お姉様ナンバーワン!【50・ブーケ】
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城から離れて数日人間界を歩いていると、恋人の関係にあるのは男女のペアが多いことに気付いた。男が女の手をとり、女が男に微笑みかける。書籍もそういったものの方が多かった。男性同士の恋愛はボーイズラブ、女性同士の恋愛はガールズラブと呼ばれているらしい。
あたしは、お姉様とは違う。お姉様のような、離れた場所から見つめるだけでいいという思考にはなれない。あたしはもっと、お姉様とお近づきになりたい。出来ればその、恋人になりたい。手を繋いだり、花を見て笑い合いたい。その瞳に、あたしだけを映してほしい。
「…はあ……」
大きなため息を吐き、休憩スペースのようなところにあったテーブルに突っ伏す。どうやっても、あたしとお姉様はガールズラブになれない。
「どうしたの?何か悩みがあるなら、独り言みたいな感じでもいいから話してみてほしいな」
いつの間にか誰か来ていた。これが所謂声掛けといったものなのだろうか。こういうのは無視に限る。
「僕は君の笑顔が見たいな」
「……好きな人が、あたしに振り向いてくれない……」
無視が得策だ。それなのに、つい口にしてしまった。余計に顔が上げ辛い。あたしは突っ伏したまま、ポツポツと謎の通りすがりに内情を話してしまった。
「好きな人には、他に好きな人がいて…。あたしはその人の幸せを願わないといけないのに、モヤモヤして…イライラして……。結局あたしは、自分のことしか頭にないサイテーな奴で…」
「そんなことないよ。誰だって、上手くいかない時はそう思うんだ」
「…ずっと上手くいかない。どれだけ尽くしても、あの人から返事は返ってこない。あの人の目には、あたしなんて映ってない」
「…辛いね。でも、君は好きな人の幸せを願うべきだと分かっている。それは、凄く難しいことなんだ。だから、君はとても優しくて素敵な子だよ」
「……そうなのかな…」
あたしは、自分が思っている以上に酷い奴だ。誰かを殺したいと思う気持ちだって、本望ではないと言いつつも結局抱き続けている。あたしは青いテガソードも、クオンも、殺したい。エゴのままに、暴力を振るおうとしている。
「僕の言葉は無責任かもしれない。君の恋路を保証することもできない。でも、君の頑張りや優しさを僕は知っている。君のその心は、まさしく本物の恋で、愛だよ」
「……そう思って、いいのかな」
「良いんだよ。だって君にとっての一番は、その人なんだよね?」
「……うん…。あたしは…あたしが死んでも、あの人が幸せに生きているなら…それで良い」
「うん。君はやっぱり、優しい子だよ。ほら、可愛い顔を上げて。僕に笑顔を見せてほしいな」
ふっと心が軽くなった気がした。
確かに、あたしはサイテーな奴なのかもしれない。でも、この人間はそんなあたしを肯定してくれた。もしもあたしが気持ちを伝えられないまま死んだとしても、この人間だけは覚えていてくれる。あたしの気持ちは独りよがりなものなんじゃなくて、相手を一番に見据えた愛なんだって言ってくれる。
パッと顔を上げた。せめて礼の一つでも伝えておこう。
「うん、思った通り素敵な子だ」
──百夜陸王。
何度も見た。見させられた。写真も、イラストも、映像も。お姉様の瞳に映る、一番星。
それが今、あたしの向かい側に座って笑っている。
「百夜陸王……!!?」
「知ってくれているんだ、嬉しいな。今はオフだから、内緒だよ」
「……ッ」
陸王は微笑み、人差し指を立てた。そして立ち上がり、「君の愛、僕はちゃんと分かっているからね」と満面の笑みを見せる。きっと、こんな表情もお姉様は、欲しているのだろう。
彼は行ってしまった。少し甘い香水の匂いが残っており、鼻をつく。
──百夜陸王が、あたしの愛を、肯定する?
どの口が。どの口が、どの口が!分かって堪るか、分かられて堪るか!お前のせいで!お前のせいで何もかもめちゃくちゃなのに!お姉様を可笑しくしたのも、あたしを可笑しくしたのも、お前なのに!
「ふざけるな………ッ!」
バン!!とテーブルを叩いた。変化が、必要だ。早く、女王様の願いを叶えなければならない。
新世界の創造。それが上手くいけば、お姉様だって──。
あたしは、お姉様とは違う。お姉様のような、離れた場所から見つめるだけでいいという思考にはなれない。あたしはもっと、お姉様とお近づきになりたい。出来ればその、恋人になりたい。手を繋いだり、花を見て笑い合いたい。その瞳に、あたしだけを映してほしい。
「…はあ……」
大きなため息を吐き、休憩スペースのようなところにあったテーブルに突っ伏す。どうやっても、あたしとお姉様はガールズラブになれない。
「どうしたの?何か悩みがあるなら、独り言みたいな感じでもいいから話してみてほしいな」
いつの間にか誰か来ていた。これが所謂声掛けといったものなのだろうか。こういうのは無視に限る。
「僕は君の笑顔が見たいな」
「……好きな人が、あたしに振り向いてくれない……」
無視が得策だ。それなのに、つい口にしてしまった。余計に顔が上げ辛い。あたしは突っ伏したまま、ポツポツと謎の通りすがりに内情を話してしまった。
「好きな人には、他に好きな人がいて…。あたしはその人の幸せを願わないといけないのに、モヤモヤして…イライラして……。結局あたしは、自分のことしか頭にないサイテーな奴で…」
「そんなことないよ。誰だって、上手くいかない時はそう思うんだ」
「…ずっと上手くいかない。どれだけ尽くしても、あの人から返事は返ってこない。あの人の目には、あたしなんて映ってない」
「…辛いね。でも、君は好きな人の幸せを願うべきだと分かっている。それは、凄く難しいことなんだ。だから、君はとても優しくて素敵な子だよ」
「……そうなのかな…」
あたしは、自分が思っている以上に酷い奴だ。誰かを殺したいと思う気持ちだって、本望ではないと言いつつも結局抱き続けている。あたしは青いテガソードも、クオンも、殺したい。エゴのままに、暴力を振るおうとしている。
「僕の言葉は無責任かもしれない。君の恋路を保証することもできない。でも、君の頑張りや優しさを僕は知っている。君のその心は、まさしく本物の恋で、愛だよ」
「……そう思って、いいのかな」
「良いんだよ。だって君にとっての一番は、その人なんだよね?」
「……うん…。あたしは…あたしが死んでも、あの人が幸せに生きているなら…それで良い」
「うん。君はやっぱり、優しい子だよ。ほら、可愛い顔を上げて。僕に笑顔を見せてほしいな」
ふっと心が軽くなった気がした。
確かに、あたしはサイテーな奴なのかもしれない。でも、この人間はそんなあたしを肯定してくれた。もしもあたしが気持ちを伝えられないまま死んだとしても、この人間だけは覚えていてくれる。あたしの気持ちは独りよがりなものなんじゃなくて、相手を一番に見据えた愛なんだって言ってくれる。
パッと顔を上げた。せめて礼の一つでも伝えておこう。
「うん、思った通り素敵な子だ」
──百夜陸王。
何度も見た。見させられた。写真も、イラストも、映像も。お姉様の瞳に映る、一番星。
それが今、あたしの向かい側に座って笑っている。
「百夜陸王……!!?」
「知ってくれているんだ、嬉しいな。今はオフだから、内緒だよ」
「……ッ」
陸王は微笑み、人差し指を立てた。そして立ち上がり、「君の愛、僕はちゃんと分かっているからね」と満面の笑みを見せる。きっと、こんな表情もお姉様は、欲しているのだろう。
彼は行ってしまった。少し甘い香水の匂いが残っており、鼻をつく。
──百夜陸王が、あたしの愛を、肯定する?
どの口が。どの口が、どの口が!分かって堪るか、分かられて堪るか!お前のせいで!お前のせいで何もかもめちゃくちゃなのに!お姉様を可笑しくしたのも、あたしを可笑しくしたのも、お前なのに!
「ふざけるな………ッ!」
バン!!とテーブルを叩いた。変化が、必要だ。早く、女王様の願いを叶えなければならない。
新世界の創造。それが上手くいけば、お姉様だって──。