ヨシ!【爆上・振騎玄蕃】
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目が覚めると、腕の中で柚葉が眠っていた。あれほど降っていた雨は既に止んでおり、ポタポタと雨粒が滴る音が聞こえる。
体を預けてくれている彼女の髪に触れるか悩み、一瞬だけ指を通した。綺麗な髪だ。少しだけスタイリング剤もついているところに、彼女のオシャレへのこだわりを感じる。
周囲を見ると、簡易的なシンクがあった。流石に顔だけでも洗った方がいいかと思い、そっと彼女から離れる。すると、ピカピカに磨かれたシンクに自分の姿が映った。白い長髪に白い大きな耳、額と首には橙色の模様が浮かんでいる。紛れもなく、ブレキ人の姿だった。
──糖分切れか、それとも気を抜いていたせいか。
ポケットをまさぐる。飴はもう底がつき始めていた。
舐めて擬態した姿に戻るか悩み、止めた。音を立てずにキッチンカーから出て、鍵は締めれないが念の為にと思い扉を閉めておく。彼女が眠っている間に抜け出せば、余分に飴を消費することもないだろう。
*
何故彼女のもとへ来てしまったのか、自分でも分からなかった。街を彷徨っていたら辿り着いたのかもしれないし、意図的に足を運んでいたのかもしれない。もう巻き込みたくなかった筈なのに、結局弱みを見せ、慰めてもらってしまった。
温かかった。ブランケットも、彼女の体温も、優しさも。眠ってしまう程居心地が良かった。──だから、怖い。
ブンブンジャーも、彼女も、失ってしまうのが怖い。もうこの温もりに触れられなくなってしまうのかと思うと、全身の毛が逆立つ程恐ろしい。
ブンオレンジは、ブンブンジャーを見るには最高の特等席だった。しかしもうその席からは降りた。今残っているのは、復讐に囚われたブレキ人、ゲンバード・デ・リバリー二世の立場だけだ。
彼女は復讐することを肯定してくれた。
”「復讐の先に何があるのか、起きるのか…それらを見据えているのなら、別に復讐者を止めるつもりはありません」”
まるで、復讐の果てを見た者の言葉のようだった。あの時の彼女からは、「寂しい」という感情と…ほんの少しだけ、殺意が漏れていた。
穏やかでいつも笑みを浮かべて、触れられればすぐに顔を赤くするような柚葉からは想像できない程の鋭利な殺意だった。彼女のような温もりを持つ人物でも、そんな思いを抱えることがあるのかと正直驚いた。
そういえば以前、彼女は普通の人間ではないということをシャーシロに伝えられた。ひょっとしたら、それが関係しているのだろうか。
殺意。もし、彼女がハシリヤンだったら。惑星ブレキを奪った連中と同じ輩だったら。
考えたくもない。しかし、可能性は考えておくべきだ。それを思えば、彼女の前で眠ってしまったのは迂闊だった。結果的に寝首は掻かれなかったが。
彼女が敵ならば、倒すしかない。惑星ブレキも、地球も、もう誰にも奪わせない。躊躇いが無いと言えば嘘になる。どうしようもない程彼女に心酔していることは、自分がよく分かっていた。
最初はただ、糖分を補給することが目的だった。しかしいつの間にか目的は言い訳に変わり、彼女に会うことが本当の目的となってしまっていた。それ程までに懐柔されてしまったのだ。
ふと脳裏を、彼女に贈ったリップが過る。あれを贈ったのだって、とってつけたような理由だった。本当は、もっと仲良くなりたいという下心があったからだ。
──そういえば、まだあのリップをつけた彼女を見ていないな…。
デートに誘う暇が無かったこともあるが、それはそれとして少し寂しい。
ディスレースを倒した先で、あれを唇に塗った彼女と出掛ける未来があるのなら。
何としてでも、仇はとらなければならない。
体を預けてくれている彼女の髪に触れるか悩み、一瞬だけ指を通した。綺麗な髪だ。少しだけスタイリング剤もついているところに、彼女のオシャレへのこだわりを感じる。
周囲を見ると、簡易的なシンクがあった。流石に顔だけでも洗った方がいいかと思い、そっと彼女から離れる。すると、ピカピカに磨かれたシンクに自分の姿が映った。白い長髪に白い大きな耳、額と首には橙色の模様が浮かんでいる。紛れもなく、ブレキ人の姿だった。
──糖分切れか、それとも気を抜いていたせいか。
ポケットをまさぐる。飴はもう底がつき始めていた。
舐めて擬態した姿に戻るか悩み、止めた。音を立てずにキッチンカーから出て、鍵は締めれないが念の為にと思い扉を閉めておく。彼女が眠っている間に抜け出せば、余分に飴を消費することもないだろう。
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何故彼女のもとへ来てしまったのか、自分でも分からなかった。街を彷徨っていたら辿り着いたのかもしれないし、意図的に足を運んでいたのかもしれない。もう巻き込みたくなかった筈なのに、結局弱みを見せ、慰めてもらってしまった。
温かかった。ブランケットも、彼女の体温も、優しさも。眠ってしまう程居心地が良かった。──だから、怖い。
ブンブンジャーも、彼女も、失ってしまうのが怖い。もうこの温もりに触れられなくなってしまうのかと思うと、全身の毛が逆立つ程恐ろしい。
ブンオレンジは、ブンブンジャーを見るには最高の特等席だった。しかしもうその席からは降りた。今残っているのは、復讐に囚われたブレキ人、ゲンバード・デ・リバリー二世の立場だけだ。
彼女は復讐することを肯定してくれた。
”「復讐の先に何があるのか、起きるのか…それらを見据えているのなら、別に復讐者を止めるつもりはありません」”
まるで、復讐の果てを見た者の言葉のようだった。あの時の彼女からは、「寂しい」という感情と…ほんの少しだけ、殺意が漏れていた。
穏やかでいつも笑みを浮かべて、触れられればすぐに顔を赤くするような柚葉からは想像できない程の鋭利な殺意だった。彼女のような温もりを持つ人物でも、そんな思いを抱えることがあるのかと正直驚いた。
そういえば以前、彼女は普通の人間ではないということをシャーシロに伝えられた。ひょっとしたら、それが関係しているのだろうか。
殺意。もし、彼女がハシリヤンだったら。惑星ブレキを奪った連中と同じ輩だったら。
考えたくもない。しかし、可能性は考えておくべきだ。それを思えば、彼女の前で眠ってしまったのは迂闊だった。結果的に寝首は掻かれなかったが。
彼女が敵ならば、倒すしかない。惑星ブレキも、地球も、もう誰にも奪わせない。躊躇いが無いと言えば嘘になる。どうしようもない程彼女に心酔していることは、自分がよく分かっていた。
最初はただ、糖分を補給することが目的だった。しかしいつの間にか目的は言い訳に変わり、彼女に会うことが本当の目的となってしまっていた。それ程までに懐柔されてしまったのだ。
ふと脳裏を、彼女に贈ったリップが過る。あれを贈ったのだって、とってつけたような理由だった。本当は、もっと仲良くなりたいという下心があったからだ。
──そういえば、まだあのリップをつけた彼女を見ていないな…。
デートに誘う暇が無かったこともあるが、それはそれとして少し寂しい。
ディスレースを倒した先で、あれを唇に塗った彼女と出掛ける未来があるのなら。
何としてでも、仇はとらなければならない。