ヨシ!【爆上・玄蕃】
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私、巴柚葉は人間ではない。地球から遥か遠く離れたエン星からやって来た宇宙人だ。
エン星では絶えず戦いが行われている。同じ種族同士で何千年も戦いを続けてきたエン人達が外(宇宙)で「蛮族」と呼ばれているのを知ったのは、故郷を出て少ししてからのことだった。
勿論私も、戦いを行ってきた一人である。何人もの同族を殺し、勝利してきた。負けたエン人は勝利者に殺される。私が今生きているということは、誰にも負けたことがないということの裏付けだった。
故郷には、可愛いものなんて無かった。文化と言える文化が存在しなかったのだ。花は無く、歌も無く、可愛いという概念も無かった。そんな世界に退屈していたときにやって来たのが、ハシリヤンだった。
ハシリヤンはエン星を縄張りにする為にやって来たのだ。しかし事はそう簡単に進まなかった。今まで同族同士で戦い続けてきた種族は、外部からの侵略に抵抗する為手を取り合い立ち向かい始めたのだ。元々の戦闘能力が高く、戦いの知識も十分にある種族は銀河のならず者にそう簡単には屈しなかった。
一見良い話のように聞こえるが、要は「共通の敵」という「目的」を見つけただけである。それ以外の理由はない。エン人達は、「目的」の為だけにただ作業的にハシリヤンと戦っているだけなのだ。それは廃人と変わらない姿だった。
こうして全てに絶望した私は宇宙船に乗り、遥か遠くの地球に辿り着いたのである。そして「可愛い」を知り、「ファッション」に目覚めた。可愛い雑貨も集め始めた。地球にやって来たはいいものの、路頭に迷っていた私を救ったのが大也である。
「なあ君。丁度アイス屋のバイトスタッフを募集しているんだが…良かったら働かないか?」
地球人に擬態したはいいものの、社会的には終わっている私を見て何かを察したのだろう。大也は私に手を差し伸べ、キッチンカーのスタッフという「社会的役割」と、「可愛い」を集める為の「報酬」を与えてくれた。定期的に振り込まれる「お金」の多くが、服や雑貨に消えていく。
家は宇宙船で事足りた。宇宙船が着陸したのも大也の敷地だったようだが、大也はその敷地に一切手を付けていない為気付かなかったのだ。何とも無防備な話ではある。正直、いつバレるのかとヒヤヒヤしている。
宇宙船とキッチンカーを行き来しながら、色んな服を着て雑貨を集める。これが私の生き甲斐だ。──その筈だった。今は、体の中が熱くて、ドキドキして、目の前がキラキラして仕方ない。
「私とデートをしてほしい」
玄蕃の言葉を心の中で復唱する。何度も、何度も。縋るように、願うように、祈るように。
デートというのは、地球の文化だ。男女が日付を取り付けて出会うことを指す。俗っぽい言い方をすれば、恋愛文化の一種とも言える。遊ぶ、ではなくデートという言葉を選んだ彼の真意は分からない。服を着て出掛けるだけなら、「一緒に遊ぼう」で事足りる筈だ。
可愛いと思って集めた少女漫画では、好きな男の子からデートに誘われた主人公は「期待してもいいのかな!?」と戸惑いつつも嬉しさを隠しきれずにいた。そしてその主人公は無事に彼と報われることとなり、彼もデートに誘った時から主人公のことを好いていたことが明かされることとなる。
しかし、玄蕃はああ見えて硬派な人間だと思う。ただ語呂が良いからという理由だけで「デート」という言葉を選んだ可能性も否定できない。
「う、うう~……わかんないよぉ…」
私は宇宙船の中で猫のクッションを抱きしめて唸りながらのたうち回った。部屋着にしているTシャツから腹や下着が見えることも、髪が乱れることも気にせず。
自分から玄蕃への気持ちも、彼から私への気持ちも分からない。
ただ分かっているのは、玄蕃を見ると世界がキラキラして見えてしまうことだ。初めて会った時から、妙に気になる人間だとは思っていた。彼は呼吸するだけで、私の体を刺激する。その刺激を受け入れると、痛くて気持ち良くて堪らない。痛みなのか快楽なのかすらも分からない。だが悪い気はしない、と思う。
出会って間もない彼に何故こうも惹かれるのか。
所謂一目惚れなのだろうか。そうだとするのなら、何だか自分も少女漫画の主人公になったようで気恥ずかしい。
猫のクッションをもちもちと揉む。指がゆっくり沈んでいく。このまま溶けてしまうのではないだろうかと思うくらい、クッションは私を受けとめた。
エン星では絶えず戦いが行われている。同じ種族同士で何千年も戦いを続けてきたエン人達が外(宇宙)で「蛮族」と呼ばれているのを知ったのは、故郷を出て少ししてからのことだった。
勿論私も、戦いを行ってきた一人である。何人もの同族を殺し、勝利してきた。負けたエン人は勝利者に殺される。私が今生きているということは、誰にも負けたことがないということの裏付けだった。
故郷には、可愛いものなんて無かった。文化と言える文化が存在しなかったのだ。花は無く、歌も無く、可愛いという概念も無かった。そんな世界に退屈していたときにやって来たのが、ハシリヤンだった。
ハシリヤンはエン星を縄張りにする為にやって来たのだ。しかし事はそう簡単に進まなかった。今まで同族同士で戦い続けてきた種族は、外部からの侵略に抵抗する為手を取り合い立ち向かい始めたのだ。元々の戦闘能力が高く、戦いの知識も十分にある種族は銀河のならず者にそう簡単には屈しなかった。
一見良い話のように聞こえるが、要は「共通の敵」という「目的」を見つけただけである。それ以外の理由はない。エン人達は、「目的」の為だけにただ作業的にハシリヤンと戦っているだけなのだ。それは廃人と変わらない姿だった。
こうして全てに絶望した私は宇宙船に乗り、遥か遠くの地球に辿り着いたのである。そして「可愛い」を知り、「ファッション」に目覚めた。可愛い雑貨も集め始めた。地球にやって来たはいいものの、路頭に迷っていた私を救ったのが大也である。
「なあ君。丁度アイス屋のバイトスタッフを募集しているんだが…良かったら働かないか?」
地球人に擬態したはいいものの、社会的には終わっている私を見て何かを察したのだろう。大也は私に手を差し伸べ、キッチンカーのスタッフという「社会的役割」と、「可愛い」を集める為の「報酬」を与えてくれた。定期的に振り込まれる「お金」の多くが、服や雑貨に消えていく。
家は宇宙船で事足りた。宇宙船が着陸したのも大也の敷地だったようだが、大也はその敷地に一切手を付けていない為気付かなかったのだ。何とも無防備な話ではある。正直、いつバレるのかとヒヤヒヤしている。
宇宙船とキッチンカーを行き来しながら、色んな服を着て雑貨を集める。これが私の生き甲斐だ。──その筈だった。今は、体の中が熱くて、ドキドキして、目の前がキラキラして仕方ない。
「私とデートをしてほしい」
玄蕃の言葉を心の中で復唱する。何度も、何度も。縋るように、願うように、祈るように。
デートというのは、地球の文化だ。男女が日付を取り付けて出会うことを指す。俗っぽい言い方をすれば、恋愛文化の一種とも言える。遊ぶ、ではなくデートという言葉を選んだ彼の真意は分からない。服を着て出掛けるだけなら、「一緒に遊ぼう」で事足りる筈だ。
可愛いと思って集めた少女漫画では、好きな男の子からデートに誘われた主人公は「期待してもいいのかな!?」と戸惑いつつも嬉しさを隠しきれずにいた。そしてその主人公は無事に彼と報われることとなり、彼もデートに誘った時から主人公のことを好いていたことが明かされることとなる。
しかし、玄蕃はああ見えて硬派な人間だと思う。ただ語呂が良いからという理由だけで「デート」という言葉を選んだ可能性も否定できない。
「う、うう~……わかんないよぉ…」
私は宇宙船の中で猫のクッションを抱きしめて唸りながらのたうち回った。部屋着にしているTシャツから腹や下着が見えることも、髪が乱れることも気にせず。
自分から玄蕃への気持ちも、彼から私への気持ちも分からない。
ただ分かっているのは、玄蕃を見ると世界がキラキラして見えてしまうことだ。初めて会った時から、妙に気になる人間だとは思っていた。彼は呼吸するだけで、私の体を刺激する。その刺激を受け入れると、痛くて気持ち良くて堪らない。痛みなのか快楽なのかすらも分からない。だが悪い気はしない、と思う。
出会って間もない彼に何故こうも惹かれるのか。
所謂一目惚れなのだろうか。そうだとするのなら、何だか自分も少女漫画の主人公になったようで気恥ずかしい。
猫のクッションをもちもちと揉む。指がゆっくり沈んでいく。このまま溶けてしまうのではないだろうかと思うくらい、クッションは私を受けとめた。