お姉様ナンバーワン!【50・ブーケ】
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久しぶりに城に戻って来ると、お姉様だけがいた。椅子に腰かけて俯いており、どこか儚く、危うい。
「只今戻りました、お姉様」
「!柚葉…!」
お姉様は立ち上がるとあたしの方に駆け寄ってきて、思い切りぎゅうと抱きついてきた。
「ッ!!?」
「何日もどこに行っていたんですか…!?こんなに心配させて…!」
花とフルーツが混ざったような匂いが、する。すごく、良い匂いだ。文字通り花束と果実のようで、心が明るくなる。
だが、それ以上にあたしの体は熱を帯びていた。触れ合う体。柔らかな肌、ふわふわの髪。そっと後ろに手を回せば、指先を艶のある髪がすり抜けていく。
「…も、申し訳ございません、ご心配をおかけしてしまい…」
「全く…。留守にするのならせめて伝言くらい残してください。ファイヤキャンドルさん達も心配していたんですよ」
「はい…」
「あなたがいなければパーツの調達や補給も進みませんし…私としても、あなたがいないのは非常に困ります」
「っ、お姉様が、あたしを……?」
「?何です?」
「……あたしなんかを、必要としてくださるんですか…?」
面倒くさい──いや、事実として面倒くさい彼女のようなことを言ってしまった。彼女はパチパチと瞬きしたあと、「ええ」と至極当然のように頷く。
「あなたは、必要な存在です」
「…お姉様……」
「そんなに卑下することはありません。あなたは、胸を張って補給隊長としての使命を全うすれば良いのです」
「はい…」
「私を姉と呼び慕ってくれるのであれば、その気持ちを功績で示してください。勿論、無理に戦闘に参加しろとは言いません。出来ることを、するだけで良いのです」
ああ、なんて慈悲。なんて慈愛。
頬を寄せたくなる気持ちをぐっと堪えた。我慢した。お姉様にその気がないのに、そんなことをしてはいけない。──少しだけ匂いを嗅いでしまったのは、自省しておく。
お姉様は、仕事仲間としてあたしを求めて下さっている。それでもいい。それだけでも、十分だ。少なくとも、お姉様にとってあたしは「いらない子」なんかじゃない。出来ることをやれば良いのだと、道を示して下さっている。
「お熱いね」
白百合の花が咲き誇るような空間を穢すように──クオンがやって来た。飄々とした態度でこちらに近付いてくる為、お姉様を隠すように前へ出る。
「何の用?」
「怖いなあ。そんなに僕が嫌いかい?」
「どの口が……。ゴジュウウルフを倒せない負け犬のくせに……」
「…」
ゴジュウウルフの名を出せば、分かりやすく彼は反応した。ぴく、と眉間にシワが寄る。微笑を崩してはいないが、明らかに苛ついていた。
「この前は少し言葉選びを間違えてしまったんだ。気分を害してしまったのなら、謝るよ」
「謝罪なんていらないし、聞かない。どうしても許しが欲しいというのなら、ウルフに倣って三回回って鳴けば考えてやらなくもない」
「柚葉…?どうしたんですか、急に…?」
「ああ…彼女はね──」
「生成 」
大鎌を生成し、クオンに刃を突き付ける。流石の彼もそうすれば黙らざるを得なかった。
「…わかったよ」
「立ち去って」
クオンをこの場から追い出し、あたしは「申し訳ございません」とお姉様に謝った。
「見苦しいところをお見せしてしまい…」
「…あなたは、クオンさんが嫌いなんですか?」
「…好意的には、思っていません。彼は…狂気に満ちています」
「…そうですか」
「…お姉様が仲良くやれと仰るのなら、従います」
「いえ…強要はしません。あなたにも、あなたなりの考えがあるのでしょう」
「…ありがとうございます」
そこで会話は終わり、お姉様は行ってしまった。髪が靡いた瞬間また良い匂いがして、眩暈がした。くらくらする。
熱に浮かされるというのは、こういうことを言うのだろうか。
「只今戻りました、お姉様」
「!柚葉…!」
お姉様は立ち上がるとあたしの方に駆け寄ってきて、思い切りぎゅうと抱きついてきた。
「ッ!!?」
「何日もどこに行っていたんですか…!?こんなに心配させて…!」
花とフルーツが混ざったような匂いが、する。すごく、良い匂いだ。文字通り花束と果実のようで、心が明るくなる。
だが、それ以上にあたしの体は熱を帯びていた。触れ合う体。柔らかな肌、ふわふわの髪。そっと後ろに手を回せば、指先を艶のある髪がすり抜けていく。
「…も、申し訳ございません、ご心配をおかけしてしまい…」
「全く…。留守にするのならせめて伝言くらい残してください。ファイヤキャンドルさん達も心配していたんですよ」
「はい…」
「あなたがいなければパーツの調達や補給も進みませんし…私としても、あなたがいないのは非常に困ります」
「っ、お姉様が、あたしを……?」
「?何です?」
「……あたしなんかを、必要としてくださるんですか…?」
面倒くさい──いや、事実として面倒くさい彼女のようなことを言ってしまった。彼女はパチパチと瞬きしたあと、「ええ」と至極当然のように頷く。
「あなたは、必要な存在です」
「…お姉様……」
「そんなに卑下することはありません。あなたは、胸を張って補給隊長としての使命を全うすれば良いのです」
「はい…」
「私を姉と呼び慕ってくれるのであれば、その気持ちを功績で示してください。勿論、無理に戦闘に参加しろとは言いません。出来ることを、するだけで良いのです」
ああ、なんて慈悲。なんて慈愛。
頬を寄せたくなる気持ちをぐっと堪えた。我慢した。お姉様にその気がないのに、そんなことをしてはいけない。──少しだけ匂いを嗅いでしまったのは、自省しておく。
お姉様は、仕事仲間としてあたしを求めて下さっている。それでもいい。それだけでも、十分だ。少なくとも、お姉様にとってあたしは「いらない子」なんかじゃない。出来ることをやれば良いのだと、道を示して下さっている。
「お熱いね」
白百合の花が咲き誇るような空間を穢すように──クオンがやって来た。飄々とした態度でこちらに近付いてくる為、お姉様を隠すように前へ出る。
「何の用?」
「怖いなあ。そんなに僕が嫌いかい?」
「どの口が……。ゴジュウウルフを倒せない負け犬のくせに……」
「…」
ゴジュウウルフの名を出せば、分かりやすく彼は反応した。ぴく、と眉間にシワが寄る。微笑を崩してはいないが、明らかに苛ついていた。
「この前は少し言葉選びを間違えてしまったんだ。気分を害してしまったのなら、謝るよ」
「謝罪なんていらないし、聞かない。どうしても許しが欲しいというのなら、ウルフに倣って三回回って鳴けば考えてやらなくもない」
「柚葉…?どうしたんですか、急に…?」
「ああ…彼女はね──」
「
大鎌を生成し、クオンに刃を突き付ける。流石の彼もそうすれば黙らざるを得なかった。
「…わかったよ」
「立ち去って」
クオンをこの場から追い出し、あたしは「申し訳ございません」とお姉様に謝った。
「見苦しいところをお見せしてしまい…」
「…あなたは、クオンさんが嫌いなんですか?」
「…好意的には、思っていません。彼は…狂気に満ちています」
「…そうですか」
「…お姉様が仲良くやれと仰るのなら、従います」
「いえ…強要はしません。あなたにも、あなたなりの考えがあるのでしょう」
「…ありがとうございます」
そこで会話は終わり、お姉様は行ってしまった。髪が靡いた瞬間また良い匂いがして、眩暈がした。くらくらする。
熱に浮かされるというのは、こういうことを言うのだろうか。