お姉様ナンバーワン!【50・ブーケ】
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いつもの城内。夏祭りのチラシを持ってお姉様の方をチラチラと窺っていると、人間界から戻ってきたファイヤキャンドルがまさにウキウキといった様子でシンケンレッドの指輪を見せびらかしてきた。どうやら、人間界で指輪を入手することに成功したらしい。
「よかったですねファイヤキャンドルさん。やはりあなたはそのくらいうるさくないと。柚葉もそう思いますよね?」
「えっ?あ…はい…」
「元気だけがキャンドル君の取柄だもんねえ」
「ヘヘッ!三人とも照れるぜ。そこでだ、俺とゴジュウウルフの決戦を盛り上げるために相応しいノーワンを見つけた。その名も…」
ファイヤキャンドルはお祭りノーワンの存在を明かした。そして、丁度人間界で開かれる夏祭りを乗っ取ってやろうという作戦も。
「お、柚葉嬢が持ってる紙、もしかして祭りのチラシか?」
「!う…うん…」
「なら丁度いいじゃねえか!そうだ、折角なら格好もそれっぽい物にしようぜ!祭りだと浴衣?とか着るんだろ?柚葉嬢が今着てるやつみたいな服」
「…これは改造してるけど振袖っていう名前。結婚式に参列する時に未婚の女が着る着物。浴衣とは格もTPOも素材も全然違うから一緒にしないで」
「別に全部同じだろ?」
「ファイヤキャンドルさん、そういうデリカシーのない発言はいけませんよ。でも私、浴衣を着るのって初めてです!やっぱり薔薇の柄……あ、青薔薇とか…いいかもしれません…」
頬を押さえてモジモジするお姉様。青薔薇はまさしく陸王の柄だ。所謂、人間界の言葉で言う「イメージコーデ」とか「バウンドコーデ」に当てはまるのだろう。
──というか、誘うつもりがむしろ参加必須になってる!?ブライダン全員で!?あたしのデート計画とか、覚悟って全部無駄だったの…!?
内心頭を抱えていると、「じゃあ早速行くか、人間界!」とファイヤキャンドルが言った。それを皮切りに各々が人間界への入り口を生成して通って行き、あたしも慌てて後を追った。
*
お祭りノーワンが無事に夏祭りを乗っ取っている頃、あたしはお姉様と外で呼び込みをしていた。お姉様はやはり白地に青薔薇の浴衣を着ており、とても綺麗だ。いつもより一層儚さが際立っているように見える。
あたしはというと、淡い桃色を基調に白薔薇がプリントされた浴衣ドレスを着ていた。あたしは動きやすい服が好きだ。動きが制限されると走れないし、戦いにくい。
──これデートって呼んでいいのかな…。二人きりなのは二人きりだけど、実質仕事だし…。
「寄ってらっしゃい見てらっしゃい!この夏ナンバーワンのお祭りやってまーす!」
お姉様がそう言って笑顔でチラシを差し出せば、通行人は皆受け取って引き寄せられるかのように会場に入って行った。あたしは、大きい声を出すのも、笑顔を作るのも苦手なので分かりやすく避けられている。
暇だな、早く終わらないかな…と思いながらチラシを渡そうと頑張っていると、お姉様が動きを止めた。後ろを振り返り、「陸王様…」と呟く。
「…柚葉、この場は任せました。私は少し席を外します」
「…はい、お姉様……」
「陸王様……」
衝動で駆けだすかのように離れていく。また、何も出来なかった。いや、何もしないことをあたし自身が選んだ。諦めとか、お姉様の気持ちとか、そういうのが色々混ざってそうなった。だって、今のお姉様は「百夜陸王に近付きたい」と思って駆け出したのだ。そんなの、止めることなんて出来ない。
あたしは夢を諦めない。…そう、誓った。でも、それと「お姉様の邪魔をしない」は両立させないといけない。お姉様が嫌がることはしない。それでいて、夢も諦めない。難しいことだ。
「…お姉様、早く戻ってこないかな……」
チラシを配り終わったら、お祭りに誘おう。色んな物を食べて、色んな遊びをして…色んな、お姉様の表情を見よう。あの人を、少しでも笑顔にしよう。それで、あたしも満たされよう。…夢を諦めないって、こういうことだよね?
結局、その日お姉様があたしの所に戻って来ることはなかった。
城内ですれ違ったお姉様は暗い顔をして俯いていて、とても声をかけられる様子ではなかった。
「よかったですねファイヤキャンドルさん。やはりあなたはそのくらいうるさくないと。柚葉もそう思いますよね?」
「えっ?あ…はい…」
「元気だけがキャンドル君の取柄だもんねえ」
「ヘヘッ!三人とも照れるぜ。そこでだ、俺とゴジュウウルフの決戦を盛り上げるために相応しいノーワンを見つけた。その名も…」
ファイヤキャンドルはお祭りノーワンの存在を明かした。そして、丁度人間界で開かれる夏祭りを乗っ取ってやろうという作戦も。
「お、柚葉嬢が持ってる紙、もしかして祭りのチラシか?」
「!う…うん…」
「なら丁度いいじゃねえか!そうだ、折角なら格好もそれっぽい物にしようぜ!祭りだと浴衣?とか着るんだろ?柚葉嬢が今着てるやつみたいな服」
「…これは改造してるけど振袖っていう名前。結婚式に参列する時に未婚の女が着る着物。浴衣とは格もTPOも素材も全然違うから一緒にしないで」
「別に全部同じだろ?」
「ファイヤキャンドルさん、そういうデリカシーのない発言はいけませんよ。でも私、浴衣を着るのって初めてです!やっぱり薔薇の柄……あ、青薔薇とか…いいかもしれません…」
頬を押さえてモジモジするお姉様。青薔薇はまさしく陸王の柄だ。所謂、人間界の言葉で言う「イメージコーデ」とか「バウンドコーデ」に当てはまるのだろう。
──というか、誘うつもりがむしろ参加必須になってる!?ブライダン全員で!?あたしのデート計画とか、覚悟って全部無駄だったの…!?
内心頭を抱えていると、「じゃあ早速行くか、人間界!」とファイヤキャンドルが言った。それを皮切りに各々が人間界への入り口を生成して通って行き、あたしも慌てて後を追った。
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お祭りノーワンが無事に夏祭りを乗っ取っている頃、あたしはお姉様と外で呼び込みをしていた。お姉様はやはり白地に青薔薇の浴衣を着ており、とても綺麗だ。いつもより一層儚さが際立っているように見える。
あたしはというと、淡い桃色を基調に白薔薇がプリントされた浴衣ドレスを着ていた。あたしは動きやすい服が好きだ。動きが制限されると走れないし、戦いにくい。
──これデートって呼んでいいのかな…。二人きりなのは二人きりだけど、実質仕事だし…。
「寄ってらっしゃい見てらっしゃい!この夏ナンバーワンのお祭りやってまーす!」
お姉様がそう言って笑顔でチラシを差し出せば、通行人は皆受け取って引き寄せられるかのように会場に入って行った。あたしは、大きい声を出すのも、笑顔を作るのも苦手なので分かりやすく避けられている。
暇だな、早く終わらないかな…と思いながらチラシを渡そうと頑張っていると、お姉様が動きを止めた。後ろを振り返り、「陸王様…」と呟く。
「…柚葉、この場は任せました。私は少し席を外します」
「…はい、お姉様……」
「陸王様……」
衝動で駆けだすかのように離れていく。また、何も出来なかった。いや、何もしないことをあたし自身が選んだ。諦めとか、お姉様の気持ちとか、そういうのが色々混ざってそうなった。だって、今のお姉様は「百夜陸王に近付きたい」と思って駆け出したのだ。そんなの、止めることなんて出来ない。
あたしは夢を諦めない。…そう、誓った。でも、それと「お姉様の邪魔をしない」は両立させないといけない。お姉様が嫌がることはしない。それでいて、夢も諦めない。難しいことだ。
「…お姉様、早く戻ってこないかな……」
チラシを配り終わったら、お祭りに誘おう。色んな物を食べて、色んな遊びをして…色んな、お姉様の表情を見よう。あの人を、少しでも笑顔にしよう。それで、あたしも満たされよう。…夢を諦めないって、こういうことだよね?
結局、その日お姉様があたしの所に戻って来ることはなかった。
城内ですれ違ったお姉様は暗い顔をして俯いていて、とても声をかけられる様子ではなかった。