ヨシ!【爆上・振騎玄蕃】
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あれから、少しして。また日常は戻り始めていた。いつもと変わらない風景に、街頭ビジョンから流れるISAの不祥事に関する後始末のニュース。
「ISAの外部協力者、ですか?」
「ああ。調さん曰く、ちゃんと給料も出るらしい」
「でも、私…アイス屋で十分ですよ…?」
「俺が暫く地球を離れることになったからな、オーナーがいないならそっちも長期休暇だ。急な話になってすまない」
カレーをすくったスプーンが手から落ちそうになった。理性でそれを抑え、「そうですか」と俯いて言葉を絞り出す。
「……お戻りは、いつ頃で?」
「…わからない」
「…寂しくなりますね」
「…玄蕃から、話は聞いていないか?」
「はい、まだ何も…」
「じゃあ、俺から話すのはやめておくよ。二人で話してくれ」
「お気遣い、ありがとうございます」
地球を離れる。多分それは、大也だけではなくブンブンジャーのみんなが。宇宙には彼らによる助けを求めている人が沢山いるし、何よりBBGがある。ブンドリオがもう一度BBGに参加するという夢を実現させる…届けることが、彼の夢。そして、ブンブンジャーは元々その為に作られたもの。
これがどういう意味なのかは、大也の口から語られずとも察せられた。
「……あの時、私に手を差し伸べて下さってありがとうございます」
地球にやって来て。右も左もわからない場所で彷徨っていた私に仕事を与えてくれて。間違いなく、大也がいなければ私は今ここにいなかった。いたとしても、今のような幸せは無かっただろう。
「大也さん…何となく、わかっていたんじゃないですか?私が宇宙人だってこと…」
「……柚葉と出会う前に、玄蕃と出会っていたからな。似たような子だとは思っていたし…色々心配だった」
「え」
「玄蕃はともかく…柚葉は文字も数字もわからなくて、まずそこからだっただろ?」
「うっ…す、すみません…」
確かに、地球に来たばかりの時は難しい言葉は勿論、少し複雑な計算も出来なかった。雇ってもらう前に大也が根気よく教えてくれて、今の生活になったのである。
大也は苦笑し、「気にするな」と言った。器が大きい。それに、彼の過去を考えれば…困っている人を見ていられなかったのだろう。
「…柚葉。俺達なら、君の故郷を助けられる」
「…」
「君達の戦いの歴史に幕を下ろして…平和な世界を築くよう促すことができる。…どうしてほしい?」
「…ありがとうございます。でも、故郷には…構わないでください。きっと、みんながみんな…私のように戦いをやめることを望んでいる訳ではありません」
そもそも、地球での倫理観とか、常識とかが通用するところではない。ブンブンジャーが故郷のハシリヤン問題を解決したところで、すぐに平和な惑星になるとは思えないのである。
「あと…多分、その内滅ぶか…文明を築くかのどちらかに転じると思うんです」
「どうしてだ?」
「SF作品を観たんです。私の種族のような異星人が登場しましたが…高い知能と文化を持っていました。同じような戦闘民族でも、こんな風に育つことが出来るなら…いつか故郷もそうなるんじゃないかと思いまして」
「…」
「地球人にとっては長すぎる道のりです。だから、ブンブンジャーが介入する必要はありません。それも、私達のハンドルですから」
「…そうか。わかったよ」
案外すんなりと頷いてくれたことに驚いたが、その気楽さが心地よかった。
私は故郷を捨てた。あそこに私の居場所はないから。でも、地球という惑星に来て、素敵な人達と出会って。運命のような、それでいて、偶然のような出会いもして。人を愛すること、愛されることの幸せも知って。もう十分過ぎるくらい、色んなものを受け取った。だから、故郷に縛られる必要はない。
「…大也さんが語る理想の世界に、深く共感したんです。だからこそ、地球人よりも力のある自分はそれに貢献すべきだと思いました」
「…ああ。地球を頼むよ」
「はい。これが私の握るハンドルです、大也さん」
笑ってグーにした拳を突き出すと、彼も同じようにして拳を合わせてくれる。
宇宙一の届け屋は、素晴らしい出会いを私に届けてくれたのだった。
「ISAの外部協力者、ですか?」
「ああ。調さん曰く、ちゃんと給料も出るらしい」
「でも、私…アイス屋で十分ですよ…?」
「俺が暫く地球を離れることになったからな、オーナーがいないならそっちも長期休暇だ。急な話になってすまない」
カレーをすくったスプーンが手から落ちそうになった。理性でそれを抑え、「そうですか」と俯いて言葉を絞り出す。
「……お戻りは、いつ頃で?」
「…わからない」
「…寂しくなりますね」
「…玄蕃から、話は聞いていないか?」
「はい、まだ何も…」
「じゃあ、俺から話すのはやめておくよ。二人で話してくれ」
「お気遣い、ありがとうございます」
地球を離れる。多分それは、大也だけではなくブンブンジャーのみんなが。宇宙には彼らによる助けを求めている人が沢山いるし、何よりBBGがある。ブンドリオがもう一度BBGに参加するという夢を実現させる…届けることが、彼の夢。そして、ブンブンジャーは元々その為に作られたもの。
これがどういう意味なのかは、大也の口から語られずとも察せられた。
「……あの時、私に手を差し伸べて下さってありがとうございます」
地球にやって来て。右も左もわからない場所で彷徨っていた私に仕事を与えてくれて。間違いなく、大也がいなければ私は今ここにいなかった。いたとしても、今のような幸せは無かっただろう。
「大也さん…何となく、わかっていたんじゃないですか?私が宇宙人だってこと…」
「……柚葉と出会う前に、玄蕃と出会っていたからな。似たような子だとは思っていたし…色々心配だった」
「え」
「玄蕃はともかく…柚葉は文字も数字もわからなくて、まずそこからだっただろ?」
「うっ…す、すみません…」
確かに、地球に来たばかりの時は難しい言葉は勿論、少し複雑な計算も出来なかった。雇ってもらう前に大也が根気よく教えてくれて、今の生活になったのである。
大也は苦笑し、「気にするな」と言った。器が大きい。それに、彼の過去を考えれば…困っている人を見ていられなかったのだろう。
「…柚葉。俺達なら、君の故郷を助けられる」
「…」
「君達の戦いの歴史に幕を下ろして…平和な世界を築くよう促すことができる。…どうしてほしい?」
「…ありがとうございます。でも、故郷には…構わないでください。きっと、みんながみんな…私のように戦いをやめることを望んでいる訳ではありません」
そもそも、地球での倫理観とか、常識とかが通用するところではない。ブンブンジャーが故郷のハシリヤン問題を解決したところで、すぐに平和な惑星になるとは思えないのである。
「あと…多分、その内滅ぶか…文明を築くかのどちらかに転じると思うんです」
「どうしてだ?」
「SF作品を観たんです。私の種族のような異星人が登場しましたが…高い知能と文化を持っていました。同じような戦闘民族でも、こんな風に育つことが出来るなら…いつか故郷もそうなるんじゃないかと思いまして」
「…」
「地球人にとっては長すぎる道のりです。だから、ブンブンジャーが介入する必要はありません。それも、私達のハンドルですから」
「…そうか。わかったよ」
案外すんなりと頷いてくれたことに驚いたが、その気楽さが心地よかった。
私は故郷を捨てた。あそこに私の居場所はないから。でも、地球という惑星に来て、素敵な人達と出会って。運命のような、それでいて、偶然のような出会いもして。人を愛すること、愛されることの幸せも知って。もう十分過ぎるくらい、色んなものを受け取った。だから、故郷に縛られる必要はない。
「…大也さんが語る理想の世界に、深く共感したんです。だからこそ、地球人よりも力のある自分はそれに貢献すべきだと思いました」
「…ああ。地球を頼むよ」
「はい。これが私の握るハンドルです、大也さん」
笑ってグーにした拳を突き出すと、彼も同じようにして拳を合わせてくれる。
宇宙一の届け屋は、素晴らしい出会いを私に届けてくれたのだった。