ヨシ!【爆上・振騎玄蕃】
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玄蕃から大也の家に来てほしいと言われたのはつい先程だった。彼が急な連絡を寄越すのは珍しい。何かあったのだろうかと駆け足で向かい、ガレージに踏み入れる。誰もが神妙な顔をしていた。
「あの…連絡を見て来たんですけど…」
「…柚葉。二つ、伝えたいことがある」
「?はい」
呼び出した玄蕃に代わり、射士郎が前に出た。彼は平然とした様子で口を開く。
「一つ目。ブンブンジャーが完全に敵の監視対象になった。恐らく…お前も見張られている」
「えっ…」
「二つ目は…ハシリヤンのボス、ワルイド・スピンドーの右腕…大番頭のグランツ・リスクがやって来た。これから更に戦いは激しくなる」
「…」
戦いが…激化する。それは、私の故郷が受けた侵略を、地球も受けることになるということだろうか。
地球人は弱い。ブンブンジャーが強いことは分かっているが…それでも、不安だ。怖い。もし、玄蕃達が負けたら。そんなこと考えたくもないが、どうしてもかつての記憶が脳裏を過ってしまう。もう誰も失いたくはないのに。
私が俯いていると、調が立ちあがって私のところへやって来た。
「…巴柚葉。あなたには、逃げる選択肢もあります。このまま地球を出て…どこか遠くの星で、穏やかに暮らすことだって出来るのではありませんか?」
「…技術的には、出来ます。でも…私はもう、大事な人に死んでほしくありません。…皆さんと一緒にいたいと、決めましたから」
「…そうですか。くれぐれも、ハシリヤンには見つからないように気を付けてください。あなたを利用しに来る可能性も十分にあります」
「そうですね…。以前、ディスレースには不覚を取りました。もう二度とあのようなことがないように努めます」
私は少し自分の力を過信しているところがある。それがあの結果だ。正面からの殴り合いに持ち込むことすら出来ず、捕まってしまった。またあんなことになってしまったら、今度こそ無事ではいられないだろう。ブンブンジャーに迷惑だって掛けてしまう。そんなのは絶対に嫌だ。
「…恐らく、スピンドーも地球にやって来る」
「…本当に…侵略が、始まるんですね…」
「…そんなこと、絶対にさせない」
珍しく、大也が強い口調でそう言った。しかし、感情に支配されている訳ではなさそうだ。昔の私や以前の玄蕃のように、危うい雰囲気はない。
すると、ブンドリオが「あのさ…」と鍋をかき混ぜる手を止めた。
「…ごめん。俺…柚葉に隠してたことがあるんだ」
「…私だって、ずっと隠し事をしていました。何でも言ってください、ブンドリオさん」
「……俺…ハシリヤンだったんだ。苦魔獣のシステムも、俺が作った」
「…え…」
スピンドーはブンドリオを策略に嵌め、彼を精神的にも不安定な状況に追い込んだ。そして弱った心につけ込み、ハシリヤンへと勧誘する。甘言にそそのかされてしまったブンドリオはスピンドーの巧みな嘘に騙され、苦魔獣という「走れなくなったものをもう一度走れるようにする」システムを開発した。
そして、ハシリヤンの真実を知った。大銀河警察に全てを告発した彼はスピンドーを監獄惑星へ入れることに成功したが、裏切り者として当然追っ手から逃げることとなる。怪我をした自分を助けたのが、大也だった…とブンドリオは語った。
「……そう、だったんですね」
「ごめん…!俺が、弱かったせいで…!」
「…ブンドリオさんのせいじゃありませんよ。苦魔獣のシステムだって、元はと言えば誰かを笑顔にしたくて作ったんですよね?」
「それは…そうだけど…でも…」
「…過去を振り切るのは、難しいと思います。私だって、そうですから。でも…今ブンドリオさんがすることは、懺悔ではないと思います。ブンブンジャーの皆さんを信じて、前に進むことなのでは…ないでしょうか」
私が言えたことではない。でも、ブンドリオには罪の意識に苛まれてほしくない。彼は優しくて、強いから。
「…それでも、言っておかないといけなかったから…」
「…ありがとうございます、全部話してくださって」
私は、あくまでも一般宇宙人だ。全てを知る権利なんてない。それなのに、ブンドリオは私に隠し事を貫かなかった。…仲間だと、認めてもらえている。嬉しかった。
「いつでも声を掛けて下さい。力になれることがあるのなら、いつでもお手伝いしますから」
「あの…連絡を見て来たんですけど…」
「…柚葉。二つ、伝えたいことがある」
「?はい」
呼び出した玄蕃に代わり、射士郎が前に出た。彼は平然とした様子で口を開く。
「一つ目。ブンブンジャーが完全に敵の監視対象になった。恐らく…お前も見張られている」
「えっ…」
「二つ目は…ハシリヤンのボス、ワルイド・スピンドーの右腕…大番頭のグランツ・リスクがやって来た。これから更に戦いは激しくなる」
「…」
戦いが…激化する。それは、私の故郷が受けた侵略を、地球も受けることになるということだろうか。
地球人は弱い。ブンブンジャーが強いことは分かっているが…それでも、不安だ。怖い。もし、玄蕃達が負けたら。そんなこと考えたくもないが、どうしてもかつての記憶が脳裏を過ってしまう。もう誰も失いたくはないのに。
私が俯いていると、調が立ちあがって私のところへやって来た。
「…巴柚葉。あなたには、逃げる選択肢もあります。このまま地球を出て…どこか遠くの星で、穏やかに暮らすことだって出来るのではありませんか?」
「…技術的には、出来ます。でも…私はもう、大事な人に死んでほしくありません。…皆さんと一緒にいたいと、決めましたから」
「…そうですか。くれぐれも、ハシリヤンには見つからないように気を付けてください。あなたを利用しに来る可能性も十分にあります」
「そうですね…。以前、ディスレースには不覚を取りました。もう二度とあのようなことがないように努めます」
私は少し自分の力を過信しているところがある。それがあの結果だ。正面からの殴り合いに持ち込むことすら出来ず、捕まってしまった。またあんなことになってしまったら、今度こそ無事ではいられないだろう。ブンブンジャーに迷惑だって掛けてしまう。そんなのは絶対に嫌だ。
「…恐らく、スピンドーも地球にやって来る」
「…本当に…侵略が、始まるんですね…」
「…そんなこと、絶対にさせない」
珍しく、大也が強い口調でそう言った。しかし、感情に支配されている訳ではなさそうだ。昔の私や以前の玄蕃のように、危うい雰囲気はない。
すると、ブンドリオが「あのさ…」と鍋をかき混ぜる手を止めた。
「…ごめん。俺…柚葉に隠してたことがあるんだ」
「…私だって、ずっと隠し事をしていました。何でも言ってください、ブンドリオさん」
「……俺…ハシリヤンだったんだ。苦魔獣のシステムも、俺が作った」
「…え…」
スピンドーはブンドリオを策略に嵌め、彼を精神的にも不安定な状況に追い込んだ。そして弱った心につけ込み、ハシリヤンへと勧誘する。甘言にそそのかされてしまったブンドリオはスピンドーの巧みな嘘に騙され、苦魔獣という「走れなくなったものをもう一度走れるようにする」システムを開発した。
そして、ハシリヤンの真実を知った。大銀河警察に全てを告発した彼はスピンドーを監獄惑星へ入れることに成功したが、裏切り者として当然追っ手から逃げることとなる。怪我をした自分を助けたのが、大也だった…とブンドリオは語った。
「……そう、だったんですね」
「ごめん…!俺が、弱かったせいで…!」
「…ブンドリオさんのせいじゃありませんよ。苦魔獣のシステムだって、元はと言えば誰かを笑顔にしたくて作ったんですよね?」
「それは…そうだけど…でも…」
「…過去を振り切るのは、難しいと思います。私だって、そうですから。でも…今ブンドリオさんがすることは、懺悔ではないと思います。ブンブンジャーの皆さんを信じて、前に進むことなのでは…ないでしょうか」
私が言えたことではない。でも、ブンドリオには罪の意識に苛まれてほしくない。彼は優しくて、強いから。
「…それでも、言っておかないといけなかったから…」
「…ありがとうございます、全部話してくださって」
私は、あくまでも一般宇宙人だ。全てを知る権利なんてない。それなのに、ブンドリオは私に隠し事を貫かなかった。…仲間だと、認めてもらえている。嬉しかった。
「いつでも声を掛けて下さい。力になれることがあるのなら、いつでもお手伝いしますから」