お姉様ナンバーワン!【50・ブーケ】
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お姉様は相変わらず、百夜陸王という男のグッズで祭壇とやらを作っている。その様子は、楽しそうで、幸せそうで、とても美しい。
あたしじゃ、どう足掻いても引き出せない表情。クールなお姉様をあっという間に魅了してしまったということは…陸王にはそういう、魔性の何かがあるのだろう。
「…おねえさ、」
声をかけようとした瞬間、突然空間が歪んだ。ハートが飛び散り、薄暗くネオンが光る場所に連れ出される。恐らくこれは、ノーワンの仕業だ。同じ空間には人間の女と百夜陸王、そしてシャイニングナイフとスイートケークがいた。あと、この部屋を生成したであろうノーワンも。
「ここは一体…」
「突然呼び寄せるなんてなんのつもりで……。ッ…!!!」
ノーワンを問いただそうとしたお姉様の視線が陸王に向けられた。彼を見つけた瞬間お姉様はノーワンの後ろに隠れ、チラチラと様子を窺う。見たい、でも直視はできない、それでも見たい。そう言いたげな表情だ。…あたしも、普段ああいう行動をとっているのだろうか。
「対決の審査員を是非お願いしたいのです。Mr.シャイニングナイフ&Mrs.スイートケーク様。そしてブー…」
ブーケ、と言おうとしたノーワンの足をお姉様が踏みつけた。黙れ、ということらしい。
「ただの一般人ですが…お手伝いさせていただきます!」
いつもとは違う、所謂「作っている声」だ。黄色い歓声のような、興奮した声とは違う。少し吐息を含んだ、子猫のような声。ただ息をしているだけでも可憐な乙女を体現しているお姉様が、更に小女性を増している。
そんな態度をとられても陸王は少し微笑むだけだった。この野郎お姉様にこれだけさせておいてその態度は何だ切り落とすぞ──というのは胸の内に仕舞い、「あたしはパスする。どうせ呼ばれてもいないんだろう」と背を向けた。
「申し訳ございません。そちらの…一般人の方と、座標が近かったものですから、つい巻き込んでしまいました」
「あたしには構わず好きにすればいい」
「ありがとうございます」
はあ、と溜め息を吐いて部屋の隅に向かう。陸王とノーワンが向かい合い、どこからかアーイーがやって来た。
「さあ始まりました!第一回ときめきナンバーワン対決。司会は私、マイク・ゴセイックが務めます。それでは早速参りましょう。ラウンド1、先攻ときめきノーワン。お題は──」
そこからは、実に馬鹿馬鹿しいナンバーワン対決が始まった。お題に合わせてときめきノーワンと陸王が、審査員の心を動かすような行動をとる。勿論お姉様は陸王に札を上げ続け、彼が人間界の常識で言うロマンチックで甘い行動や言葉を使う程きゃあきゃあと声を上げた。
所詮陸王もこの程度か。所詮は人間。つまらないものだ。
どうせならお姉様の前で恥でもかかせて、幻滅させてやろうかと魔が差しかけたとき、ナンバーワン対決は最終決戦に移った。
浜辺で、「ずっと君に恋してる、ミーと付き合ってくれ」と直球で勝負を仕掛けるときめきノーワン。どこか悲しそうな顔の女。歓声を上げるスイートケーク。微動だにしないお姉様。
「これは直球!決まったか!?」
続いて、陸王が女と浜辺を歩く。二人は何か会話をした後、陸王は己について語り始めた。
「僕は、何にも興味を持たない子供だった。まるで心が曇ったガラス玉のようで…。だけど、アイドルになってみんなの笑顔を見てガラスはどんどん磨かれていった。世界が輝き始めたんだ」
どこからか取り出したガラス玉を親指と人差し指でつまむ。そこに映っているのは、アイドルとしての百夜陸王か、それとも人としての百夜陸王か。
「だけどある日、僕を妬んだ誰かが根も葉もない噂を流して…僕は表舞台から引き摺り下ろされた。…それでも負けない。僕は必ず、アイドルナンバーワンになってみせるよ。僕が僕である為に…」
ガラス玉を握り締め、彼は笑った。
「…なんてね」
「…ふーん……」
「おおっと!これは最後に変化球を打ってきた!」
「かっこいいだけじゃなくてそんな過去まであったなんて…!もう、ダメ……!」
「!お姉様!?お気を確かに!」
ばたりと机に突っ伏すお姉様に声を掛けるが、反応はない。機能停止状態という訳ではないようだが、とてもまともに動ける状態じゃなかった。
おのれ百夜陸王。何がお前をそうさせる。誰が、お前をそうさせた。そう在れと、指針を示した。お姉様をこんな状態にまでして、まだ頂点を目指すというのか。
「ううっ…何よ!ただのキザな苦労人かと思いきや苦労人とかずるいじゃない!」
「ときめきノーワンよりはマシかな…」
「ときめかない…」
三人が陸王の名前が書かれた札を上げた。
「なんと、勝者は百夜陸王だ!」
「みんな、ありがとう!」
「ぐっ…かくなる上はエキストラステージ!本当の決着をつけよう」
あたしとお姉様だけは再び城内に戻された。といっても、お姉様はこの有様だが。
「お姉様、しっかりなさってください…!もうあの男はいません!」
反応はない。ただただ、陸王に「ときめいて」俯いている。
──許せない。許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない。許さない。許す筈がない!!
あたしは大鎌を取り出し、ガン!!と床に刃を突き立てた。床にヒビが入るが、鎌の方はびくともしていない。
「……百夜陸王……」
殺すことはできない。苦しめることも、できない。お姉様が悲しむことはできないのだから当然だ。なら、あたしには何ができる?どうすれば、お姉様を少しでも笑顔にできる?
「…絶対に、倒してやる……青いテガソード……!」
あたしじゃ、どう足掻いても引き出せない表情。クールなお姉様をあっという間に魅了してしまったということは…陸王にはそういう、魔性の何かがあるのだろう。
「…おねえさ、」
声をかけようとした瞬間、突然空間が歪んだ。ハートが飛び散り、薄暗くネオンが光る場所に連れ出される。恐らくこれは、ノーワンの仕業だ。同じ空間には人間の女と百夜陸王、そしてシャイニングナイフとスイートケークがいた。あと、この部屋を生成したであろうノーワンも。
「ここは一体…」
「突然呼び寄せるなんてなんのつもりで……。ッ…!!!」
ノーワンを問いただそうとしたお姉様の視線が陸王に向けられた。彼を見つけた瞬間お姉様はノーワンの後ろに隠れ、チラチラと様子を窺う。見たい、でも直視はできない、それでも見たい。そう言いたげな表情だ。…あたしも、普段ああいう行動をとっているのだろうか。
「対決の審査員を是非お願いしたいのです。Mr.シャイニングナイフ&Mrs.スイートケーク様。そしてブー…」
ブーケ、と言おうとしたノーワンの足をお姉様が踏みつけた。黙れ、ということらしい。
「ただの一般人ですが…お手伝いさせていただきます!」
いつもとは違う、所謂「作っている声」だ。黄色い歓声のような、興奮した声とは違う。少し吐息を含んだ、子猫のような声。ただ息をしているだけでも可憐な乙女を体現しているお姉様が、更に小女性を増している。
そんな態度をとられても陸王は少し微笑むだけだった。この野郎お姉様にこれだけさせておいてその態度は何だ切り落とすぞ──というのは胸の内に仕舞い、「あたしはパスする。どうせ呼ばれてもいないんだろう」と背を向けた。
「申し訳ございません。そちらの…一般人の方と、座標が近かったものですから、つい巻き込んでしまいました」
「あたしには構わず好きにすればいい」
「ありがとうございます」
はあ、と溜め息を吐いて部屋の隅に向かう。陸王とノーワンが向かい合い、どこからかアーイーがやって来た。
「さあ始まりました!第一回ときめきナンバーワン対決。司会は私、マイク・ゴセイックが務めます。それでは早速参りましょう。ラウンド1、先攻ときめきノーワン。お題は──」
そこからは、実に馬鹿馬鹿しいナンバーワン対決が始まった。お題に合わせてときめきノーワンと陸王が、審査員の心を動かすような行動をとる。勿論お姉様は陸王に札を上げ続け、彼が人間界の常識で言うロマンチックで甘い行動や言葉を使う程きゃあきゃあと声を上げた。
所詮陸王もこの程度か。所詮は人間。つまらないものだ。
どうせならお姉様の前で恥でもかかせて、幻滅させてやろうかと魔が差しかけたとき、ナンバーワン対決は最終決戦に移った。
浜辺で、「ずっと君に恋してる、ミーと付き合ってくれ」と直球で勝負を仕掛けるときめきノーワン。どこか悲しそうな顔の女。歓声を上げるスイートケーク。微動だにしないお姉様。
「これは直球!決まったか!?」
続いて、陸王が女と浜辺を歩く。二人は何か会話をした後、陸王は己について語り始めた。
「僕は、何にも興味を持たない子供だった。まるで心が曇ったガラス玉のようで…。だけど、アイドルになってみんなの笑顔を見てガラスはどんどん磨かれていった。世界が輝き始めたんだ」
どこからか取り出したガラス玉を親指と人差し指でつまむ。そこに映っているのは、アイドルとしての百夜陸王か、それとも人としての百夜陸王か。
「だけどある日、僕を妬んだ誰かが根も葉もない噂を流して…僕は表舞台から引き摺り下ろされた。…それでも負けない。僕は必ず、アイドルナンバーワンになってみせるよ。僕が僕である為に…」
ガラス玉を握り締め、彼は笑った。
「…なんてね」
「…ふーん……」
「おおっと!これは最後に変化球を打ってきた!」
「かっこいいだけじゃなくてそんな過去まであったなんて…!もう、ダメ……!」
「!お姉様!?お気を確かに!」
ばたりと机に突っ伏すお姉様に声を掛けるが、反応はない。機能停止状態という訳ではないようだが、とてもまともに動ける状態じゃなかった。
おのれ百夜陸王。何がお前をそうさせる。誰が、お前をそうさせた。そう在れと、指針を示した。お姉様をこんな状態にまでして、まだ頂点を目指すというのか。
「ううっ…何よ!ただのキザな苦労人かと思いきや苦労人とかずるいじゃない!」
「ときめきノーワンよりはマシかな…」
「ときめかない…」
三人が陸王の名前が書かれた札を上げた。
「なんと、勝者は百夜陸王だ!」
「みんな、ありがとう!」
「ぐっ…かくなる上はエキストラステージ!本当の決着をつけよう」
あたしとお姉様だけは再び城内に戻された。といっても、お姉様はこの有様だが。
「お姉様、しっかりなさってください…!もうあの男はいません!」
反応はない。ただただ、陸王に「ときめいて」俯いている。
──許せない。許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない。許さない。許す筈がない!!
あたしは大鎌を取り出し、ガン!!と床に刃を突き立てた。床にヒビが入るが、鎌の方はびくともしていない。
「……百夜陸王……」
殺すことはできない。苦しめることも、できない。お姉様が悲しむことはできないのだから当然だ。なら、あたしには何ができる?どうすれば、お姉様を少しでも笑顔にできる?
「…絶対に、倒してやる……青いテガソード……!」