ヨシ!【爆上・振騎玄蕃】
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年が明けて数日。そろそろブンブンジャーの人達と会いたいなあと考えていたとき、道行く人達が立ち止まって上を見上げていた。私もそれに倣って街頭モニターをふと見上げる。
「私達は騙されていたのでしょうか?宇宙人ハシリヤンと戦うブンブンジャーですが、彼らもまた地球を支配しようとする悪の組織なのではないか。多くの市民からは現在、ブンブンジャーを捕らえて真実を明らかにせよとの声が上がっています」
「…何これ…」
すると、タイミング良くスマホの通知が鳴った。慌てて画面を開くと、玄蕃からのメッセージが来ている。すぐに指定した場所に来てくれ、との内容だった。
*
指定された場所は、人目のつかない廃工場のような場所だった。喋り声と作業する音が聞こえてきた為そちらまで向かうと、射士郎を除くブンブンジャーの皆と、横たわるブンドリオがいた。皆は何故かカレーを食べている最中だ。
「…柚葉…」
「…皆さん、どうしたんですか?それに、あのニュース…」
「すまない、私が彼女を呼んだ。いずれ彼女も警察に見つかると思ったから…」
玄蕃は一から説明してくれた。射士郎がブンブンジャーと対立したこと、やはりISAはハシリヤンと繋がっていたこと、大也は恩師に裏切られていたこと、恩師に資産を奪われたこと、そしてスピンドーがブンドリオの命を奪ったこと。
私はISAのことも大也の恩師のことも知らないが、優しい彼らを騙していることに腸が煮えくり返った。そして、地球人をいい様に利用しているハシリヤンにも。ISAがハシリヤンと手を組んでいるのは分かったが、どうせハシリヤンにも何かしらの思惑がある筈だ。
「…また、何もできなかった…。すぐそばにいたのに…声が聞こえてたのに…」
「”また”って…何があったんですか?」
「話してよ、大也…」
「いつも言っている”余裕”に関係あるのでは?」
ひどく疲れた顔をして呟いた大也に、三人が寄り添った。そうして彼はポツポツと語り始めた。小学生の頃、隣の部屋の子供が事件に遭った。子供の悲鳴は聞こえていたのに、何も出来なかった。今でもあの子の悲鳴が響いていると彼は言った。…まるで、自分に呪いをかけているようだ。
「あれから毎日、同じような事件のニュースを追いかけた。それで、あの子よりもっと酷いケースが世界中で起きていると知った。俺に何ができるのか、そればかり考えていた…」
子供故の限界。だから大人の力に手を伸ばした。余裕のある大人ほど何もしないという残酷な現実。子供達の悲鳴を無くしたいという思いを、綺麗事だと笑われる。──だから、自分が誰よりも余裕のある大人になる。子供達が夢を見られる場所を作る。自分が死んだあとも、その世界がずっと続くようにしたい。
…普通の人ならば、辿り着かないような領域の話だ。地球人よりも武力に長けている私ですら、人を助けることには限界を感じる。それなのに、ブンブンジャーになる前は私よりも…弱く、幼かった彼が、こんなに大きなものを背負っている。
聞いているだけで、涙が出そうだった。力のある者は与えることが役目なのに、それをしない人もいる。そんな現実も相まって、幼かった彼にここまで強い呪いを植え付けた。そして呪いは今、彼の心を蝕んでいる。
「俺はブンブンと走ると決めたことを後悔なんかしない。失ったものはまた作り上げるだけだ」
ブンドリオの体を撫で、大也はそう言った。錠が立ち上がり、「俺は綺麗事だなんて思いません」と強い口調で告げる。続いて玄蕃も立ち上がった。
「一人で戦うには大きすぎる敵だねえ」
「そうだよ、一人で抱えないで。私達が…仲間がいるんだよ」
「…ありがとう。君達が仲間で良かった」
大也がそう言って微笑むと、未来が鼻声で「やっと自分のハンドル取り戻してくれた」と言った。首に掛けていたペンダントに、彼女の目から涙が零れ落ちる。その瞬間ペンダントが光り、ホログラムを投影した。
「二コーラ姫…」
「妾は今同志を集め惑星トリクルを解放する戦いの最中。このような連絡となってしまったことを許してたも。宇宙開闢を伝える我が宝玉がそなた達の危機を予見し妾に伝えてきたのじゃ。さらに見よ」
二コーラ姫の隣に球体の物が投影される。
「これなるものが危機を打ち破る鍵となると我が宝玉は伝えている。乗り越える為に最も必要な力をその鍵に示せ、と。互いに良き知らせを交わせるように妾も戦う。そなた達もどうか武運を」
そう告げて彼女のホログラムは消えた。二コーラ姫の話は聞いていたが、本当にこんな形で姿を見ることが出来るとは思わなかった。
「私達は騙されていたのでしょうか?宇宙人ハシリヤンと戦うブンブンジャーですが、彼らもまた地球を支配しようとする悪の組織なのではないか。多くの市民からは現在、ブンブンジャーを捕らえて真実を明らかにせよとの声が上がっています」
「…何これ…」
すると、タイミング良くスマホの通知が鳴った。慌てて画面を開くと、玄蕃からのメッセージが来ている。すぐに指定した場所に来てくれ、との内容だった。
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指定された場所は、人目のつかない廃工場のような場所だった。喋り声と作業する音が聞こえてきた為そちらまで向かうと、射士郎を除くブンブンジャーの皆と、横たわるブンドリオがいた。皆は何故かカレーを食べている最中だ。
「…柚葉…」
「…皆さん、どうしたんですか?それに、あのニュース…」
「すまない、私が彼女を呼んだ。いずれ彼女も警察に見つかると思ったから…」
玄蕃は一から説明してくれた。射士郎がブンブンジャーと対立したこと、やはりISAはハシリヤンと繋がっていたこと、大也は恩師に裏切られていたこと、恩師に資産を奪われたこと、そしてスピンドーがブンドリオの命を奪ったこと。
私はISAのことも大也の恩師のことも知らないが、優しい彼らを騙していることに腸が煮えくり返った。そして、地球人をいい様に利用しているハシリヤンにも。ISAがハシリヤンと手を組んでいるのは分かったが、どうせハシリヤンにも何かしらの思惑がある筈だ。
「…また、何もできなかった…。すぐそばにいたのに…声が聞こえてたのに…」
「”また”って…何があったんですか?」
「話してよ、大也…」
「いつも言っている”余裕”に関係あるのでは?」
ひどく疲れた顔をして呟いた大也に、三人が寄り添った。そうして彼はポツポツと語り始めた。小学生の頃、隣の部屋の子供が事件に遭った。子供の悲鳴は聞こえていたのに、何も出来なかった。今でもあの子の悲鳴が響いていると彼は言った。…まるで、自分に呪いをかけているようだ。
「あれから毎日、同じような事件のニュースを追いかけた。それで、あの子よりもっと酷いケースが世界中で起きていると知った。俺に何ができるのか、そればかり考えていた…」
子供故の限界。だから大人の力に手を伸ばした。余裕のある大人ほど何もしないという残酷な現実。子供達の悲鳴を無くしたいという思いを、綺麗事だと笑われる。──だから、自分が誰よりも余裕のある大人になる。子供達が夢を見られる場所を作る。自分が死んだあとも、その世界がずっと続くようにしたい。
…普通の人ならば、辿り着かないような領域の話だ。地球人よりも武力に長けている私ですら、人を助けることには限界を感じる。それなのに、ブンブンジャーになる前は私よりも…弱く、幼かった彼が、こんなに大きなものを背負っている。
聞いているだけで、涙が出そうだった。力のある者は与えることが役目なのに、それをしない人もいる。そんな現実も相まって、幼かった彼にここまで強い呪いを植え付けた。そして呪いは今、彼の心を蝕んでいる。
「俺はブンブンと走ると決めたことを後悔なんかしない。失ったものはまた作り上げるだけだ」
ブンドリオの体を撫で、大也はそう言った。錠が立ち上がり、「俺は綺麗事だなんて思いません」と強い口調で告げる。続いて玄蕃も立ち上がった。
「一人で戦うには大きすぎる敵だねえ」
「そうだよ、一人で抱えないで。私達が…仲間がいるんだよ」
「…ありがとう。君達が仲間で良かった」
大也がそう言って微笑むと、未来が鼻声で「やっと自分のハンドル取り戻してくれた」と言った。首に掛けていたペンダントに、彼女の目から涙が零れ落ちる。その瞬間ペンダントが光り、ホログラムを投影した。
「二コーラ姫…」
「妾は今同志を集め惑星トリクルを解放する戦いの最中。このような連絡となってしまったことを許してたも。宇宙開闢を伝える我が宝玉がそなた達の危機を予見し妾に伝えてきたのじゃ。さらに見よ」
二コーラ姫の隣に球体の物が投影される。
「これなるものが危機を打ち破る鍵となると我が宝玉は伝えている。乗り越える為に最も必要な力をその鍵に示せ、と。互いに良き知らせを交わせるように妾も戦う。そなた達もどうか武運を」
そう告げて彼女のホログラムは消えた。二コーラ姫の話は聞いていたが、本当にこんな形で姿を見ることが出来るとは思わなかった。