お姉様ナンバーワン!【50・ブーケ】
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柚葉が生成された日。
所謂、彼女は末っ子だった。Mr.シャイニングナイフ&Mrs.スイートケーク、ブーケ、ファイヤキャンドル。彼らがブライダンの隊長として加入、生成された順番は不明だが、柚葉は一番最後に生成された人工生命体だった。
テガジューンにより生成され、目を開けた柚葉。彼女の前には既に隊長の座に着いている三人(+一人)が立っており、ブーケが前に出た。
「”幸福の柚葉”。この者には、補給隊長として動いてもらう」
「おはようございます、柚葉さん。ご気分はいかがですか?」
柚葉はぼうっとした様子でブーケを見つめていたが、「あ、」と口を開いた。
「……あた、しは…柚葉……。幸福、の…」
「そうです。自分の役割はわかりますよね?私はブライダンテクニカル隊長、”慈愛のブーケ”と申します」
そう言ってブーケが彼女の手をとる。柚葉は握られた手をまじまじと見つめ、やがてゆっくりと頬を赤らめ、手を払って後ろに尻餅をついてしまった。
「あっ……あ……」
「だ、大丈夫ですか!?もしかして、私の力加減が間違っていましたか…?」
「……いえ…」
そのまま、そわそわと辺りを見渡す。ブライダンのメンバーの様子を一瞥したあと、最後にブーケを見上げた。手を差し出されているが、その手をとらずに自分で立ち上がり、後ろで手を組む。
「……失礼いたしました。お気遣い、不要です」
「…そうですか…?」
「…あと…その、呼び方に…”さん”を付けないでいただきたいです…」
「えっ、どうしてです?」
「…あたし、一番最後みたいなので…。年功序列というか…あなたは、先輩ですから…」
「?わかりました…。では、よろしくお願いしますね、柚葉」
ブーケが微笑むと、柚葉は更に顔を赤くした。お願いします…、と小さな声で返事し、俯いて床を見つめる。
そんな彼女の様子を見て、Mr.シャイニングナイフ&Mrs.スイートケークは何やら感じるところがあったのか沈黙を貫き見守っていた。だが、ファイヤキャンドルは全く感じ取っていないようでブーケの隣に並び立った。
「”幸福の柚葉”か…。じゃあ、ブーケ嬢と同じで柚葉嬢だな。俺はブライダン特攻隊長、”不敗のファイヤキャンドル”だ!」
「あっそ…」
「えっ…?なんか、態度全然違くねぇか…?」
「ファイヤキャンドルさん。柚葉は生成されたばかりですし、いきなり距離を詰めたら怖がっちゃいますよ?」
「お、おう…悪ぃ…」
その後彼女はMr.シャイニングナイフ&Mrs.スイートケークと挨拶を交わした。こちらへの態度は普通で、ファイヤキャンドル程の塩対応は見られない。
「シャイニングナイフと…スイートケークと…ファイヤキャンドルと…」
ちらり、とブーケを見つめる。
「…ブーケ、様」
「う~ん…?堅苦しくないですか…?」
「……なら、他の案を考えておきます」
「お願いします」
*
数日後、ブーケと柚葉が二人で話し込んでいた。
「あの、人間関係における呼び方を色々と覚えたのですが…」
「良いものはありましたか?」
「………お姉様、はどうでしょう?」
「お、お姉様……」
予想以上の変化球だったのかブーケは驚いて口元に手を当てた。しかし提案した本人である柚葉はここ最近、様々な書籍やデータを学習していたことを思い出す。きっと、沢山学び、悩み、その呼び方を導き出したのだろう、と。
「…ええ、構いませんよ。その呼び方でお願いします」
「!ありがとうございます…お姉様」
柚葉は嬉しそうに目を輝かせた。初めて見る表情にブーケは口元を綻ばせる。少し無機質、見た目通り日本人形のような印象を受けていた為、生き生きとした表情をする彼女を見て安心感を抱いたのである。
「柚葉。これから、女王様の為に共に頑張りましょうね」
「…はい。あたし、頑張ります。ずっと…ずっと…」
柚葉の運命の歯車が動き出した日。彼女が、まだ一人の少女として無垢だった時間。
この出会いの時間が、ブーケにとって一瞬だったのか、永遠だったのかは分からない。ただ柚葉にとっては、あまりにも強烈で、永遠過ぎて…いつしか彼女の中でここだけ時が止まってしまった。そしていずれ、「生成されたときのことはよく覚えてない」と思うようになってしまったのである。
所謂、彼女は末っ子だった。Mr.シャイニングナイフ&Mrs.スイートケーク、ブーケ、ファイヤキャンドル。彼らがブライダンの隊長として加入、生成された順番は不明だが、柚葉は一番最後に生成された人工生命体だった。
テガジューンにより生成され、目を開けた柚葉。彼女の前には既に隊長の座に着いている三人(+一人)が立っており、ブーケが前に出た。
「”幸福の柚葉”。この者には、補給隊長として動いてもらう」
「おはようございます、柚葉さん。ご気分はいかがですか?」
柚葉はぼうっとした様子でブーケを見つめていたが、「あ、」と口を開いた。
「……あた、しは…柚葉……。幸福、の…」
「そうです。自分の役割はわかりますよね?私はブライダンテクニカル隊長、”慈愛のブーケ”と申します」
そう言ってブーケが彼女の手をとる。柚葉は握られた手をまじまじと見つめ、やがてゆっくりと頬を赤らめ、手を払って後ろに尻餅をついてしまった。
「あっ……あ……」
「だ、大丈夫ですか!?もしかして、私の力加減が間違っていましたか…?」
「……いえ…」
そのまま、そわそわと辺りを見渡す。ブライダンのメンバーの様子を一瞥したあと、最後にブーケを見上げた。手を差し出されているが、その手をとらずに自分で立ち上がり、後ろで手を組む。
「……失礼いたしました。お気遣い、不要です」
「…そうですか…?」
「…あと…その、呼び方に…”さん”を付けないでいただきたいです…」
「えっ、どうしてです?」
「…あたし、一番最後みたいなので…。年功序列というか…あなたは、先輩ですから…」
「?わかりました…。では、よろしくお願いしますね、柚葉」
ブーケが微笑むと、柚葉は更に顔を赤くした。お願いします…、と小さな声で返事し、俯いて床を見つめる。
そんな彼女の様子を見て、Mr.シャイニングナイフ&Mrs.スイートケークは何やら感じるところがあったのか沈黙を貫き見守っていた。だが、ファイヤキャンドルは全く感じ取っていないようでブーケの隣に並び立った。
「”幸福の柚葉”か…。じゃあ、ブーケ嬢と同じで柚葉嬢だな。俺はブライダン特攻隊長、”不敗のファイヤキャンドル”だ!」
「あっそ…」
「えっ…?なんか、態度全然違くねぇか…?」
「ファイヤキャンドルさん。柚葉は生成されたばかりですし、いきなり距離を詰めたら怖がっちゃいますよ?」
「お、おう…悪ぃ…」
その後彼女はMr.シャイニングナイフ&Mrs.スイートケークと挨拶を交わした。こちらへの態度は普通で、ファイヤキャンドル程の塩対応は見られない。
「シャイニングナイフと…スイートケークと…ファイヤキャンドルと…」
ちらり、とブーケを見つめる。
「…ブーケ、様」
「う~ん…?堅苦しくないですか…?」
「……なら、他の案を考えておきます」
「お願いします」
*
数日後、ブーケと柚葉が二人で話し込んでいた。
「あの、人間関係における呼び方を色々と覚えたのですが…」
「良いものはありましたか?」
「………お姉様、はどうでしょう?」
「お、お姉様……」
予想以上の変化球だったのかブーケは驚いて口元に手を当てた。しかし提案した本人である柚葉はここ最近、様々な書籍やデータを学習していたことを思い出す。きっと、沢山学び、悩み、その呼び方を導き出したのだろう、と。
「…ええ、構いませんよ。その呼び方でお願いします」
「!ありがとうございます…お姉様」
柚葉は嬉しそうに目を輝かせた。初めて見る表情にブーケは口元を綻ばせる。少し無機質、見た目通り日本人形のような印象を受けていた為、生き生きとした表情をする彼女を見て安心感を抱いたのである。
「柚葉。これから、女王様の為に共に頑張りましょうね」
「…はい。あたし、頑張ります。ずっと…ずっと…」
柚葉の運命の歯車が動き出した日。彼女が、まだ一人の少女として無垢だった時間。
この出会いの時間が、ブーケにとって一瞬だったのか、永遠だったのかは分からない。ただ柚葉にとっては、あまりにも強烈で、永遠過ぎて…いつしか彼女の中でここだけ時が止まってしまった。そしていずれ、「生成されたときのことはよく覚えてない」と思うようになってしまったのである。
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