ヨシ!【爆上・振騎玄蕃】
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※バクアゲ32~33の間
突然の雨だった。
ポツポツと最初は気にならない程度の小雨だったが、やがて大きな雨音を立て始め、気付けばゲリラ豪雨のような大雨になっていった。私は慌ててキッチンカーののぼりを中に仕舞ったが、机と椅子に関してはもう諦めることにした。近くに雨宿りをできる場所もない為車内で大人しくしていると、足を引き摺るような音が雨音に混ざって聞こえて来る。
「…誰?」
キッチンカーの開いた扉の方に歩み寄ると、そこには可愛らしい絆創膏が貼られ、頭に包帯を巻かれた玄蕃がいた。雨に打たれることも気にせず、心ここにあらずといった感じで彷徨っている。その姿を見た瞬間、豪雨の中を駆けだしていた。
「玄蕃さんッ!」
激突するのではないかというくらいの勢いで駆け寄り、服の裾を掴んだ。彼は私の方を見ると「柚葉…」と呟いたが、やはり黙ったままだった。
「…風邪を引きます、とりあえず中に入りましょう」
無我夢中で彼の手を引っ張り、キッチンカーの中へと押し込んでいく。戸棚から新しいタオルを取り出したが玄蕃はまるで目もくれない為、失礼します、と言って彼の頭や体についた雨粒を拭き始めた。長時間雨に打たれていたのだろう、彼の服はずぶ濡れだった。
「…寒かったでしょう」
「…」
やはり答えない。傷に響かないように注意を払いながら拭いていると、玄蕃は私の手をおもむろに握った。
「あ……」
「…柚葉……」
いつもならこの時点で顔が熱くなるのだが、今はそんな余裕もなかった。今彼が私の手を握っているのは、きっと、「そういう」意味じゃない。黙っていても、それだけは理解できた。
「……死に場所…」
「…はい」
「私の…死に場所は……どこにあると思う…?」
死に場所。予想外の言葉が飛び出してきた。
死に場所と言われれば、私達エン人からすれば戦場だ。もしくは、戦場で負った傷により野営地で死ぬ。まあ、これも戦場とカウントしていいだろう。
しかし彼の質問は、もっと具体的な場所を指しているかのように思えた。
「……それは、私が答えられる問いではありませんね」
「………あと、少しだったんだ…」
「…」
「もう少しで…手が届いたかもしれないのに……私は…」
こんなに大きな大人なのに、小さな子供のように見えた。不安定で、脆くて、壊れやすい。心も体もボロボロなのに、それでも復讐を成し遂げようとする。
気持ちはわかる、と言えばきっと彼を激昂させてしまうだろう。お互いの過去を知らない私達では、真の意味で気持ちを通わせることはできない。私は友を失った。だが、彼がディスレースという存在に何を奪われたのかは知らない。
「…玄蕃さんは、十分頑張っていますよ」
「…違う…私は……そんな言葉を言ってもらいたくて言ったんじゃないんだ…!」
「分かっています。玄蕃さんのこと、あまり知らないけれど…玄蕃さんが何かを成し遂げようとして奔走していることは、何となくわかります」
あらかた拭き終えた為タオルを横に置き、冬用に置いてあるブランケットを肩から被せてあげた。少し丈は足りていないが、何も掛けないよりかはマシだろう。
「私は……何も否定しませんし、できません。あなたの言葉にただ耳を傾けることしかできません」
「…」
「だから、今は…雨が上がるまでの間だけでもいいですから、休んでいってください。風邪を引いたら、復讐どころじゃなくなります」
「……すまない……」
「気にしないでください。私も、雨の日は退屈なので玄蕃さんが来てくれて嬉し、」
腕を掴まれた。流れるように引き寄せられ、彼の腕の中へと導かれる。濡れた髪と服は冷たいのに、体は熱い。彼の匂いがふんわりと広がり、私までも覆うようにブランケットを被せられる。
幼子のように、子犬のように、彼は私に身を預けた。背中に回す腕の力が強くなったが、痛みには強い為全く気にならなかった。ただ彼の体温と鼓動を感じ、生きていることを確かめる。
「……少し、眠らせてくれないか」
「…はい、おやすみなさい」
「………ありがとう、柚葉」
やがて小さな寝息が聞こえてきた。相当疲れていたのか、眠りにつくまでがかなり早い。
行き場をなくした手で彼の背中をポンポンと撫で、さすった。こういう時は大抵歌を歌ってあげるといいらしいが、今の彼に子守歌は不要だ。豪雨の雨音ですら、今の彼にとっては十分歌になるだろう。
突然の雨だった。
ポツポツと最初は気にならない程度の小雨だったが、やがて大きな雨音を立て始め、気付けばゲリラ豪雨のような大雨になっていった。私は慌ててキッチンカーののぼりを中に仕舞ったが、机と椅子に関してはもう諦めることにした。近くに雨宿りをできる場所もない為車内で大人しくしていると、足を引き摺るような音が雨音に混ざって聞こえて来る。
「…誰?」
キッチンカーの開いた扉の方に歩み寄ると、そこには可愛らしい絆創膏が貼られ、頭に包帯を巻かれた玄蕃がいた。雨に打たれることも気にせず、心ここにあらずといった感じで彷徨っている。その姿を見た瞬間、豪雨の中を駆けだしていた。
「玄蕃さんッ!」
激突するのではないかというくらいの勢いで駆け寄り、服の裾を掴んだ。彼は私の方を見ると「柚葉…」と呟いたが、やはり黙ったままだった。
「…風邪を引きます、とりあえず中に入りましょう」
無我夢中で彼の手を引っ張り、キッチンカーの中へと押し込んでいく。戸棚から新しいタオルを取り出したが玄蕃はまるで目もくれない為、失礼します、と言って彼の頭や体についた雨粒を拭き始めた。長時間雨に打たれていたのだろう、彼の服はずぶ濡れだった。
「…寒かったでしょう」
「…」
やはり答えない。傷に響かないように注意を払いながら拭いていると、玄蕃は私の手をおもむろに握った。
「あ……」
「…柚葉……」
いつもならこの時点で顔が熱くなるのだが、今はそんな余裕もなかった。今彼が私の手を握っているのは、きっと、「そういう」意味じゃない。黙っていても、それだけは理解できた。
「……死に場所…」
「…はい」
「私の…死に場所は……どこにあると思う…?」
死に場所。予想外の言葉が飛び出してきた。
死に場所と言われれば、私達エン人からすれば戦場だ。もしくは、戦場で負った傷により野営地で死ぬ。まあ、これも戦場とカウントしていいだろう。
しかし彼の質問は、もっと具体的な場所を指しているかのように思えた。
「……それは、私が答えられる問いではありませんね」
「………あと、少しだったんだ…」
「…」
「もう少しで…手が届いたかもしれないのに……私は…」
こんなに大きな大人なのに、小さな子供のように見えた。不安定で、脆くて、壊れやすい。心も体もボロボロなのに、それでも復讐を成し遂げようとする。
気持ちはわかる、と言えばきっと彼を激昂させてしまうだろう。お互いの過去を知らない私達では、真の意味で気持ちを通わせることはできない。私は友を失った。だが、彼がディスレースという存在に何を奪われたのかは知らない。
「…玄蕃さんは、十分頑張っていますよ」
「…違う…私は……そんな言葉を言ってもらいたくて言ったんじゃないんだ…!」
「分かっています。玄蕃さんのこと、あまり知らないけれど…玄蕃さんが何かを成し遂げようとして奔走していることは、何となくわかります」
あらかた拭き終えた為タオルを横に置き、冬用に置いてあるブランケットを肩から被せてあげた。少し丈は足りていないが、何も掛けないよりかはマシだろう。
「私は……何も否定しませんし、できません。あなたの言葉にただ耳を傾けることしかできません」
「…」
「だから、今は…雨が上がるまでの間だけでもいいですから、休んでいってください。風邪を引いたら、復讐どころじゃなくなります」
「……すまない……」
「気にしないでください。私も、雨の日は退屈なので玄蕃さんが来てくれて嬉し、」
腕を掴まれた。流れるように引き寄せられ、彼の腕の中へと導かれる。濡れた髪と服は冷たいのに、体は熱い。彼の匂いがふんわりと広がり、私までも覆うようにブランケットを被せられる。
幼子のように、子犬のように、彼は私に身を預けた。背中に回す腕の力が強くなったが、痛みには強い為全く気にならなかった。ただ彼の体温と鼓動を感じ、生きていることを確かめる。
「……少し、眠らせてくれないか」
「…はい、おやすみなさい」
「………ありがとう、柚葉」
やがて小さな寝息が聞こえてきた。相当疲れていたのか、眠りにつくまでがかなり早い。
行き場をなくした手で彼の背中をポンポンと撫で、さすった。こういう時は大抵歌を歌ってあげるといいらしいが、今の彼に子守歌は不要だ。豪雨の雨音ですら、今の彼にとっては十分歌になるだろう。