ヨシ!【爆上・振騎玄蕃】
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
分かっていた。いつか、こんな日が来るんじゃないかって。
私は公園のブランコに腰掛け、ずっと考えていた。あの後玄蕃は仇をとれたのか。これからどうすればいいのか。
もう元の関係には戻れない。ブンブンジャーと、ただのアイス屋の関係にはなれない。これから先、私は地球人ではなくエン人の柚葉として見られる。恐らく、I.S.Aにも目を付けられる筈だ。いや、もう既に目を付けられているかもしれない。
平穏な日常には戻れないかもしれない、と思った瞬間涙が出そうになった。しかしぐっと堪えた。この道を選んだのは自分だ。宇宙人であることを隠して彼らと仲良くすることを決めたのは、私だ。ならば、責任を取るのも自分しかいない。
「うわあああああッ!!」
悲鳴が耳をつんざく。顔を上げると、公園の芝生エリアで人々が苦魔獣に襲われていた。逃げ惑う人々をじりじりと追い詰め、ギャーソリンを回収している。
──もう、誰にも正体を隠す必要はない。そう思うと、以前よりも体がすぐに動いた。駆け出し、人間の擬態を解く。ヒレが風に揺れるのを感じながら、苦魔獣の胴体に飛び蹴りを入れる。乱入者に驚いた苦魔獣はよろめき、体勢を崩した。
「逃げてください!早く!」
人々の顔は見なかった。きっと、異形の姿を見て更に怖がらせてしまっただろう。自分に向けられる恐怖の視線を受けとめるのは、やはり怖い。
ハサミをモチーフにした苦魔獣なのか、両手が鋭利な刃になっている。苦魔獣が腕でクロスを描くと、その形の斬撃が飛んできた。あれを食らうのはマズイ、と本能で判断しバックステップで避ける。私が回避してしまったせいで斬撃は遊具に当たり、遊具を破壊してしまった。
「…!!」
「俺様の攻撃を避けやがったなァ!?」
「ッ、得物を持って戦うなら、正々堂々刃を交えなさい!」
鞘から刀を抜き、斬りかかる。苦魔獣の手で受け止められ、鍔迫り合いの形になった。それを無理矢理力で押し込み、よろけたところに蹴りを入れる。良い一激が入った。
苦魔獣も相当のダメージを負ったのか、少しだけ吹っ飛ばされた。──いける、と確信する。パワーもテクニックも負けていない。これなら、故郷で戦った者達の方がずっと強かった。
「それなら、これでどうだ!!」
手だけが巨大化し、再びクロス型の斬撃が飛んできた。見るからに威力が上だ。軌道は変えられない為避けることは容易いが──ちらり、と斬撃が飛んでくる方向の遊具に目をやる。先程の攻撃で崩れた遊具の近くに、一人だけ子供が取り残されていた。
頑丈なエン人が身を挺して守れば、子供くらいは助かるかもしれない。それなら、避ける必要はない。
私は武器を放り出して子供の方に全速力で走り寄った。
「大丈夫。私が必ず、守りますから…!」
傷付けないよう、壊さないように優しく包み込む。子供の方も「助けてもらっている」ということだけは理解してくれたのか、体を小さくしてくれた。愛しくて、可愛くて堪らない地球人。そんな彼らの子供を守って死ぬのなら、これ以上にない幸せだ。目をきゅっと瞑り、念には念をと子供を完全に覆うように背中を丸めて衝撃に備えた。
「マリン!カスタマイズ!」
──斬撃は、当たらなかった。水中にいるような音が聞こえ、そっと目を開けてみる。顔を上げれば、私達は泡のようなものに包まれていた。
「え…?」
「わあ、ブンブンジャーだ!」
子供は私の手をするりと抜けていくと、私の背後にやって来た人物へと足早に駆け寄った。
「ありがとう、ブンブンジャー!」
「いや…お礼を言うのならそちらのお姉さんにだよ、少年」
「うん!お姉ちゃん、助けてくれてありがとう!」
再び戻って来た子供は私にお礼を言うと、頭まできちんと下げて先に避難した人々の方へ向かっていった。一先ず、守りたいものは守ることが出来た。
恐る恐る、といった感じで振り返る。声から既に想像がついていたが、それは当たりだった。レーシングジャケットのような上着を着たブンオレンジが、腰に片手を当てて立っている。
「……また、助けてもらっちゃいましたね」
「君は以前、大雨の中私を助けてくれただろう?あの時の恩返しさ」
表情は見えない。しかし、「怒ってはいないんだろうな」ということが口調から想定できた。
「玄蕃!間に合ったか!?」
「ああ。今から仕上げにかかるところさ」
他のブンブンジャーが集まって来る。私は邪魔にならないようにと思いその場を去ろうとしたが、「少しお願いをしてもいいかい?」とブンオレンジに引き留められた。
「え?な、なんでしょう?」
「背中のマークを押してほしいんだ。最後の仕上げには、それが必要でね」
「…分かりました」
ブンオレンジの後ろに回り、壊さないように力加減を考える。
「思い切りやってくれ。君のバクアゲな気持ちで、押してほしいんだ」
「…はい!玄蕃さん、お願いします!」
両手を出し、思い切りマークを叩いた。スーツを着ていても少し痛かったのか「うっ」と呻き声が聞こえたが、聞かなかったことにしよう。
「バクアゲチャンピオンドライブ!」
ブンオレンジは苦魔獣に向けて走り出した。斧の先にエネルギーが充填されていき、大きく振りかぶる。苦魔獣は手の刃で身を守ろうとするが、そんなものでこの技は耐えられない。
振りかざされた苦魔獣は攻撃をモロに食らい、体に電流のようなものが走る。そして「ハサミを渡すときは…刃の方を向ないようにご注意…!」と言い残し、爆発音と共に散っていった。
私は公園のブランコに腰掛け、ずっと考えていた。あの後玄蕃は仇をとれたのか。これからどうすればいいのか。
もう元の関係には戻れない。ブンブンジャーと、ただのアイス屋の関係にはなれない。これから先、私は地球人ではなくエン人の柚葉として見られる。恐らく、I.S.Aにも目を付けられる筈だ。いや、もう既に目を付けられているかもしれない。
平穏な日常には戻れないかもしれない、と思った瞬間涙が出そうになった。しかしぐっと堪えた。この道を選んだのは自分だ。宇宙人であることを隠して彼らと仲良くすることを決めたのは、私だ。ならば、責任を取るのも自分しかいない。
「うわあああああッ!!」
悲鳴が耳をつんざく。顔を上げると、公園の芝生エリアで人々が苦魔獣に襲われていた。逃げ惑う人々をじりじりと追い詰め、ギャーソリンを回収している。
──もう、誰にも正体を隠す必要はない。そう思うと、以前よりも体がすぐに動いた。駆け出し、人間の擬態を解く。ヒレが風に揺れるのを感じながら、苦魔獣の胴体に飛び蹴りを入れる。乱入者に驚いた苦魔獣はよろめき、体勢を崩した。
「逃げてください!早く!」
人々の顔は見なかった。きっと、異形の姿を見て更に怖がらせてしまっただろう。自分に向けられる恐怖の視線を受けとめるのは、やはり怖い。
ハサミをモチーフにした苦魔獣なのか、両手が鋭利な刃になっている。苦魔獣が腕でクロスを描くと、その形の斬撃が飛んできた。あれを食らうのはマズイ、と本能で判断しバックステップで避ける。私が回避してしまったせいで斬撃は遊具に当たり、遊具を破壊してしまった。
「…!!」
「俺様の攻撃を避けやがったなァ!?」
「ッ、得物を持って戦うなら、正々堂々刃を交えなさい!」
鞘から刀を抜き、斬りかかる。苦魔獣の手で受け止められ、鍔迫り合いの形になった。それを無理矢理力で押し込み、よろけたところに蹴りを入れる。良い一激が入った。
苦魔獣も相当のダメージを負ったのか、少しだけ吹っ飛ばされた。──いける、と確信する。パワーもテクニックも負けていない。これなら、故郷で戦った者達の方がずっと強かった。
「それなら、これでどうだ!!」
手だけが巨大化し、再びクロス型の斬撃が飛んできた。見るからに威力が上だ。軌道は変えられない為避けることは容易いが──ちらり、と斬撃が飛んでくる方向の遊具に目をやる。先程の攻撃で崩れた遊具の近くに、一人だけ子供が取り残されていた。
頑丈なエン人が身を挺して守れば、子供くらいは助かるかもしれない。それなら、避ける必要はない。
私は武器を放り出して子供の方に全速力で走り寄った。
「大丈夫。私が必ず、守りますから…!」
傷付けないよう、壊さないように優しく包み込む。子供の方も「助けてもらっている」ということだけは理解してくれたのか、体を小さくしてくれた。愛しくて、可愛くて堪らない地球人。そんな彼らの子供を守って死ぬのなら、これ以上にない幸せだ。目をきゅっと瞑り、念には念をと子供を完全に覆うように背中を丸めて衝撃に備えた。
「マリン!カスタマイズ!」
──斬撃は、当たらなかった。水中にいるような音が聞こえ、そっと目を開けてみる。顔を上げれば、私達は泡のようなものに包まれていた。
「え…?」
「わあ、ブンブンジャーだ!」
子供は私の手をするりと抜けていくと、私の背後にやって来た人物へと足早に駆け寄った。
「ありがとう、ブンブンジャー!」
「いや…お礼を言うのならそちらのお姉さんにだよ、少年」
「うん!お姉ちゃん、助けてくれてありがとう!」
再び戻って来た子供は私にお礼を言うと、頭まできちんと下げて先に避難した人々の方へ向かっていった。一先ず、守りたいものは守ることが出来た。
恐る恐る、といった感じで振り返る。声から既に想像がついていたが、それは当たりだった。レーシングジャケットのような上着を着たブンオレンジが、腰に片手を当てて立っている。
「……また、助けてもらっちゃいましたね」
「君は以前、大雨の中私を助けてくれただろう?あの時の恩返しさ」
表情は見えない。しかし、「怒ってはいないんだろうな」ということが口調から想定できた。
「玄蕃!間に合ったか!?」
「ああ。今から仕上げにかかるところさ」
他のブンブンジャーが集まって来る。私は邪魔にならないようにと思いその場を去ろうとしたが、「少しお願いをしてもいいかい?」とブンオレンジに引き留められた。
「え?な、なんでしょう?」
「背中のマークを押してほしいんだ。最後の仕上げには、それが必要でね」
「…分かりました」
ブンオレンジの後ろに回り、壊さないように力加減を考える。
「思い切りやってくれ。君のバクアゲな気持ちで、押してほしいんだ」
「…はい!玄蕃さん、お願いします!」
両手を出し、思い切りマークを叩いた。スーツを着ていても少し痛かったのか「うっ」と呻き声が聞こえたが、聞かなかったことにしよう。
「バクアゲチャンピオンドライブ!」
ブンオレンジは苦魔獣に向けて走り出した。斧の先にエネルギーが充填されていき、大きく振りかぶる。苦魔獣は手の刃で身を守ろうとするが、そんなものでこの技は耐えられない。
振りかざされた苦魔獣は攻撃をモロに食らい、体に電流のようなものが走る。そして「ハサミを渡すときは…刃の方を向ないようにご注意…!」と言い残し、爆発音と共に散っていった。