お姉様ナンバーワン!【50・ブーケ】
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強い雨が降っている。城内にまで響く雨音は、どこか物悲しい。雨は嫌いだ。雨草履を履かないと、タイツから雨水がしみてくるから。
「今日も最高~!」
「雨、嫌い……」
「6月かあ…」
「ご機嫌斜めですね。どうかしましたか?」
「この時期、湿気は炎の大敵だからな」
武器の手入れをしながらファイヤキャンドルはそう言った。あたしも腕を組んでうんうんと頷く。
すると、椅子の間を通り抜けて行ったクオンが女王様に話しかけた。慌ててあたし達は彼の後ろに集まり、女王様の言葉を待つ。
「また指輪を集めて参りました」
彼が手で示すと、その先には大量の指輪が浮かんでいた。いつの間に集めたというのだろう。何にしても、抜け目のない男だ。
「よくやった。今は我に利のあるジューンの暦。これだけの指輪があれば始めてもよいかもしれぬ…かの儀式を」
「!?ほ、本気ですか!?女王様!」
「力の高まりを感じるのだ…。今こそ我の願いを叶える時…」
「こりゃ大変!大忙しになっちゃう!」
「おい!お前ら行くぜ!」
「待て」
城から慌てて飛び出そうとするあたし達を女王様は制した。
「儀式に必要となる三種の神器。これを持って見つけて参れ」
そう言うと、ファイヤキャンドル、お姉様、シャイニングナイフとスイートケークの手元にコンパスのような機械が現れた。あたしの手元には何もない。
機械を持ったまま、おずおず、といった感じでお姉様が前へと出る。
「恐れながら…時期尚早ではないでしょうか?まだ女王様の運命の乗り手も…」
「運命の乗り手…!……ってなんだっけ?」
「ああ…」
「本気ですか?」
「まったく…」
「本気ですか?何度もお話しましたよね?テガソードがその身に人間を乗り込ませるように、女王様にもその力を引き出すに相応しい乗り手が存在するんです」
「その名誉ある席に選ばれるため、ノーワン達は日々力を振るい自らのナンバーワンを示してるんだ」
お姉様からの説明をこんなにも忘れていたとは、味方ながら呆れた男だ。クオンの方が余程物を知っているとは。
「ノーワンがナンバーワンにこだわるのはそういうことだったのか」
「い…今知ったの?」
ずっこけるシャイニングナイフとスイートケーク。彼らを横目に、クオンは乗り手には自分を選んでほしいと申し出た。必ず女王様の願いを叶えてみせる、と言い切って。
「お前ならそう言ってくれるだろうと思っていた。ガリュードよ」
「……あのぅ、女王様…。あたしは、何をすれば…?」
「柚葉。お前はブーケの手伝いをするのが一番良いだろう。共に、人間界で神器である花束を見つけながら花弁を集めよ」
「!」
お姉様と一緒。嬉しい。喜びを態度に出してしまったあたしを見て、女王様はこう告げた。
「お前は”幸福の柚葉”。儀式の際に、祝福の象徴として花弁を降り注いでくれればよい」
「承知いたしました、女王様」
*
あたしとお姉様は、並んで人間界を歩いた。花屋を見たり、雑貨屋に入ったり。お姉様はいつの間にか花束を抱いており、ビニールハウスの中で花を物色していた。あたしはカゴを持ってその中にマーガレットの花弁を敷き詰めており、カゴの中は白やピンク、黄色でいっぱいになっていた。
「…花に申し訳ない……。花弁だけ千切るなんて…可哀想」
ビニールハウスの中でしゃがんで作業をしていると、お姉様の悲鳴が聞こえた。反射的に立ち上がって声の方を向くと──百夜陸王とお姉様が、向き合っている。
「…お姉様……?」
しゃがみながら進み、二人の方に近付く。幸いにも気付かれることはなかった。
お姉様は「わあっ!?」と声を上げて姿勢を崩す。地面に倒れそうになった彼女を陸王が抱き留め、「大丈夫?」と声をかけた。
──大丈夫、大丈夫、大丈夫。冷静になれ、あたし。あたしはお姉様に抱きしめてもらった。抱き留めるのとは訳が違う。あたしの方が、ずっと近くにいた。
……それなのに。それなのに、お姉様は、今の方が幸せそうな顔をしている。あたしを抱きしめるのなんて、何とも思っていないかのように。
「あの…!ちょっと近いです…」
「あっ…失礼。えっと…」
「「どうしてここに?」」
「あっ…」
「…気が合うね」
沸々と湧き上がる感情を抑える。早くお姉様の視界から消えてほしい。これ以上あの人の心を乱さないでほしい。
「ここのオーナーがたまたま僕の大ファンでね」
「わ…私は花束を作っていたのです。大切な方に喜んでもらえるように…」
微笑を浮かべて花束を見つめるお姉様の横顔は、まるで絵画のように美しい。ずっと見ていられるような美しさだ。可愛くて、でもかっこよくて、綺麗。見ているだけで胸がドキドキするのに、陸王ときたら表情一つ変えやしない。コイツは本当に人間なのだろうか。
「へえ~。可愛いブーケだね」
「今日も最高~!」
「雨、嫌い……」
「6月かあ…」
「ご機嫌斜めですね。どうかしましたか?」
「この時期、湿気は炎の大敵だからな」
武器の手入れをしながらファイヤキャンドルはそう言った。あたしも腕を組んでうんうんと頷く。
すると、椅子の間を通り抜けて行ったクオンが女王様に話しかけた。慌ててあたし達は彼の後ろに集まり、女王様の言葉を待つ。
「また指輪を集めて参りました」
彼が手で示すと、その先には大量の指輪が浮かんでいた。いつの間に集めたというのだろう。何にしても、抜け目のない男だ。
「よくやった。今は我に利のあるジューンの暦。これだけの指輪があれば始めてもよいかもしれぬ…かの儀式を」
「!?ほ、本気ですか!?女王様!」
「力の高まりを感じるのだ…。今こそ我の願いを叶える時…」
「こりゃ大変!大忙しになっちゃう!」
「おい!お前ら行くぜ!」
「待て」
城から慌てて飛び出そうとするあたし達を女王様は制した。
「儀式に必要となる三種の神器。これを持って見つけて参れ」
そう言うと、ファイヤキャンドル、お姉様、シャイニングナイフとスイートケークの手元にコンパスのような機械が現れた。あたしの手元には何もない。
機械を持ったまま、おずおず、といった感じでお姉様が前へと出る。
「恐れながら…時期尚早ではないでしょうか?まだ女王様の運命の乗り手も…」
「運命の乗り手…!……ってなんだっけ?」
「ああ…」
「本気ですか?」
「まったく…」
「本気ですか?何度もお話しましたよね?テガソードがその身に人間を乗り込ませるように、女王様にもその力を引き出すに相応しい乗り手が存在するんです」
「その名誉ある席に選ばれるため、ノーワン達は日々力を振るい自らのナンバーワンを示してるんだ」
お姉様からの説明をこんなにも忘れていたとは、味方ながら呆れた男だ。クオンの方が余程物を知っているとは。
「ノーワンがナンバーワンにこだわるのはそういうことだったのか」
「い…今知ったの?」
ずっこけるシャイニングナイフとスイートケーク。彼らを横目に、クオンは乗り手には自分を選んでほしいと申し出た。必ず女王様の願いを叶えてみせる、と言い切って。
「お前ならそう言ってくれるだろうと思っていた。ガリュードよ」
「……あのぅ、女王様…。あたしは、何をすれば…?」
「柚葉。お前はブーケの手伝いをするのが一番良いだろう。共に、人間界で神器である花束を見つけながら花弁を集めよ」
「!」
お姉様と一緒。嬉しい。喜びを態度に出してしまったあたしを見て、女王様はこう告げた。
「お前は”幸福の柚葉”。儀式の際に、祝福の象徴として花弁を降り注いでくれればよい」
「承知いたしました、女王様」
*
あたしとお姉様は、並んで人間界を歩いた。花屋を見たり、雑貨屋に入ったり。お姉様はいつの間にか花束を抱いており、ビニールハウスの中で花を物色していた。あたしはカゴを持ってその中にマーガレットの花弁を敷き詰めており、カゴの中は白やピンク、黄色でいっぱいになっていた。
「…花に申し訳ない……。花弁だけ千切るなんて…可哀想」
ビニールハウスの中でしゃがんで作業をしていると、お姉様の悲鳴が聞こえた。反射的に立ち上がって声の方を向くと──百夜陸王とお姉様が、向き合っている。
「…お姉様……?」
しゃがみながら進み、二人の方に近付く。幸いにも気付かれることはなかった。
お姉様は「わあっ!?」と声を上げて姿勢を崩す。地面に倒れそうになった彼女を陸王が抱き留め、「大丈夫?」と声をかけた。
──大丈夫、大丈夫、大丈夫。冷静になれ、あたし。あたしはお姉様に抱きしめてもらった。抱き留めるのとは訳が違う。あたしの方が、ずっと近くにいた。
……それなのに。それなのに、お姉様は、今の方が幸せそうな顔をしている。あたしを抱きしめるのなんて、何とも思っていないかのように。
「あの…!ちょっと近いです…」
「あっ…失礼。えっと…」
「「どうしてここに?」」
「あっ…」
「…気が合うね」
沸々と湧き上がる感情を抑える。早くお姉様の視界から消えてほしい。これ以上あの人の心を乱さないでほしい。
「ここのオーナーがたまたま僕の大ファンでね」
「わ…私は花束を作っていたのです。大切な方に喜んでもらえるように…」
微笑を浮かべて花束を見つめるお姉様の横顔は、まるで絵画のように美しい。ずっと見ていられるような美しさだ。可愛くて、でもかっこよくて、綺麗。見ているだけで胸がドキドキするのに、陸王ときたら表情一つ変えやしない。コイツは本当に人間なのだろうか。
「へえ~。可愛いブーケだね」