お姉様ナンバーワン!【50・ブーケ】
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二手に分かれて人間界を散策していると、お姉様の悲痛な声が聞こえた。ファイヤキャンドルの名前を何度も呼んでいる。どうやら見つけたらしい。
あの脳筋馬鹿手間かけてくれて…まあいい、無事ならそれで──
「よかった…!」
目に入ったのは、お姉様が上半身を起こしたファイヤキャンドルに抱きつく絵面。
二度見し、目を擦り、もう一度見る。お姉様が、抱きしめている。
「自業自得だ…。俺は力に溺れ…ブーケ嬢、あんたにまで手を上げちまった…」
そう彼は言い、飛び退くようにして体勢を整えお姉様に頭を下げた。そして、告げる。
「すまねえ!一発殴ってくれ!」
だが、そんな彼に微笑みかけてお姉様は立ち上がる。あなたが無事ならもういい、と。
「それじゃ俺の気が済まねえ!頼む!」
「…そういうことなら…」
「おう…」
「失礼します。…ハアッ!!」
「うわっ!!?ッ、ナイスパンチ…!」
お姉様の正拳突きをモロに食らったファイヤキャンドルは親指を立てて再度地面に倒れた。しっかり!とお姉様がまた介抱に戻るが、反応はない。はあ、と溜め息を吐きあたしもその場に加わった。
「お姉様、ご無事ですか?…ファイヤキャンドルも」
「すす、すみません!私力加減間違えたみたいで…!」
「お姉様は悪くないです。全部コイツのせいですから。ファイヤキャンドルは歯ァ食いしばって。あたしの分も受ける覚悟、当然あるよね?」
「お、おう…悪かったな、柚葉嬢…」
「だ、ダメですよ柚葉!ファイヤキャンドルさんもうボロボロなんですから!これ以上やるのはダメです!」
拳をグーにしてファイヤキャンドルに迫るが、それをお姉様に制止された。絶対ダメ!とあまりにも反対するので、今回はまあお姉様の正拳突きで見逃すとしておく。
「ほら帰るよ」
「私も手伝います!」
「ファイヤキャンドル一人程度どうってことないので、お姉様は手ぶらで構いません」
肩を貸そうとしたが、自分で歩く元気もないらしい。仕方なくあたしよりも背が高いファイヤキャンドルを背負う。多少重いが、歩けないことはない。むしろ、ボロボロの彼をお姉様に触れさせる方が嫌だ。
入口を生成し、その中に足を踏み入れる。そうすればすぐに城内に戻って来ることができ、「お帰り~!」とシャイニングナイフとスイートケークが出迎えてくれた。
「ファイヤキャンドル君無事で良かったぁ~!」
「みんな心配していたんだよ、君のことを」
「面目ねえ…」
「ったく…とりあえず、ファイヤキャンドルは一時安静。医療班呼んで」
アーイー達がファイヤキャンドルを抱えていく。それを不安げにお姉様は見つめていた。
「…ファイヤキャンドルさん、大丈夫でしょうか…」
「まあ今までもこういう場面は何回かあったし、大丈夫じゃない?」
「今回は例外です!」
「お姉様の正拳突きを食らう元気はあったので大丈夫かと」
だよねぇ~と言いながらシャイニングナイフとスイートケークが出て行く。二人取り残され、私は思わずお姉様に聞いてしまった。
「あ、あの!お姉様…」
「?なんですか?」
「…ファイヤキャンドルに抱きついていたのは…どういう意図があってですか…?」
「え…」
「あっ、いえその!万が一何かあるようでしたら、あたしも気を付けないとなと思って…!」
「…仲間だから、心配しただけです。それ以外に何があるんですか」
呆れたようにお姉様は言ってのけた。仲間、だから…。
この人が、仲間や好いている存在に対して慈しみとしての愛情を向けるのは分かっている。それでも、何かあるのではないかと勘繰ってしまう自分がいた。…恥ずかしい。お姉様を、あたし自身が信用していなかった。
「…柚葉。あなたは少し…偏った見方をし過ぎです。どうして、私のことになるとそんなに盲目的になってしまうのですか?」
「それ、は…」
だって、あなたが。あなたの優しさが、微笑みが、あたしに愛を教えてくれたから。
それも、全部無駄なの?…お姉様にとっては、迷惑?だとしたら…そんな”あたし”…いらない。お姉様にとって不快なものは、不要なものは、この世界から消えてしまえばいい。
「……すみません。あたし…お姉様のことになると…変になっちゃって……」
「…それがあなたを形作る一つだということも、私は理解しています。でも、仲間に当たったり作戦を乱すのは駄目です。私達は…女王様に尽くす存在なんですから」
「……お姉様だって…」
あなただって、百夜陸王に夢中なのに。あの男を、優先するのに。
「…?どうかしましたか?」
「いえ…何でもありません。少し…頭を、冷やしてきます」
「柚葉!待ってください!」
走ってその場を去る。「ハンカチを!」という声は聞こえていたけど、今はお姉様の顔を見る元気がなかった。これじゃあまた、夏祭りの前に逆戻りだ。
あの脳筋馬鹿手間かけてくれて…まあいい、無事ならそれで──
「よかった…!」
目に入ったのは、お姉様が上半身を起こしたファイヤキャンドルに抱きつく絵面。
二度見し、目を擦り、もう一度見る。お姉様が、抱きしめている。
「自業自得だ…。俺は力に溺れ…ブーケ嬢、あんたにまで手を上げちまった…」
そう彼は言い、飛び退くようにして体勢を整えお姉様に頭を下げた。そして、告げる。
「すまねえ!一発殴ってくれ!」
だが、そんな彼に微笑みかけてお姉様は立ち上がる。あなたが無事ならもういい、と。
「それじゃ俺の気が済まねえ!頼む!」
「…そういうことなら…」
「おう…」
「失礼します。…ハアッ!!」
「うわっ!!?ッ、ナイスパンチ…!」
お姉様の正拳突きをモロに食らったファイヤキャンドルは親指を立てて再度地面に倒れた。しっかり!とお姉様がまた介抱に戻るが、反応はない。はあ、と溜め息を吐きあたしもその場に加わった。
「お姉様、ご無事ですか?…ファイヤキャンドルも」
「すす、すみません!私力加減間違えたみたいで…!」
「お姉様は悪くないです。全部コイツのせいですから。ファイヤキャンドルは歯ァ食いしばって。あたしの分も受ける覚悟、当然あるよね?」
「お、おう…悪かったな、柚葉嬢…」
「だ、ダメですよ柚葉!ファイヤキャンドルさんもうボロボロなんですから!これ以上やるのはダメです!」
拳をグーにしてファイヤキャンドルに迫るが、それをお姉様に制止された。絶対ダメ!とあまりにも反対するので、今回はまあお姉様の正拳突きで見逃すとしておく。
「ほら帰るよ」
「私も手伝います!」
「ファイヤキャンドル一人程度どうってことないので、お姉様は手ぶらで構いません」
肩を貸そうとしたが、自分で歩く元気もないらしい。仕方なくあたしよりも背が高いファイヤキャンドルを背負う。多少重いが、歩けないことはない。むしろ、ボロボロの彼をお姉様に触れさせる方が嫌だ。
入口を生成し、その中に足を踏み入れる。そうすればすぐに城内に戻って来ることができ、「お帰り~!」とシャイニングナイフとスイートケークが出迎えてくれた。
「ファイヤキャンドル君無事で良かったぁ~!」
「みんな心配していたんだよ、君のことを」
「面目ねえ…」
「ったく…とりあえず、ファイヤキャンドルは一時安静。医療班呼んで」
アーイー達がファイヤキャンドルを抱えていく。それを不安げにお姉様は見つめていた。
「…ファイヤキャンドルさん、大丈夫でしょうか…」
「まあ今までもこういう場面は何回かあったし、大丈夫じゃない?」
「今回は例外です!」
「お姉様の正拳突きを食らう元気はあったので大丈夫かと」
だよねぇ~と言いながらシャイニングナイフとスイートケークが出て行く。二人取り残され、私は思わずお姉様に聞いてしまった。
「あ、あの!お姉様…」
「?なんですか?」
「…ファイヤキャンドルに抱きついていたのは…どういう意図があってですか…?」
「え…」
「あっ、いえその!万が一何かあるようでしたら、あたしも気を付けないとなと思って…!」
「…仲間だから、心配しただけです。それ以外に何があるんですか」
呆れたようにお姉様は言ってのけた。仲間、だから…。
この人が、仲間や好いている存在に対して慈しみとしての愛情を向けるのは分かっている。それでも、何かあるのではないかと勘繰ってしまう自分がいた。…恥ずかしい。お姉様を、あたし自身が信用していなかった。
「…柚葉。あなたは少し…偏った見方をし過ぎです。どうして、私のことになるとそんなに盲目的になってしまうのですか?」
「それ、は…」
だって、あなたが。あなたの優しさが、微笑みが、あたしに愛を教えてくれたから。
それも、全部無駄なの?…お姉様にとっては、迷惑?だとしたら…そんな”あたし”…いらない。お姉様にとって不快なものは、不要なものは、この世界から消えてしまえばいい。
「……すみません。あたし…お姉様のことになると…変になっちゃって……」
「…それがあなたを形作る一つだということも、私は理解しています。でも、仲間に当たったり作戦を乱すのは駄目です。私達は…女王様に尽くす存在なんですから」
「……お姉様だって…」
あなただって、百夜陸王に夢中なのに。あの男を、優先するのに。
「…?どうかしましたか?」
「いえ…何でもありません。少し…頭を、冷やしてきます」
「柚葉!待ってください!」
走ってその場を去る。「ハンカチを!」という声は聞こえていたけど、今はお姉様の顔を見る元気がなかった。これじゃあまた、夏祭りの前に逆戻りだ。