お姉様ナンバーワン!【50・ブーケ】
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
指輪を取り戻す為にあの白い乗り手を人間界で探していると、流れるような動きでチラシを貰ってしまった。どうせセールスか何かだろうと思って捨てようとした時、チラシに書かれてある派手な文字に目が行く。
「…夏祭り…?」
神社で夏祭りをする、といった趣旨のチラシだった。
夏祭り。夏のデートなら定番──というところまで考えて、ブンブンと頭を横に振る。あたしは女王様の命令で動いているAIだ。それに、あたしなんかがお姉様に近付こうだなんて…烏滸がましい。お姉様には、きっと、もっと相応しい人物がいる。紳士で、容姿端麗で、才色兼備で、何でも出来てしまうような完璧な存在。
だから、誘わない。だって、だって、そんなこと──
「およ?そこにいるのは…もしかしてブライダンか?」
「ん?」
河川敷で座り、チラシを眺めていると後ろから声を掛けられた。少し上半身を動かして振り返ると、学生服を派手に着こなしヘッドフォンを首から下げた学生がいる。
「いや、僕…ワシはこっちの姿では初めましてか。ワシはゴジュウジャーのゴジュウイーグルこと、猛原禽次郎。本名は猛原譲二だ」
「名前多くない…?」
「うむ。だから、呼び方は何でもいい!できれば最近っぽい呼び方で頼む!」
「じゃあイーグル」
ズコーッ、と文字通りずっこけるイーグル。
「そこは禽ちゃんとか、色々あるだろう!?」
「何でもいいって言った」
「ぐぬぬ…」
「そんなことより、ゴジュウジャーがブライダンと呑気に世間話してていいの?こっちはいつでも戦 れるけど」
「そちらにやる気が無さそうだからな。浮かない顔をしてどうしたんだ?悩みでもあるのか?」
「はあ?関係ないでしょ」
「いいや、関係ある!敵対しているとはいえ、そんな顔をしている若人を放ってはおけん!」
そう言いつつも、イーグルは何だか楽しそうだ。勝手にあたしの隣に座り込み、「懐かしい」と呟く。
「…若人とは、子供とは年上に反抗するものだ。そういう時は、頭ごなしに否定するのではなくきちんと話を聞くのが良い。ワシはそういうことは出来なかったからな、今くらい若人の役に立ってやりたいんだ」
「……なんか、おじいさんみたい」
「ふふふ。実際、本来はおじいちゃんだからな」
「…変なの。はあ、何か…馬鹿馬鹿しくて逆にお喋りしたい気分になってきた」
あたしはチラシを彼に押し付けた。「おお!楽しそうだ」とニコニコ笑ってチラシを見ている。それを少し恨めしく思いながら、「あたし」と切り出した。
「……好きな人が、いる」
「おおお!恋バナか!」
「……その人を、お祭りに誘いたい」
「うむ」
「…でもあたしには、そんな資格ない。その人はとても素敵な人だから、あたしなんかが近付くのは烏滸がましいんだ」
「…それで、君はどうしたいんだ?」
「……わからない。誘いたいのに、誘う権利がない。あたしは、ただその人に幸せになってもらいたいだけなのに…」
「ふうむ」
支離滅裂なことを言っている自覚はある。あたしにとっての一番はお姉様の筈なのに、あたしは今その「一番」を押し退けて「あたし」を一番にしようとしている。そんなの、身勝手だ。ワガママだ。
「…ワシが思うに…誘えばいいんじゃないか?」
「は?…話聞いてた?」
「聞いていたぞ、しっかりとな。何故君が、その人にとっての幸せを決め付けるんだ?」
「え…」
「誘う資格も、権利も、そんなものは存在しない。その人にとっての幸せも、君が決め付けるものじゃない。なら、やりたいようにやればいいだろう!」
イーグルはそう言って拳を握り締めた。
資格も権利も存在しない。幸せも、あたしが勝手に考えることじゃない。
確かに、今思えばあたしは勝手にお姉様の幸せを考えて、決め付けていた。陸王だの、相応しい相手だの、そんなの…それこそ、ワガママじゃないか。お姉様は、ご自身にとっての幸せについて言及したことは一度もない。
「夢を諦めるな!自分にとって、後悔しない選択をするんだ!」
「…イーグル……」
「ワシは青春をやり直す、パーリーピーポーになる夢を諦めない!だから君も、夢を諦めるな!」
「…夢を、諦めない……。いいのかな、あたしなんかが…」
「いい!」
あたしの肩を掴み、力強く頷く。何故かその言葉には、凄く説得力があった。
あたしは、夢を諦めなくていい。
「……その…ありがとう、イーグル。君の言葉のお陰で、あたしは…決心がついた。お姉様を、夏祭りに誘ってみせる」
「ああ。頑張れ、若人!」
「……あたしの名前は、”幸福の柚葉”。ブライダンの、補給隊長をやってる」
「柚葉か。良い名前だな!」
「…うん。あたしも…イーグルの名前、どっちも良いと思う」
「そうだろうそうだろう。まあ、猛原禽次郎は咄嗟に考えた名前だがな!」
あっはっはと笑い、彼は「ワシはもうそろそろ帰らなければならない」と立ち上がった。そういえば、もう夕暮れだ。河川敷だから、沈んでいく夕陽がくっきりと見える。
「…今日は、ありがとう。でも、指輪争奪戦では手加減しないから」
「ああ。ワシも手加減せんからな!」
それじゃあ、と言ってお互い別の方向へ歩いていく。
──あたし、お姉様を前にするとどうしても緊張するから権利とか資格はこの先も気にしちゃうだろうけど…。でも、夢自体は諦めなくて良いんだ。
少なくとも、イーグルはそう言ってくれた。
ゴジュウジャーって意外と悪い奴らじゃないのかも──と思ったが、青いテガソードと白い乗り手が脳裏を過る。あの二人は駄目だ。絶対に。
「…夏祭り…?」
神社で夏祭りをする、といった趣旨のチラシだった。
夏祭り。夏のデートなら定番──というところまで考えて、ブンブンと頭を横に振る。あたしは女王様の命令で動いているAIだ。それに、あたしなんかがお姉様に近付こうだなんて…烏滸がましい。お姉様には、きっと、もっと相応しい人物がいる。紳士で、容姿端麗で、才色兼備で、何でも出来てしまうような完璧な存在。
だから、誘わない。だって、だって、そんなこと──
「およ?そこにいるのは…もしかしてブライダンか?」
「ん?」
河川敷で座り、チラシを眺めていると後ろから声を掛けられた。少し上半身を動かして振り返ると、学生服を派手に着こなしヘッドフォンを首から下げた学生がいる。
「いや、僕…ワシはこっちの姿では初めましてか。ワシはゴジュウジャーのゴジュウイーグルこと、猛原禽次郎。本名は猛原譲二だ」
「名前多くない…?」
「うむ。だから、呼び方は何でもいい!できれば最近っぽい呼び方で頼む!」
「じゃあイーグル」
ズコーッ、と文字通りずっこけるイーグル。
「そこは禽ちゃんとか、色々あるだろう!?」
「何でもいいって言った」
「ぐぬぬ…」
「そんなことより、ゴジュウジャーがブライダンと呑気に世間話してていいの?こっちはいつでも
「そちらにやる気が無さそうだからな。浮かない顔をしてどうしたんだ?悩みでもあるのか?」
「はあ?関係ないでしょ」
「いいや、関係ある!敵対しているとはいえ、そんな顔をしている若人を放ってはおけん!」
そう言いつつも、イーグルは何だか楽しそうだ。勝手にあたしの隣に座り込み、「懐かしい」と呟く。
「…若人とは、子供とは年上に反抗するものだ。そういう時は、頭ごなしに否定するのではなくきちんと話を聞くのが良い。ワシはそういうことは出来なかったからな、今くらい若人の役に立ってやりたいんだ」
「……なんか、おじいさんみたい」
「ふふふ。実際、本来はおじいちゃんだからな」
「…変なの。はあ、何か…馬鹿馬鹿しくて逆にお喋りしたい気分になってきた」
あたしはチラシを彼に押し付けた。「おお!楽しそうだ」とニコニコ笑ってチラシを見ている。それを少し恨めしく思いながら、「あたし」と切り出した。
「……好きな人が、いる」
「おおお!恋バナか!」
「……その人を、お祭りに誘いたい」
「うむ」
「…でもあたしには、そんな資格ない。その人はとても素敵な人だから、あたしなんかが近付くのは烏滸がましいんだ」
「…それで、君はどうしたいんだ?」
「……わからない。誘いたいのに、誘う権利がない。あたしは、ただその人に幸せになってもらいたいだけなのに…」
「ふうむ」
支離滅裂なことを言っている自覚はある。あたしにとっての一番はお姉様の筈なのに、あたしは今その「一番」を押し退けて「あたし」を一番にしようとしている。そんなの、身勝手だ。ワガママだ。
「…ワシが思うに…誘えばいいんじゃないか?」
「は?…話聞いてた?」
「聞いていたぞ、しっかりとな。何故君が、その人にとっての幸せを決め付けるんだ?」
「え…」
「誘う資格も、権利も、そんなものは存在しない。その人にとっての幸せも、君が決め付けるものじゃない。なら、やりたいようにやればいいだろう!」
イーグルはそう言って拳を握り締めた。
資格も権利も存在しない。幸せも、あたしが勝手に考えることじゃない。
確かに、今思えばあたしは勝手にお姉様の幸せを考えて、決め付けていた。陸王だの、相応しい相手だの、そんなの…それこそ、ワガママじゃないか。お姉様は、ご自身にとっての幸せについて言及したことは一度もない。
「夢を諦めるな!自分にとって、後悔しない選択をするんだ!」
「…イーグル……」
「ワシは青春をやり直す、パーリーピーポーになる夢を諦めない!だから君も、夢を諦めるな!」
「…夢を、諦めない……。いいのかな、あたしなんかが…」
「いい!」
あたしの肩を掴み、力強く頷く。何故かその言葉には、凄く説得力があった。
あたしは、夢を諦めなくていい。
「……その…ありがとう、イーグル。君の言葉のお陰で、あたしは…決心がついた。お姉様を、夏祭りに誘ってみせる」
「ああ。頑張れ、若人!」
「……あたしの名前は、”幸福の柚葉”。ブライダンの、補給隊長をやってる」
「柚葉か。良い名前だな!」
「…うん。あたしも…イーグルの名前、どっちも良いと思う」
「そうだろうそうだろう。まあ、猛原禽次郎は咄嗟に考えた名前だがな!」
あっはっはと笑い、彼は「ワシはもうそろそろ帰らなければならない」と立ち上がった。そういえば、もう夕暮れだ。河川敷だから、沈んでいく夕陽がくっきりと見える。
「…今日は、ありがとう。でも、指輪争奪戦では手加減しないから」
「ああ。ワシも手加減せんからな!」
それじゃあ、と言ってお互い別の方向へ歩いていく。
──あたし、お姉様を前にするとどうしても緊張するから権利とか資格はこの先も気にしちゃうだろうけど…。でも、夢自体は諦めなくて良いんだ。
少なくとも、イーグルはそう言ってくれた。
ゴジュウジャーって意外と悪い奴らじゃないのかも──と思ったが、青いテガソードと白い乗り手が脳裏を過る。あの二人は駄目だ。絶対に。