問題が?」
「ここは人間の店だ。脳人が…来ていいのか?」
「よせ。おでんはおでん。みんなのものだ」
「そうだよ教授、ご飯はみんなに平等なんだから」
そう言ってソノイさんに目配せしてみたが、ガン無視。
「こっちの青年、何にします?」
脳人三人はおでんを初めて見るのだろう。ジロジロと観察し、ソノイさんはたまご、ソノニさんははんぺん、ソノザさんはさつま揚げを頼んだ。
ソノイさんはおでんのルーツについて語り始めたが、タロウ君は「おでんを食べるのに余計な知識はいらない」と一刀両断してしまった。
たまごを食べたソノイさんは「美味い」と言い、どうやら気に入ったようである。良かった、同じたまご好きだった。
次にタロウ君がからしを差し出した。ソノイさんは箸にからしを付けたかと思いきや、ダイレクトで口に運ぶ。
「あっソノイさん…からしはそのまま食べるんじゃなくて…」
「うっ…!」
彼の目から涙が一筋零れた。心なしか赤い涙だ。
「痩せ我慢をするな。涙が出ているぞ」
タロウ君は若干楽しそうにそれを見ていた。彼がここまで楽しそうにするのも珍しい。タロウ君を見たあとにソノイさんを見つめると、ソノイさんの目の色やネクタイの色が赤から青に戻っていた。
「…違う。おでんの力だ。私が今まで食べたものでも上位に位置する味。初めて食べたのに、不思議と故郷を思い出すような…」
「!い、今の言い方…。元に戻ったのか、ソノイ!」
「ソノイさん…正気を取り戻して…」
「何の話だ?私はずっと私のままだが…」
いや、散々「俺」とか「お供」とか言ってましたけど…。
それより、元のソノイさんに戻って、ついでにその状態でタキシード姿を至近距離で見れるなんて眼福過ぎる。生きていて良かった。並んでいるせいか肩が少しぶつかることすら嬉しくて、心地よい。
「故郷か…。青年、いいこと言うねえ。ポエムだねえ。はい、サービス」
大根をサービスしてもらい、嬉しそうにタロウ君に微笑むソノイさん。可愛い。私に向ける微笑みとは全然違う。というか、何だか雰囲気自体が以前と変わったような気がする。前はもっと自他共に厳しい人という印象だったが、今は少し柔らかくなったというか…。
「そういえば、何故あなたがここに?あなたもドンブラザーズなんですか?」
「私は、タロウ君達に誘われただけで…。ただの一般人です」
「…額に、何か書かれていますが…」
「あっこれは…この間ソノイさんに書いてもらって…」
「私が…?」
首を傾げたが、ソノイさんは取り出したハンカチで私の額を拭いてくれた。…ハンカチで!?態々私の額を!?
「油性ペンで書かれたのでしょうか…かなり濃く書かれていますね…」
「あっ…い、良いんです!ご褒美みたいなものなので!」
「そうですか?まあ、いずれ取れるでしょう」
「は、はいっ……取れなくても、全然良いんですけど……」
元に戻って、前よりも穏やかになって、しかも、頭を触ってもらえた。
ああ私…今日死んでもいいかも……。