ヨシ!【爆上・振騎玄蕃】
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
柚葉が未来に呼び出されたのは、玄蕃がブンブンジャーから離脱してから少し経った頃だった。
大也、未来、柚葉の三人はカフェの席に腰掛け、各々注文した飲み物を前に神妙な顔をしている。
「その…玄蕃、ブンブンジャーを抜けちゃって…」
「えっ!?」
「……ディスレースという敵が現れたんだ。そいつが、玄蕃の仇だった。復讐に俺達を巻き込みたくないと思ったアイツは、自分からブンブンジャーを抜けたんだ」
大也は柚葉に玄蕃がブレキ人であることを伝えなかった。これは未来と既に打ち合わせをしており、彼女も下手なことを言わないように口を噤んでいる。
「…そうなんですか」
「ねえ、玄蕃と会ったりしてない?街で見かけたとか、何でもいいんだけど…」
柚葉はストローでドリンクをかき混ぜながら、先日のことを思い出していた。どす黒い負のオーラを纏い、復讐者に身を落とした玄蕃。会っていないと言えば、嘘になる。
「……いえ、私も会っていないんです」
「そっか…」
「…玄蕃さん、何か言っていましたか?」
「…特等席は降りる、と」
「……そうですか。玄蕃さんは、本当に皆さんが大好きなんですね」
「…ああ。俺達のことを大好きだと、言ってくれた」
「…ふふ、羨ましいです」
「……柚葉のことも、絶対大好きだよ」
「そうだと良いんですけども…」
とは言いつつも、まあ嫌われてはいないだろうなあ、というのが柚葉の本音だった。少なくとも、嫌っているのなら先日のように彼が訪ねて来る理由はない。
未来は大きなため息を吐き、机に突っ伏した。組んだ腕に顎を乗せて柚葉を見上げ、「柚葉も知らないかあ」とぼやく。
「あたし…玄蕃が抜けたままじゃモヤモヤする」
「…きっと、皆さん同じ気持ちですよ」
「…うん」
「私の方も探しておきます。何かあったら連絡しますね」
ニコリと微笑み、彼女はストローに口をつけた。
*
「連絡します、か…。堂々と嘘を吐いていいのかい?」
「だって、最初に約束しましたから。玄蕃さんのこと、誰にも言わないって」
大也達と別れた後、柚葉の背後からは玄蕃が音もなく出て来た。未来から「玄蕃のことで話したいことがあるの」と連絡が入った時点で、玄蕃に連絡をしていたのだ。先日会ったことも会話内容も他言無用で頼むと念押ししてきた彼に、ある条件を課したのだ。
二人は今、中心部からは少し外れた裏路地の喫茶店に入っている。玄蕃はオムライスを、柚葉はナポリタンを頼んでいた。
「それに、一緒にご飯が食べたかったんです」
彼女が出した条件は、”自分と一緒に食事をすること”。このままでは玄蕃がやつれていくことは目に見えていた為、それを見据えてとにかく栄養を摂らせるべきだと判断したのだ。案の定玄蕃はオムライスを大で頼んでいる。
「一人だと寂しくて」
「ナポリタン、好きなのかい?」
「前に雑誌で、エモいという言葉を知ったんです。それで、ナポリタンはレトロで可愛い、エモいと言われているのを見ました。だから食べてみたかったんです」
「変わり者だねぇ」
大きなスプーンでオムライスをがっつり食べている玄蕃を微笑ましそうに見る。玄蕃のことを「可愛い」と認識している彼女にとっては、彼が可愛いものを食べている姿も非常に愛らしく映った。
「……訊かないのかい?どうして私に、宇宙人の仇がいるのか」
「はい。玄蕃さんが喋りたいと思うまで訊きません」
「義理堅いことだ」
「誰にだって秘密の一つや二つはありますから」
それは彼女自身にも言えることだった。自分は玄蕃に隠し事をしている。だから玄蕃の隠し事についても言及しない。そういうポリシーを持って接していた。
「君も、秘密を抱えているのかい?」
「女の子の秘密といえば、スリーサイズと体重ですね」
「君は十分細く見えるが…。いや、こういう話題はやめておこう。誰も幸せにならないだろうからね」
「ふふ、そうですね」
最後の一口を口に運ぶと、玄蕃は机に紙幣を置いた。自分の分と、柚葉の分だ。
「ご馳走様。誘ってくれてありがとう、柚葉。私はそろそろ行くよ」
「う、受け取れません!誘ったのは私ですから!」
「良いんだ。私も誰かと食事ができて楽しかったよ」
「でも…!」
「……それじゃあ今度、もし金銭的余裕のない私が君のキッチンカーを訪れた時に一つ分ご馳走してくれるかい?」
これは玄蕃にとって保険だった。彼女と過ごす食事の時間に、貴重な資金を割いた。もしこれが原因で飴を買う余裕がなくなった時、糖分補給ができるアイスを確保する為の。
「……そんなので、良いんですか」
「それが良いんだ」
「そんなの…何個でも、差し上げますよ」
「ふふ、ありがとう」
足早に喫茶店を出て行く。彼には、ディスレースの居場所を突き止め、その息の根を止めるという使命があった。どれだけ彼女との時間が愛おしくとも、復讐とは天秤に掛けられなかったのだ。
柚葉は少し寂しそうな目で置いて行かれた代金を見ていたが、気を取り直して食事を再開した。地球の文化にまだ馴染めていない彼女にとって、スプーンとフォークで食事をするのは非常に難しいことだった。
大也、未来、柚葉の三人はカフェの席に腰掛け、各々注文した飲み物を前に神妙な顔をしている。
「その…玄蕃、ブンブンジャーを抜けちゃって…」
「えっ!?」
「……ディスレースという敵が現れたんだ。そいつが、玄蕃の仇だった。復讐に俺達を巻き込みたくないと思ったアイツは、自分からブンブンジャーを抜けたんだ」
大也は柚葉に玄蕃がブレキ人であることを伝えなかった。これは未来と既に打ち合わせをしており、彼女も下手なことを言わないように口を噤んでいる。
「…そうなんですか」
「ねえ、玄蕃と会ったりしてない?街で見かけたとか、何でもいいんだけど…」
柚葉はストローでドリンクをかき混ぜながら、先日のことを思い出していた。どす黒い負のオーラを纏い、復讐者に身を落とした玄蕃。会っていないと言えば、嘘になる。
「……いえ、私も会っていないんです」
「そっか…」
「…玄蕃さん、何か言っていましたか?」
「…特等席は降りる、と」
「……そうですか。玄蕃さんは、本当に皆さんが大好きなんですね」
「…ああ。俺達のことを大好きだと、言ってくれた」
「…ふふ、羨ましいです」
「……柚葉のことも、絶対大好きだよ」
「そうだと良いんですけども…」
とは言いつつも、まあ嫌われてはいないだろうなあ、というのが柚葉の本音だった。少なくとも、嫌っているのなら先日のように彼が訪ねて来る理由はない。
未来は大きなため息を吐き、机に突っ伏した。組んだ腕に顎を乗せて柚葉を見上げ、「柚葉も知らないかあ」とぼやく。
「あたし…玄蕃が抜けたままじゃモヤモヤする」
「…きっと、皆さん同じ気持ちですよ」
「…うん」
「私の方も探しておきます。何かあったら連絡しますね」
ニコリと微笑み、彼女はストローに口をつけた。
*
「連絡します、か…。堂々と嘘を吐いていいのかい?」
「だって、最初に約束しましたから。玄蕃さんのこと、誰にも言わないって」
大也達と別れた後、柚葉の背後からは玄蕃が音もなく出て来た。未来から「玄蕃のことで話したいことがあるの」と連絡が入った時点で、玄蕃に連絡をしていたのだ。先日会ったことも会話内容も他言無用で頼むと念押ししてきた彼に、ある条件を課したのだ。
二人は今、中心部からは少し外れた裏路地の喫茶店に入っている。玄蕃はオムライスを、柚葉はナポリタンを頼んでいた。
「それに、一緒にご飯が食べたかったんです」
彼女が出した条件は、”自分と一緒に食事をすること”。このままでは玄蕃がやつれていくことは目に見えていた為、それを見据えてとにかく栄養を摂らせるべきだと判断したのだ。案の定玄蕃はオムライスを大で頼んでいる。
「一人だと寂しくて」
「ナポリタン、好きなのかい?」
「前に雑誌で、エモいという言葉を知ったんです。それで、ナポリタンはレトロで可愛い、エモいと言われているのを見ました。だから食べてみたかったんです」
「変わり者だねぇ」
大きなスプーンでオムライスをがっつり食べている玄蕃を微笑ましそうに見る。玄蕃のことを「可愛い」と認識している彼女にとっては、彼が可愛いものを食べている姿も非常に愛らしく映った。
「……訊かないのかい?どうして私に、宇宙人の仇がいるのか」
「はい。玄蕃さんが喋りたいと思うまで訊きません」
「義理堅いことだ」
「誰にだって秘密の一つや二つはありますから」
それは彼女自身にも言えることだった。自分は玄蕃に隠し事をしている。だから玄蕃の隠し事についても言及しない。そういうポリシーを持って接していた。
「君も、秘密を抱えているのかい?」
「女の子の秘密といえば、スリーサイズと体重ですね」
「君は十分細く見えるが…。いや、こういう話題はやめておこう。誰も幸せにならないだろうからね」
「ふふ、そうですね」
最後の一口を口に運ぶと、玄蕃は机に紙幣を置いた。自分の分と、柚葉の分だ。
「ご馳走様。誘ってくれてありがとう、柚葉。私はそろそろ行くよ」
「う、受け取れません!誘ったのは私ですから!」
「良いんだ。私も誰かと食事ができて楽しかったよ」
「でも…!」
「……それじゃあ今度、もし金銭的余裕のない私が君のキッチンカーを訪れた時に一つ分ご馳走してくれるかい?」
これは玄蕃にとって保険だった。彼女と過ごす食事の時間に、貴重な資金を割いた。もしこれが原因で飴を買う余裕がなくなった時、糖分補給ができるアイスを確保する為の。
「……そんなので、良いんですか」
「それが良いんだ」
「そんなの…何個でも、差し上げますよ」
「ふふ、ありがとう」
足早に喫茶店を出て行く。彼には、ディスレースの居場所を突き止め、その息の根を止めるという使命があった。どれだけ彼女との時間が愛おしくとも、復讐とは天秤に掛けられなかったのだ。
柚葉は少し寂しそうな目で置いて行かれた代金を見ていたが、気を取り直して食事を再開した。地球の文化にまだ馴染めていない彼女にとって、スプーンとフォークで食事をするのは非常に難しいことだった。