ヨシ!【爆上・振騎玄蕃】
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玄蕃から離れられくなるというか、彼のところに行くというのは、つまり嫁入りという意味なのだろう。
「…い、良いに決まってるじゃないですか…。玄蕃さんも、素敵な洋服もあるなんて、幸せ過ぎます…」
「…それは…その、うちに来るのは構わないということかな…?」
「当たり前じゃないですか…!だって、玄蕃さんは…いずれ私の隣を、生きる場所にしたいって言ったじゃないですか…」
「それは…そうなんだが…。話が早すぎて、気持ち悪がられていたらどうしようという不安もあって…」
「…元々、私の種族は手が早いんです。本来なら、こういう時間やキスをすっ飛ばして繁殖行為をするような種族なんですよ?」
そう言うと、玄蕃は私を抱きしめる手を離して噎せた。余程驚いたらしい。やはり、他の種族からすれば有り得ないことだったのか。
「その…破廉恥な話なんですけど、繁殖の為に性欲も強くなるよう進化しちゃって。私も地球の恋愛文化を学ぶ前は、好きな人ができたら告白して…その日のうちに同じ床に入るのが普通だと思っていたんです」
「…もしかして、私との交際は物足りないかい?勿論、君さえ良ければいつでも応える準備は出来ているんだが…」
「いえ、恋愛文化は楽しいですし…ゆっくり進むのも、ささやかな幸せをかみしめることができて…凄く充実しています。それに…は、繁殖とか…そういうのを望まない人がいることも分かったので…」
そう言いつつ腕の中で縮こまった。私としては、繁殖するかどうかは重要ではない。隣に玄蕃がいるのなら、それだけで十分幸せだ。勿論家族を増やすことも幸せの一つだとは思うが、それが絶対とは思わないし、絶対ではないことを地球で学んだ。
「…私は勿論、君の意思を尊重する。ただ、立場上どうしても…子供を持つことを望まれるんだ。家業を継いでもらう存在がいるからね」
「な、成る程…。そうですよね、玄蕃さんって…王子様みたいな人ですもんね…」
「王子様ではないよ。ただ、家業を継ぐ者として若旦那と呼ばれているだけさ」
「…今更ですけど、そんな方が…私の種族と交際なんていいんですか?だって、宇宙での評判は良くないですし…」
「そんなことで君を疎むような者達は私の周りにはいないさ」
「…素敵なところで、育ったんですね」
少し、羨ましい。もし私が、こんな風に穏やかで健全な場所で、愛されて育っていたら。…でも、そんなことは考えても仕方ない。それに、ああいう惑星で育ったからこそ、大事な人達を守る力だって得られたのだ。力は使いよう、とはまさしく彼が教えてくれた。
「何だか、少し遠い未来の話をしてしまったね。まだハシリヤン問題も解決していないというのに」
「そ、そうですね…」
「…大丈夫。君が望んでくれる限り、私は君の所に帰って来るよ」
そう言って彼は私の頭を撫でた。何だか、遠くへ行ってしまう人のような台詞だ。
「…そうだと、嬉しいです」
どこにも行ってほしくない、という言葉は飲み込んだ。私のワガママで彼を縛ることはできない。…他人のハンドルは、握ろうとしてはいけないから。
*
「すまない。随分長居してしまったね」
「いえ!いつでも来てくださいね」
玄蕃を市街地の方まで見送り、ひらひらと手を振って別れる。黒い上着は風に吹かれてたなびいていた。
その後ろ姿が、何だか少し寂しそうに見える。彼は数歩歩いたあと、こちらを振り返った。私がまだ見ていたことに気付き、ふにゃりとした笑みを浮かべる。走ってこちらまで戻って来た。
「……離れがたいな…」
「ふふ、私もです」
「…やっぱり、今日は泊ってもいいかい?」
「喜んで!」
「それじゃあ、買い出しに行こうか」
「食材ならありますよ?」
「私の替えの服だよ。…全裸で寝る訳にもいかないだろう?」
「ぜッ、」
ぶわわ、と頬が熱くなっていくのを感じる。それは確かに、買いにいかなければならない。絶対に。
「…ば、晩御飯の買い出しも、やらないといけないですもんね…!」
「そうだね、それも必要だ」
「私…あんまり料理できないんですけど、いいですか…?」
「普段はどんなものを作っているんだい?」
「所謂、男飯ってやつですね…。茶色だと、美味しいので…」
「…まあ、それには私も同意だ」
行こう、と言って彼はスマートに私の手を握った。武器を握っているからか、タコになっているところがある。柔らかい手が、どうかタコくらいで済みますようにと祈り、握り返した。
「…い、良いに決まってるじゃないですか…。玄蕃さんも、素敵な洋服もあるなんて、幸せ過ぎます…」
「…それは…その、うちに来るのは構わないということかな…?」
「当たり前じゃないですか…!だって、玄蕃さんは…いずれ私の隣を、生きる場所にしたいって言ったじゃないですか…」
「それは…そうなんだが…。話が早すぎて、気持ち悪がられていたらどうしようという不安もあって…」
「…元々、私の種族は手が早いんです。本来なら、こういう時間やキスをすっ飛ばして繁殖行為をするような種族なんですよ?」
そう言うと、玄蕃は私を抱きしめる手を離して噎せた。余程驚いたらしい。やはり、他の種族からすれば有り得ないことだったのか。
「その…破廉恥な話なんですけど、繁殖の為に性欲も強くなるよう進化しちゃって。私も地球の恋愛文化を学ぶ前は、好きな人ができたら告白して…その日のうちに同じ床に入るのが普通だと思っていたんです」
「…もしかして、私との交際は物足りないかい?勿論、君さえ良ければいつでも応える準備は出来ているんだが…」
「いえ、恋愛文化は楽しいですし…ゆっくり進むのも、ささやかな幸せをかみしめることができて…凄く充実しています。それに…は、繁殖とか…そういうのを望まない人がいることも分かったので…」
そう言いつつ腕の中で縮こまった。私としては、繁殖するかどうかは重要ではない。隣に玄蕃がいるのなら、それだけで十分幸せだ。勿論家族を増やすことも幸せの一つだとは思うが、それが絶対とは思わないし、絶対ではないことを地球で学んだ。
「…私は勿論、君の意思を尊重する。ただ、立場上どうしても…子供を持つことを望まれるんだ。家業を継いでもらう存在がいるからね」
「な、成る程…。そうですよね、玄蕃さんって…王子様みたいな人ですもんね…」
「王子様ではないよ。ただ、家業を継ぐ者として若旦那と呼ばれているだけさ」
「…今更ですけど、そんな方が…私の種族と交際なんていいんですか?だって、宇宙での評判は良くないですし…」
「そんなことで君を疎むような者達は私の周りにはいないさ」
「…素敵なところで、育ったんですね」
少し、羨ましい。もし私が、こんな風に穏やかで健全な場所で、愛されて育っていたら。…でも、そんなことは考えても仕方ない。それに、ああいう惑星で育ったからこそ、大事な人達を守る力だって得られたのだ。力は使いよう、とはまさしく彼が教えてくれた。
「何だか、少し遠い未来の話をしてしまったね。まだハシリヤン問題も解決していないというのに」
「そ、そうですね…」
「…大丈夫。君が望んでくれる限り、私は君の所に帰って来るよ」
そう言って彼は私の頭を撫でた。何だか、遠くへ行ってしまう人のような台詞だ。
「…そうだと、嬉しいです」
どこにも行ってほしくない、という言葉は飲み込んだ。私のワガママで彼を縛ることはできない。…他人のハンドルは、握ろうとしてはいけないから。
*
「すまない。随分長居してしまったね」
「いえ!いつでも来てくださいね」
玄蕃を市街地の方まで見送り、ひらひらと手を振って別れる。黒い上着は風に吹かれてたなびいていた。
その後ろ姿が、何だか少し寂しそうに見える。彼は数歩歩いたあと、こちらを振り返った。私がまだ見ていたことに気付き、ふにゃりとした笑みを浮かべる。走ってこちらまで戻って来た。
「……離れがたいな…」
「ふふ、私もです」
「…やっぱり、今日は泊ってもいいかい?」
「喜んで!」
「それじゃあ、買い出しに行こうか」
「食材ならありますよ?」
「私の替えの服だよ。…全裸で寝る訳にもいかないだろう?」
「ぜッ、」
ぶわわ、と頬が熱くなっていくのを感じる。それは確かに、買いにいかなければならない。絶対に。
「…ば、晩御飯の買い出しも、やらないといけないですもんね…!」
「そうだね、それも必要だ」
「私…あんまり料理できないんですけど、いいですか…?」
「普段はどんなものを作っているんだい?」
「所謂、男飯ってやつですね…。茶色だと、美味しいので…」
「…まあ、それには私も同意だ」
行こう、と言って彼はスマートに私の手を握った。武器を握っているからか、タコになっているところがある。柔らかい手が、どうかタコくらいで済みますようにと祈り、握り返した。