お姉様ナンバーワン!【50・ブーケ】
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「えっ?」
「ん?」
「あっいや…!なんでも…!」
──お姉様の、名前を呼び捨て…!?慈愛のブーケと呼ばれる、ブライダンテクニカル隊長の名前を、呼び捨て!?たかが人間風情が!?
お姉様は明らかに動揺したが、それを隠すようにそっぽを向いた。それに構わず、陸王は言葉を続ける。
「君が誰かのために花を贈るなら、僕は君に」
オステオスペルマム。花言葉は、「無邪気」「変わらぬ愛」。
黄色のその花を摘み取り、彼はお姉様の髪に挿した。マゼンタカラーの髪と白薔薇の髪飾りの間に、強いイエローの花が咲き誇る。
お姉様はその花に手をあて、目線を泳がせて俯く。でもそれは、嫌とか、そういう悪い感情ではなくて。どうやったって、逆立ちしたって、あたしには、引き出すことのできない表情。
百夜陸王は、あたしの知らないお姉様ばかりを見せる。
「陸王様、ひどいです……」
これはきっと、悲しいって感情じゃないんだ。言葉にするのは難しい、凄く複雑で、繊細で、優しい感情なのだと思う。
──あたしは、お姉様のこんな表情を引き出すことができる?
……きっと、出来ない。諦めとかではなく、事実だ。あたしには、お姉様をこんな風に困らせることはできない。だってあたしは、あの人の笑顔だけを見ていたいから。
「ただのファンでいたいのに…。こんなことされたら、私…」
「…ごめんね」
陸王は目線を少し逸らしたあと、そう謝った。
「君が苦しむのなら、忘れてくれて構わない。オーナーには言っておくから、花は持って帰って」
去って行く陸王。その背中を、お姉様は走って追いかけた。髪が乱れて、スカートがたなびくことにも構わずに。一心不乱に、走った。
そして、彼の手を掴んだ。近付くことすら怯えていた彼女から、陸王へと触れに行った。
「陸王様…。世界はこれから、少し形を変えるかもしれません。でも、心配しないでください。全ては皆の幸せのため…ですから」
そう忠告し、思い出したかのように、飛び退くようにしてお姉様は手を離した。
「…それでは、また」
会釈をし、陸王とは別の方向、こちら側に歩いてくる。あたしの横を通り過ぎて、行ってしまった。
あたしはただ、しゃがんで、俯いて、声を殺して泣くことしか出来なかった。
──あたしって、バカだ。あたし、あたし。こんなに、あんなに、優しくて綺麗な世界をお姉様に見せることすらできないのに、お姉様が好きだなんて。
烏滸がましいって言うんだ、こういうの。可愛くて、美しくて、甘くて、優しいお姉様の…人間関係に、あたしなんかが怒ったり悲しんだりしちゃいけないんだ。どれだけ人間…百夜陸王があたしの心を恋であり愛であると言ってくれたとしても、それじゃあダメなんだ。
女王様。どうしてあたし達に、模倣だったとしても、「心」なんて与えたんですか?
*
神器をのせた台車を動かし、女王様の前に集まる。燭台、ウェディングケーキ、花束。あたしの手には、花弁が敷き詰められたカゴ。
「必要なものは全て集まったぜ!」
「二つの世界のため、女王の願いが叶いますように!」
「女王様、万歳!万歳!」
「…女王様と新世界に、祝福あれ」
神器をとりこんだ女王様は、力が満ちると言った。それを示すかのようにエネルギーが吹き荒れ、城の外まで影響を及ぼす。
そうして無事に儀式は執り行われ、破滅の王子は誕生した。形を変えていく世界に幸福をもたらすように、花弁は舞っていた。
「ん?」
「あっいや…!なんでも…!」
──お姉様の、名前を呼び捨て…!?慈愛のブーケと呼ばれる、ブライダンテクニカル隊長の名前を、呼び捨て!?たかが人間風情が!?
お姉様は明らかに動揺したが、それを隠すようにそっぽを向いた。それに構わず、陸王は言葉を続ける。
「君が誰かのために花を贈るなら、僕は君に」
オステオスペルマム。花言葉は、「無邪気」「変わらぬ愛」。
黄色のその花を摘み取り、彼はお姉様の髪に挿した。マゼンタカラーの髪と白薔薇の髪飾りの間に、強いイエローの花が咲き誇る。
お姉様はその花に手をあて、目線を泳がせて俯く。でもそれは、嫌とか、そういう悪い感情ではなくて。どうやったって、逆立ちしたって、あたしには、引き出すことのできない表情。
百夜陸王は、あたしの知らないお姉様ばかりを見せる。
「陸王様、ひどいです……」
これはきっと、悲しいって感情じゃないんだ。言葉にするのは難しい、凄く複雑で、繊細で、優しい感情なのだと思う。
──あたしは、お姉様のこんな表情を引き出すことができる?
……きっと、出来ない。諦めとかではなく、事実だ。あたしには、お姉様をこんな風に困らせることはできない。だってあたしは、あの人の笑顔だけを見ていたいから。
「ただのファンでいたいのに…。こんなことされたら、私…」
「…ごめんね」
陸王は目線を少し逸らしたあと、そう謝った。
「君が苦しむのなら、忘れてくれて構わない。オーナーには言っておくから、花は持って帰って」
去って行く陸王。その背中を、お姉様は走って追いかけた。髪が乱れて、スカートがたなびくことにも構わずに。一心不乱に、走った。
そして、彼の手を掴んだ。近付くことすら怯えていた彼女から、陸王へと触れに行った。
「陸王様…。世界はこれから、少し形を変えるかもしれません。でも、心配しないでください。全ては皆の幸せのため…ですから」
そう忠告し、思い出したかのように、飛び退くようにしてお姉様は手を離した。
「…それでは、また」
会釈をし、陸王とは別の方向、こちら側に歩いてくる。あたしの横を通り過ぎて、行ってしまった。
あたしはただ、しゃがんで、俯いて、声を殺して泣くことしか出来なかった。
──あたしって、バカだ。あたし、あたし。こんなに、あんなに、優しくて綺麗な世界をお姉様に見せることすらできないのに、お姉様が好きだなんて。
烏滸がましいって言うんだ、こういうの。可愛くて、美しくて、甘くて、優しいお姉様の…人間関係に、あたしなんかが怒ったり悲しんだりしちゃいけないんだ。どれだけ人間…百夜陸王があたしの心を恋であり愛であると言ってくれたとしても、それじゃあダメなんだ。
女王様。どうしてあたし達に、模倣だったとしても、「心」なんて与えたんですか?
*
神器をのせた台車を動かし、女王様の前に集まる。燭台、ウェディングケーキ、花束。あたしの手には、花弁が敷き詰められたカゴ。
「必要なものは全て集まったぜ!」
「二つの世界のため、女王の願いが叶いますように!」
「女王様、万歳!万歳!」
「…女王様と新世界に、祝福あれ」
神器をとりこんだ女王様は、力が満ちると言った。それを示すかのようにエネルギーが吹き荒れ、城の外まで影響を及ぼす。
そうして無事に儀式は執り行われ、破滅の王子は誕生した。形を変えていく世界に幸福をもたらすように、花弁は舞っていた。