ヨシ!【爆上・振騎玄蕃】
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柚葉に話をした数日後、スピンドーはやって来た。圧倒的な力で大也を圧倒し、力の差を見せつけた。ISAがハシリヤンと組んでいるということも知った彼らは、これからやって来るであろう脅威に緊張が走っていた。
「玄蕃さん?」
考え事に耽っていた玄蕃の顔を柚葉が覗き込む。まだ何も知らない彼女は、純粋に玄蕃と過ごす時間を楽しんでいた。
「どうかしました…?」
「…柚葉…」
「はい、なんでしょう?」
「…少し、誰もいない静かなところで話したい。いい場所はあるかな」
静かなところ…と柚葉が復唱し、少し考える。
「……私の…宇宙船、来ますか?」
*
大也が所有する敷地内に平然とした様子で柚葉は入って行った。鬱蒼とした森の中に、玄蕃が所持している物と少し違う船が座礁している。
玄蕃を招き、二人は宇宙船に入った。船内は可愛らしい物で溢れており、中には地球の物ではなさそうな物もあった。
「…これは、銀河通販の船だね」
「はい。旧友が残していった物です。操縦者がいなくなったので、盗む形にはなりますが私がここまで乗って来ました」
「操縦するのは、大変だっただろう?」
「そこはまあ…野生の勘で」
えへへ、と笑って誤魔化す。玄蕃に席に着くよう促し、柚葉は自分も向かい側に座った。机の上には花瓶の中に造花が一輪飾られており、無骨な宇宙船の中で彼女らしい生活をしていることがよく分かる。
「それで…お話ってなんですか?」
「…先日話をしたところだっただが、ハシリヤンのボス…ワルイド・スピンドーが地球にやって来た。私はその時敵の攻撃にやられていた為この目で見た訳じゃないが…話によると、奴は本気で地球を侵略しに来ているらしい」
「!ハシリヤンのボスが…」
「君も十分警戒してほしい。…ディスレースの時のようなことは、もう味わいたくない」
曇った顔を見せる玄蕃。彼の心中を察して柚葉は素直に頷き、二人の間に沈黙が流れる。
「…人目を避けたかったのは、ISAの監視の目から逃れたかったからだ」
「ISAの…?」
「…ISAがハシリヤンと繋がっている。まだ確証はないが…殆ど確定事項として扱っていいだろう」
「し、調さんは大丈夫ですよね?」
「その大丈夫、が彼女の安否なのか味方かどうかについてなのかは分からないが……彼女は味方だよ」
「よ、良かったぁ~…」
「…私の故郷、惑星ブレキへの侵略行為はただの破壊行為じゃなかった。陰謀や裏切りが内部で起こり…じわじわと蝕まれていくようだったよ。…陰湿なものだった」
「…地球も、そうなるかもしれないんですか。地球人が…地球人を騙して…」
「…その可能性は大いにあるね。だからこそ、君にはとくに注意してほしい」
玄蕃は淡いクリーム色の飴を差し出す。リンゴ味と書かれていた。
「君は錠に似ている」
「えっ」
「人を守りたいという強い気持ちは、よく似ていると私は思うよ」
「そ、そんなことないです。私は…可愛いから守りたいっていう、不純な気持ちですし…。錠さんの方が、何倍も真っ直ぐです」
「だとしても、だ。きっと、人に助けを求められたら君達は疑わずに手を差し伸べるだろう。もし、その手を掴まれたら?沼地に引きずり込まれたら?……善意が利用されるなんて、考えたくもない」
「…そう…ですね。地球人を傷付けるのも…やりたくないですし」
「…出来ない、とは言わないのかい?」
「…守る為なら、戦います。でも、私刑はしません。ここは地球ですから、地球人を裁くのは地球の法に任せます」
そういうところも似ているんだがなあ、と玄蕃は内心思ったが口にはしなかった。柚葉は少し物思いに耽っている。
「……」
「…何か、思うところが?」
「いえ…ただ、皆さんが危ない目に遭うのは嫌だなあって思って…」
「そういう役目だからね、仕方ないさ」
「……五体満足で…健康で、いてくださいね?」
「…勿論だとも」
柚葉にとっては本気の願いであり祈りだった。勿論玄蕃もその言葉の意味を理解している。銀河通販のマークがついてある宇宙船は柚葉が過ごしてきたにおいで埋め尽くされていたが、仄かに故郷のにおいが残っていた。
「玄蕃さん?」
考え事に耽っていた玄蕃の顔を柚葉が覗き込む。まだ何も知らない彼女は、純粋に玄蕃と過ごす時間を楽しんでいた。
「どうかしました…?」
「…柚葉…」
「はい、なんでしょう?」
「…少し、誰もいない静かなところで話したい。いい場所はあるかな」
静かなところ…と柚葉が復唱し、少し考える。
「……私の…宇宙船、来ますか?」
*
大也が所有する敷地内に平然とした様子で柚葉は入って行った。鬱蒼とした森の中に、玄蕃が所持している物と少し違う船が座礁している。
玄蕃を招き、二人は宇宙船に入った。船内は可愛らしい物で溢れており、中には地球の物ではなさそうな物もあった。
「…これは、銀河通販の船だね」
「はい。旧友が残していった物です。操縦者がいなくなったので、盗む形にはなりますが私がここまで乗って来ました」
「操縦するのは、大変だっただろう?」
「そこはまあ…野生の勘で」
えへへ、と笑って誤魔化す。玄蕃に席に着くよう促し、柚葉は自分も向かい側に座った。机の上には花瓶の中に造花が一輪飾られており、無骨な宇宙船の中で彼女らしい生活をしていることがよく分かる。
「それで…お話ってなんですか?」
「…先日話をしたところだっただが、ハシリヤンのボス…ワルイド・スピンドーが地球にやって来た。私はその時敵の攻撃にやられていた為この目で見た訳じゃないが…話によると、奴は本気で地球を侵略しに来ているらしい」
「!ハシリヤンのボスが…」
「君も十分警戒してほしい。…ディスレースの時のようなことは、もう味わいたくない」
曇った顔を見せる玄蕃。彼の心中を察して柚葉は素直に頷き、二人の間に沈黙が流れる。
「…人目を避けたかったのは、ISAの監視の目から逃れたかったからだ」
「ISAの…?」
「…ISAがハシリヤンと繋がっている。まだ確証はないが…殆ど確定事項として扱っていいだろう」
「し、調さんは大丈夫ですよね?」
「その大丈夫、が彼女の安否なのか味方かどうかについてなのかは分からないが……彼女は味方だよ」
「よ、良かったぁ~…」
「…私の故郷、惑星ブレキへの侵略行為はただの破壊行為じゃなかった。陰謀や裏切りが内部で起こり…じわじわと蝕まれていくようだったよ。…陰湿なものだった」
「…地球も、そうなるかもしれないんですか。地球人が…地球人を騙して…」
「…その可能性は大いにあるね。だからこそ、君にはとくに注意してほしい」
玄蕃は淡いクリーム色の飴を差し出す。リンゴ味と書かれていた。
「君は錠に似ている」
「えっ」
「人を守りたいという強い気持ちは、よく似ていると私は思うよ」
「そ、そんなことないです。私は…可愛いから守りたいっていう、不純な気持ちですし…。錠さんの方が、何倍も真っ直ぐです」
「だとしても、だ。きっと、人に助けを求められたら君達は疑わずに手を差し伸べるだろう。もし、その手を掴まれたら?沼地に引きずり込まれたら?……善意が利用されるなんて、考えたくもない」
「…そう…ですね。地球人を傷付けるのも…やりたくないですし」
「…出来ない、とは言わないのかい?」
「…守る為なら、戦います。でも、私刑はしません。ここは地球ですから、地球人を裁くのは地球の法に任せます」
そういうところも似ているんだがなあ、と玄蕃は内心思ったが口にはしなかった。柚葉は少し物思いに耽っている。
「……」
「…何か、思うところが?」
「いえ…ただ、皆さんが危ない目に遭うのは嫌だなあって思って…」
「そういう役目だからね、仕方ないさ」
「……五体満足で…健康で、いてくださいね?」
「…勿論だとも」
柚葉にとっては本気の願いであり祈りだった。勿論玄蕃もその言葉の意味を理解している。銀河通販のマークがついてある宇宙船は柚葉が過ごしてきたにおいで埋め尽くされていたが、仄かに故郷のにおいが残っていた。