ヨシ!【爆上・振騎玄蕃】
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その後も、柚葉は定期的に玄蕃と連絡をとり、彼が受け入れる限り密会を続けていた。大抵は裏路地にある喫茶店やカフェを使っていたが、やがて連絡はピタリと来なくなってしまった。
「…玄蕃さん……」
最後のやり取りはもう何日も前で、それ以降は彼女からの一方的な着信が数件となっている。所謂鬼電に近いものだが、しつこくかけなかったのは玄蕃に精神的負荷を掛けてしまうことを恐れたからだった。玄蕃を想うからこそ、もう彼に無理なコンタクトはとれないと判断した。
玄蕃も玄蕃で、これ以上自分の復讐劇に彼女をやんわりとではあるが巻き込みたくなかった。最初はひりついた毎日に対するほんの少しの癒しを求めて彼女と定期的に会っていたが、そんな自分を嫌悪したのだ。自分が選んだ道である筈なのに苦しいと感じ、それを癒すために柚葉を求める。それはただのエゴだと考え、連絡をやめたのだった。勿論、ディスレースを倒せていないことへの焦りもあったが。
決定的にすれ違っていた。お互いを想っているからこそ、手が届かなくなってしまったのだ。
「会いたい……玄蕃さんに…」
客がいない為椅子の上で体育座りをし、すすり泣く。彼女の脳内には「しつこかったかな」「嫌われたかな」「もう二度と会えないのかな」、そんなことばかりがぐるぐると回っていた。
「よう柚葉ちゃん」
「きゃっ!」
カウンターに先斗がやって来ていた。飛び退いた柚葉は後ろに頭をぶつけ、「痛ッ」と頭を押さえる。それを見て先斗は大笑いし、ビュンディーにたしなめられた。
「大丈夫か?」
「す、すみません。えっと、先斗さん…」
「ビュン・ディーゼルだ。以後お見知りおきを」
「ビュンさん…」
「ビュンディーで構わない」
「ビュンディーさんですね、わかりました。それで…お二人はどうしてこちらに…?」
「若旦那…いや、調達屋は来ているか?」
調達屋、という単語を聞いた瞬間柚葉の顔が分かりやすく曇った。今にも泣き出しそうな顔で俯き、ぷるぷると震える。
「お、おい、どうしたんだ?」
「先斗。言い方が怖かったんじゃないのか?」
「えぇ!?い、いや、今のは別に普通だっただろ!」
「そういうところだ、先斗。すまない柚葉」
「い、いえ…違うんです。わた、私も…玄蕃さんと連絡つかなくて…」
玄蕃と会っていたことはやはり言わなかった。泣きそうになりつつも、「連絡がつかない」の一点で彼らから話を引き出そうと画策している。
「マジか、嬢ちゃんのところにも来てないのか…。相当やばいな」
「…玄蕃さん、そんなに危ない状態なんですか…?」
「…まあな。今のアイツは、ただがむしゃらに手を振り回して走ってる子供と同じだ」
「……そんなに…」
自分に余裕そうな態度を見せていたのは演技だったのかと若干のショックを受ける柚葉。そんな彼女を差し置いて、先斗は話を続ける。
「嬢ちゃんになら懐いているからもしかしたらと思ったんだがなあ…」
「…私、そんなに懐かれていませんよ」
「んなワケあるか。あの変なところ面倒くせえ調達屋が分かりやすく顔に出す程入れ込んでることは分かってんだよ」
「……だったら、何で玄蕃さんは私を遠ざけるんですか」
ビュンディーも先斗もすぐには答えなかった。二人は玄蕃の事情を把握しているが、柚葉との深い関係までは把握していない。
「…そりゃあ、アイツにとってお前も大好きな存在だからだろ」
しかし、玄蕃と柚葉がどんなやり取りをしているのかは側でずっと見ていた。大也が所有するバーに柚葉を誘う程玄蕃が気を許していたことも、お小遣い帳を提案する程からかい甲斐のある相手だと認めていたことも、仲良くチョコバナナを食べる姿も、ずっと見ていた。
「確かに、ブンブンジャーでもない嬢ちゃんを復讐に巻き込みたくねえってのはわかるし、筋が通ってる」
「しかし、それ以上に彼はあなたを親しく想っていたように私達は感じている。ブンブンジャーへ向ける”大好き”と、あなたに向ける”大好き”は、似ているようで異なっているが…同時に、異なっているようで本質は同じだ」
「本質は同じ…?」
「……嬢ちゃん、意外と鈍感だな」
「先斗、これくらい鈍感な方が書き手としては楽しいものだ」
「だーっやめろ!恋愛小説の話は勘弁してくれ!」
頭を抱えて嫌がる先斗。状況と言葉が飲み込めていない柚葉に彼は「まあアレだ!」とわざとらしく仕切り直した。
「もし何か分かったら教えてやる。だから安心して待ってな」
「!あ、ありがとうございます…!」
「ったく、アイツはこっちの始末もつけさせるつもりか?」
「事が終わった頃には、さぞ始末料は高くつくだろうな」
「…げ、玄蕃さんに無理させないでください。わ、私も一緒に払いますから!」
「……なあ、前々から思ってたんだけどよ」
少し緩んだ空気を引き締めるような、真面目なトーンで先斗はカウンターから身を乗り出した。
「嬢ちゃん、普通のヤツじゃないよな?この間も苦魔獣相手によく戦っていたし…」
「…」
和やかな雰囲気が一転し、腹の読み合いが始まった。──柚葉の中で、一方的に。
探るような視線を向けてくる先斗に何と答えるか迷っていると、「何か武術でもやってたのか?」と彼は先手を打った。しかしそれは彼女からすれば助け舟と同義である。
「え、ええと…まあ、そんなところです」
「へえ、じゃあ良い腕してるな。勿体ねえなあ、車型宇宙人だったら絶対良いとこまでいってんのに」
「あ、あはは…ありがとうございます…」
実際はただの車型宇宙人よりももっと苛烈な種族であることは口が裂けても言えなかった。冷や汗をかきながら、柚葉は先斗とビュンディーの仲良さげな会話を聞いていた。
「…玄蕃さん……」
最後のやり取りはもう何日も前で、それ以降は彼女からの一方的な着信が数件となっている。所謂鬼電に近いものだが、しつこくかけなかったのは玄蕃に精神的負荷を掛けてしまうことを恐れたからだった。玄蕃を想うからこそ、もう彼に無理なコンタクトはとれないと判断した。
玄蕃も玄蕃で、これ以上自分の復讐劇に彼女をやんわりとではあるが巻き込みたくなかった。最初はひりついた毎日に対するほんの少しの癒しを求めて彼女と定期的に会っていたが、そんな自分を嫌悪したのだ。自分が選んだ道である筈なのに苦しいと感じ、それを癒すために柚葉を求める。それはただのエゴだと考え、連絡をやめたのだった。勿論、ディスレースを倒せていないことへの焦りもあったが。
決定的にすれ違っていた。お互いを想っているからこそ、手が届かなくなってしまったのだ。
「会いたい……玄蕃さんに…」
客がいない為椅子の上で体育座りをし、すすり泣く。彼女の脳内には「しつこかったかな」「嫌われたかな」「もう二度と会えないのかな」、そんなことばかりがぐるぐると回っていた。
「よう柚葉ちゃん」
「きゃっ!」
カウンターに先斗がやって来ていた。飛び退いた柚葉は後ろに頭をぶつけ、「痛ッ」と頭を押さえる。それを見て先斗は大笑いし、ビュンディーにたしなめられた。
「大丈夫か?」
「す、すみません。えっと、先斗さん…」
「ビュン・ディーゼルだ。以後お見知りおきを」
「ビュンさん…」
「ビュンディーで構わない」
「ビュンディーさんですね、わかりました。それで…お二人はどうしてこちらに…?」
「若旦那…いや、調達屋は来ているか?」
調達屋、という単語を聞いた瞬間柚葉の顔が分かりやすく曇った。今にも泣き出しそうな顔で俯き、ぷるぷると震える。
「お、おい、どうしたんだ?」
「先斗。言い方が怖かったんじゃないのか?」
「えぇ!?い、いや、今のは別に普通だっただろ!」
「そういうところだ、先斗。すまない柚葉」
「い、いえ…違うんです。わた、私も…玄蕃さんと連絡つかなくて…」
玄蕃と会っていたことはやはり言わなかった。泣きそうになりつつも、「連絡がつかない」の一点で彼らから話を引き出そうと画策している。
「マジか、嬢ちゃんのところにも来てないのか…。相当やばいな」
「…玄蕃さん、そんなに危ない状態なんですか…?」
「…まあな。今のアイツは、ただがむしゃらに手を振り回して走ってる子供と同じだ」
「……そんなに…」
自分に余裕そうな態度を見せていたのは演技だったのかと若干のショックを受ける柚葉。そんな彼女を差し置いて、先斗は話を続ける。
「嬢ちゃんになら懐いているからもしかしたらと思ったんだがなあ…」
「…私、そんなに懐かれていませんよ」
「んなワケあるか。あの変なところ面倒くせえ調達屋が分かりやすく顔に出す程入れ込んでることは分かってんだよ」
「……だったら、何で玄蕃さんは私を遠ざけるんですか」
ビュンディーも先斗もすぐには答えなかった。二人は玄蕃の事情を把握しているが、柚葉との深い関係までは把握していない。
「…そりゃあ、アイツにとってお前も大好きな存在だからだろ」
しかし、玄蕃と柚葉がどんなやり取りをしているのかは側でずっと見ていた。大也が所有するバーに柚葉を誘う程玄蕃が気を許していたことも、お小遣い帳を提案する程からかい甲斐のある相手だと認めていたことも、仲良くチョコバナナを食べる姿も、ずっと見ていた。
「確かに、ブンブンジャーでもない嬢ちゃんを復讐に巻き込みたくねえってのはわかるし、筋が通ってる」
「しかし、それ以上に彼はあなたを親しく想っていたように私達は感じている。ブンブンジャーへ向ける”大好き”と、あなたに向ける”大好き”は、似ているようで異なっているが…同時に、異なっているようで本質は同じだ」
「本質は同じ…?」
「……嬢ちゃん、意外と鈍感だな」
「先斗、これくらい鈍感な方が書き手としては楽しいものだ」
「だーっやめろ!恋愛小説の話は勘弁してくれ!」
頭を抱えて嫌がる先斗。状況と言葉が飲み込めていない柚葉に彼は「まあアレだ!」とわざとらしく仕切り直した。
「もし何か分かったら教えてやる。だから安心して待ってな」
「!あ、ありがとうございます…!」
「ったく、アイツはこっちの始末もつけさせるつもりか?」
「事が終わった頃には、さぞ始末料は高くつくだろうな」
「…げ、玄蕃さんに無理させないでください。わ、私も一緒に払いますから!」
「……なあ、前々から思ってたんだけどよ」
少し緩んだ空気を引き締めるような、真面目なトーンで先斗はカウンターから身を乗り出した。
「嬢ちゃん、普通のヤツじゃないよな?この間も苦魔獣相手によく戦っていたし…」
「…」
和やかな雰囲気が一転し、腹の読み合いが始まった。──柚葉の中で、一方的に。
探るような視線を向けてくる先斗に何と答えるか迷っていると、「何か武術でもやってたのか?」と彼は先手を打った。しかしそれは彼女からすれば助け舟と同義である。
「え、ええと…まあ、そんなところです」
「へえ、じゃあ良い腕してるな。勿体ねえなあ、車型宇宙人だったら絶対良いとこまでいってんのに」
「あ、あはは…ありがとうございます…」
実際はただの車型宇宙人よりももっと苛烈な種族であることは口が裂けても言えなかった。冷や汗をかきながら、柚葉は先斗とビュンディーの仲良さげな会話を聞いていた。