お姉様ナンバーワン!【50・ブーケ】
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グーデバーンというテガナグールの新しい名前にスイートケークが大笑いしていると、門が開き女王様の御顔が現れた。あたしとお姉様、シャイニングナイフ&スイートケークは跪き、忠誠のポーズをとる。
「心中お察しいたします女王陛下」
「慈愛のブーケ。お前の言う通りだった。次こそは全ての指輪を集め、運命の乗り手をしかと見定める」
「女王様。このブーケ、きっとお役に立ってみせます」
「ならば引き続きノーワン達に力添えを」
「はっ!」
門が閉じ、女王様の御顔が見えなくなった。
「では運動会ノーワンの方はブーケ殿にお任せしよう」
「参謀隊長はこれからのこと色々考えなきゃ!」
楽しそうに去って行く二人を見送りながら「あたしもお手伝いします」と言うと「いいえ」とお姉様はあたしの申し出を断った。
「あなたはパーツの補給に尽力をしてください」
「え!?でも……」
「女王様から命を頂いたのは私です。それに、この間あなたはあの場で指輪を回収しにかかればいいものを、感情に任せて私の指示を無視しました」
「!そ、それは……」
お姉様は毅然とした態度で私を詰める。今までにない鋭いお言葉が突き刺さった。しかし、全て正論である。
「あなたは補給隊長です。前線へ来る必要はありません」
「……はい…」
「…厳しい言葉に聞こえるかもしれませんが、これも女王様の為なのです」
「…ごめんなさい……」
「…私は、あなたが必要以上に傷付くことも嫌です。分かって下さい、柚葉」
あたしの手をとり、お姉様はそう言った。優しい言葉で、あたしを諭そうとして下さっている。触れられた部分から熱くなっていくが、やはり少しショックで泣きそうになった。あたしは、お姉様の邪魔をしている。
…そんなあたしに、存在価値なんてあるのだろうか。ただでさえ、あたしはお姉様に綺麗な世界を見せることはできないのに。その上、気まで使わせてしまった。
「……お姉様、ご無事を祈っております」
*
カレンデウスで出撃したお姉様を待っていたのは、障害物レースだった。
「えっ!?私もやるんですか!?」
「そうですよ!はい並んでください!はい、いいですね。コースを確認して…位置について、よーいドン!」
走り出すグーデバーンとカレンデウス。カレンデウスは後ろのブースターを使い、グーデバーンを飛び越えた。
「カレンデウスリード!待ち受けるのは壁破り!一方にはゴールが、一方には泥水が待っています!」
「!!そんな…淑女が泥だらけになる訳には…!」
お姉様が躊躇った瞬間、グーデバーンがその横を通り過ぎていく。先に壁を破ろうとするグーデバーンを、カレンデウスが追いかけた。
「待ちなさーい!!」
「「ハアッ!!」」
飛び込んだカレンデウスを待ち受けていたのは──泥水だった。
「嫌ーーーー…っ!!」
「ブーケ様!」
「お姉様!!」
「嫌ーーーッ!!」
カレンデウスが泥だらけになり、絶叫するお姉様。悲痛な叫びが響く。
「勝者、グーデバーン!」
無情にもゴングが鳴り響いた。味方のくせに、お姉様に無礼を働くなんて許せない。生きて帰って来たら、切り刻んでやる。
「そもそも何で私がこんなこと…もう知りません!」
壁に出来た穴を入り口にしてお姉様はこっちの世界に戻ってきた。カレンデウスは自動的に収納され、泣きそうな顔をしたお姉様がやって来る。
「最悪です……カレンデウスが…あんなに汚れて…」
「お姉様…!お怪我はありませんか!?」
「私は…大丈夫です……」
分かりやすく凹んでいる。愛機が汚されたことにひどくショックを受けている様子だ。
フラフラとした足取りで、お姉様はあたしの腕の中に倒れ込んできた。慌ててそれを受けとめると、彼女の潤んだ瞳から涙がポロポロと溢れ出て来た。それがあたしの振袖にシミを作り、広がっていく。接触している興奮と、どうしていいのか分からない焦りと不安であたしの頭の中はぐちゃぐちゃだった。
「すみません……あなたを突き放したのに、こんな失態を晒してしまい…」
「そ、そんな…あれはお姉様なりの”気付”です!実際、あたしは任務を忘れて無我夢中になっていましたし…その……」
袂からハンカチを取り出し、「これを」と差し出す。薄桃色で、白いマーガレットが刺繍された物だ。
「…お姉様が泣いているのは…嫌、です。とても、悲しいです。どうかこれで、涙を拭いてください…」
「…ありがとうございます」
お姉様はメイクが崩れるのを気にして、涙を流してから頬を優しく拭った。それでもメイクは崩れないし、お姉様は美しいままだ。ハンカチだって、お姉様に使われたのなら本望だろう。
「洗って返しますね」
「いえそんな…お気遣いなく…」
「私がそうしたいんです。これくらいやらせてください」
そう言って、微笑んだ。もう涙は浮かんでいない。ハンカチを持ったまま、優雅にお姉様はどこかへと行ってしまう。
あたしのハンカチが、お姉様に触れた。お姉様が、あたしの腕の中で涙を流した。その事実が、どうしようもない程、脳を揺らす。しかし同時に──怒りの感情が、浮かんだ。
「…グーデバーンと、あの白い乗り手………!」
許さない。カレンデウスを泥だらけにして、お姉様をこれだけ傷付けて。絶対に、絶対に、許さない!
青いテガソードの次はアイツだ。お姉様を泣かせたことを、後悔させてやる。
「心中お察しいたします女王陛下」
「慈愛のブーケ。お前の言う通りだった。次こそは全ての指輪を集め、運命の乗り手をしかと見定める」
「女王様。このブーケ、きっとお役に立ってみせます」
「ならば引き続きノーワン達に力添えを」
「はっ!」
門が閉じ、女王様の御顔が見えなくなった。
「では運動会ノーワンの方はブーケ殿にお任せしよう」
「参謀隊長はこれからのこと色々考えなきゃ!」
楽しそうに去って行く二人を見送りながら「あたしもお手伝いします」と言うと「いいえ」とお姉様はあたしの申し出を断った。
「あなたはパーツの補給に尽力をしてください」
「え!?でも……」
「女王様から命を頂いたのは私です。それに、この間あなたはあの場で指輪を回収しにかかればいいものを、感情に任せて私の指示を無視しました」
「!そ、それは……」
お姉様は毅然とした態度で私を詰める。今までにない鋭いお言葉が突き刺さった。しかし、全て正論である。
「あなたは補給隊長です。前線へ来る必要はありません」
「……はい…」
「…厳しい言葉に聞こえるかもしれませんが、これも女王様の為なのです」
「…ごめんなさい……」
「…私は、あなたが必要以上に傷付くことも嫌です。分かって下さい、柚葉」
あたしの手をとり、お姉様はそう言った。優しい言葉で、あたしを諭そうとして下さっている。触れられた部分から熱くなっていくが、やはり少しショックで泣きそうになった。あたしは、お姉様の邪魔をしている。
…そんなあたしに、存在価値なんてあるのだろうか。ただでさえ、あたしはお姉様に綺麗な世界を見せることはできないのに。その上、気まで使わせてしまった。
「……お姉様、ご無事を祈っております」
*
カレンデウスで出撃したお姉様を待っていたのは、障害物レースだった。
「えっ!?私もやるんですか!?」
「そうですよ!はい並んでください!はい、いいですね。コースを確認して…位置について、よーいドン!」
走り出すグーデバーンとカレンデウス。カレンデウスは後ろのブースターを使い、グーデバーンを飛び越えた。
「カレンデウスリード!待ち受けるのは壁破り!一方にはゴールが、一方には泥水が待っています!」
「!!そんな…淑女が泥だらけになる訳には…!」
お姉様が躊躇った瞬間、グーデバーンがその横を通り過ぎていく。先に壁を破ろうとするグーデバーンを、カレンデウスが追いかけた。
「待ちなさーい!!」
「「ハアッ!!」」
飛び込んだカレンデウスを待ち受けていたのは──泥水だった。
「嫌ーーーー…っ!!」
「ブーケ様!」
「お姉様!!」
「嫌ーーーッ!!」
カレンデウスが泥だらけになり、絶叫するお姉様。悲痛な叫びが響く。
「勝者、グーデバーン!」
無情にもゴングが鳴り響いた。味方のくせに、お姉様に無礼を働くなんて許せない。生きて帰って来たら、切り刻んでやる。
「そもそも何で私がこんなこと…もう知りません!」
壁に出来た穴を入り口にしてお姉様はこっちの世界に戻ってきた。カレンデウスは自動的に収納され、泣きそうな顔をしたお姉様がやって来る。
「最悪です……カレンデウスが…あんなに汚れて…」
「お姉様…!お怪我はありませんか!?」
「私は…大丈夫です……」
分かりやすく凹んでいる。愛機が汚されたことにひどくショックを受けている様子だ。
フラフラとした足取りで、お姉様はあたしの腕の中に倒れ込んできた。慌ててそれを受けとめると、彼女の潤んだ瞳から涙がポロポロと溢れ出て来た。それがあたしの振袖にシミを作り、広がっていく。接触している興奮と、どうしていいのか分からない焦りと不安であたしの頭の中はぐちゃぐちゃだった。
「すみません……あなたを突き放したのに、こんな失態を晒してしまい…」
「そ、そんな…あれはお姉様なりの”気付”です!実際、あたしは任務を忘れて無我夢中になっていましたし…その……」
袂からハンカチを取り出し、「これを」と差し出す。薄桃色で、白いマーガレットが刺繍された物だ。
「…お姉様が泣いているのは…嫌、です。とても、悲しいです。どうかこれで、涙を拭いてください…」
「…ありがとうございます」
お姉様はメイクが崩れるのを気にして、涙を流してから頬を優しく拭った。それでもメイクは崩れないし、お姉様は美しいままだ。ハンカチだって、お姉様に使われたのなら本望だろう。
「洗って返しますね」
「いえそんな…お気遣いなく…」
「私がそうしたいんです。これくらいやらせてください」
そう言って、微笑んだ。もう涙は浮かんでいない。ハンカチを持ったまま、優雅にお姉様はどこかへと行ってしまう。
あたしのハンカチが、お姉様に触れた。お姉様が、あたしの腕の中で涙を流した。その事実が、どうしようもない程、脳を揺らす。しかし同時に──怒りの感情が、浮かんだ。
「…グーデバーンと、あの白い乗り手………!」
許さない。カレンデウスを泥だらけにして、お姉様をこれだけ傷付けて。絶対に、絶対に、許さない!
青いテガソードの次はアイツだ。お姉様を泣かせたことを、後悔させてやる。