ヨシ!【爆上・振騎玄蕃】
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※バクアゲ25時空
花火大会、ということで指定された場所に行くとビルの屋上には玄蕃だけがいた。赤い布地を被せた長い椅子や、屋台を模したテーブルにはりんご飴やチョコバナナ、スイカや焼きとうもろこし等様々な食べ物が置かれている。
「わ…!」
「おや、君の方が早かったみたいだねえ」
「こ、こんばんは、玄蕃さん」
「こんばんは、柚葉」
慣れない下駄で駆け寄ったが、「無理に走らなくて大丈夫だよ」と諭された。はしたなかったかと少し恥ずかしくなり俯くと、彼の方からも近付いてきた。
「浴衣、よく似合っているよ」
「…!あ、ありがとうございます…玄蕃さんも、凄くお似合いです」
今日は珍しくポンパドールのように前髪を上げ、茶色の浴衣を着ている。普段は見えない額にドキリとしてしまい、「ああ、もうこの人には勝てないんだな」と気付かされてしまった。
「髪型も、今日は普段と違っているね?」
「あ…ちょっとだけ結んだんです。うなじを見せている方が良いってネットに書いていたので…」
「……因みに、そういう浴衣をチョイスした理由を聞いても?」
浴衣には淡い水色に貝やクラゲ、ヒトデが描かれていた。ヒトデの色と合わせるように、帯も少し濃いオレンジ色で締めている。オレンジは玄蕃を思い出させる色だ。それを分かっていて選んでしまった。
「…う、海の生き物、好きなんです」
「へえ」
からかうような言い方に頬が熱くなる。彼はもう分かっていて尋ねてきている。私の反応を見て楽しんでいるのだ。たまらなく恥ずかしいのに、それが心地良い。──ああ、愛おしい。可愛くてかっこよくて少しズルいこの人が、好きだ。
玄蕃を真っ直ぐ見つめた。もう逃げたりしない。隠し事もしたくない。
「……わ、私…本当は……」
「…うん」
「…本当は……」
宇宙人なんです、と言おうとした瞬間扉が開いて「バイト終わった~!」と未来の声がビルに響いた。
「あ…」
「間に合いましたね!」
「良かったな、未来」
ブンブンジャーとタイヤノイドの二人、それからもう一人知らない女性がいた。玄蕃が調達した屋台の物を見ておお~と歓声を上げた彼らに、玄蕃は「特等席、調達しといたよ」と扇子を広げて楽しそうに言う。
「うわあ、すげえ!色々ある!」
「楽しませてもらうぜ、バクアゲ花火を!」
一斉にわあっと寄ってきた。私は邪魔にならないようにと端の方に避けていき、柵に手をついてビル群を見下ろす。下からは心地良い夜風が吹いていた。
──結局、言えなかったな。
あれは多分、少女漫画で言うところの告白する場面だった。でも、正体を隠したまま彼に恋愛関係を迫るのは失礼だという理性が勝ってしまった。だから先に、自分の正体を言おうとしたのだ。それも結局、失敗に終わってしまったが。
ちらりと玄蕃の方を見る。調達したりんご飴を射士郎に渡し、先斗や錠と楽しそうに喋っていた。
──玄蕃さんはきっと、私が宇宙人だからって差別するような人じゃない。でも、それを分かっている上で好きだなんて言うのはしたくないな…。
エン人はただの宇宙人ではない。戦闘民族として鍛えられ、育ち、戦い、血を浴びてきた。人に褒められるような生き方なんて出来ない種族だ。
そんな私が告白なんてしたら、きっと、彼を汚してしまう。
ドン、と大きな音がした。お腹に響く、爆発のような音だ。空を見上げれば、光の粒が花を描き、落ちていった。花火という言葉は知っていたが、実際に見るのは初めてだ。
「たーまやー!」
「かーぎやー!」
「ブンブンジャー!」
各々が花火を見て好きに叫んだ。そういう文化があるのかとぼんやり観察していると、「失礼します」と女性がやって来た。タイヤノイドと親しげに話していた人だ。
「初めまして、細武調と申します。国際宇宙対策機構、通称I.S.Aに所属している調査官です」
「あ…巴柚葉です、大也さんが持っているキッチンカーで働いています」
「…こんな場所で話すのも申し訳ないのですが、あなたを少し調べさせて頂きました」
「えっ…」
花火の音が遠くなった。調の声だけが耳に響き、こだまする。
「あなたはどこから来たのです?そして、何故ここへ?」
「…」
「情報屋と連携して調べましたが、確かに地球上に巴柚葉という人間は存在しませんでした。現在発覚している行方不明者とも顔を照らし合わせてみましたが、一致する人物はいなかった。あなたの存在を証明する証拠は何も無いのです」
「……」
「…質問を少し変えましょうか。どうやってスマホを手にしましたか?契約の際に個人情報が必要でしょう」
「…ごめんなさい」
私は彼女の顔を見れなかった。目を合わせているように見せかけて、メガネのフレームを見つめていた。そして無理矢理口角を上げ、笑みを作った。
「今日は花火大会です。私は逃げたりしませんから、この話はまた今度にしましょう」
「……そう、ですか」
「大丈夫ですよ、私は誰かに危害を加えるつもりはありません。この件で調さんに何かするつもりも毛頭ないです」
「…わかりました。また後日、話をしましょう」
「はい。その時は、よろしくお願いします」
花火大会、ということで指定された場所に行くとビルの屋上には玄蕃だけがいた。赤い布地を被せた長い椅子や、屋台を模したテーブルにはりんご飴やチョコバナナ、スイカや焼きとうもろこし等様々な食べ物が置かれている。
「わ…!」
「おや、君の方が早かったみたいだねえ」
「こ、こんばんは、玄蕃さん」
「こんばんは、柚葉」
慣れない下駄で駆け寄ったが、「無理に走らなくて大丈夫だよ」と諭された。はしたなかったかと少し恥ずかしくなり俯くと、彼の方からも近付いてきた。
「浴衣、よく似合っているよ」
「…!あ、ありがとうございます…玄蕃さんも、凄くお似合いです」
今日は珍しくポンパドールのように前髪を上げ、茶色の浴衣を着ている。普段は見えない額にドキリとしてしまい、「ああ、もうこの人には勝てないんだな」と気付かされてしまった。
「髪型も、今日は普段と違っているね?」
「あ…ちょっとだけ結んだんです。うなじを見せている方が良いってネットに書いていたので…」
「……因みに、そういう浴衣をチョイスした理由を聞いても?」
浴衣には淡い水色に貝やクラゲ、ヒトデが描かれていた。ヒトデの色と合わせるように、帯も少し濃いオレンジ色で締めている。オレンジは玄蕃を思い出させる色だ。それを分かっていて選んでしまった。
「…う、海の生き物、好きなんです」
「へえ」
からかうような言い方に頬が熱くなる。彼はもう分かっていて尋ねてきている。私の反応を見て楽しんでいるのだ。たまらなく恥ずかしいのに、それが心地良い。──ああ、愛おしい。可愛くてかっこよくて少しズルいこの人が、好きだ。
玄蕃を真っ直ぐ見つめた。もう逃げたりしない。隠し事もしたくない。
「……わ、私…本当は……」
「…うん」
「…本当は……」
宇宙人なんです、と言おうとした瞬間扉が開いて「バイト終わった~!」と未来の声がビルに響いた。
「あ…」
「間に合いましたね!」
「良かったな、未来」
ブンブンジャーとタイヤノイドの二人、それからもう一人知らない女性がいた。玄蕃が調達した屋台の物を見ておお~と歓声を上げた彼らに、玄蕃は「特等席、調達しといたよ」と扇子を広げて楽しそうに言う。
「うわあ、すげえ!色々ある!」
「楽しませてもらうぜ、バクアゲ花火を!」
一斉にわあっと寄ってきた。私は邪魔にならないようにと端の方に避けていき、柵に手をついてビル群を見下ろす。下からは心地良い夜風が吹いていた。
──結局、言えなかったな。
あれは多分、少女漫画で言うところの告白する場面だった。でも、正体を隠したまま彼に恋愛関係を迫るのは失礼だという理性が勝ってしまった。だから先に、自分の正体を言おうとしたのだ。それも結局、失敗に終わってしまったが。
ちらりと玄蕃の方を見る。調達したりんご飴を射士郎に渡し、先斗や錠と楽しそうに喋っていた。
──玄蕃さんはきっと、私が宇宙人だからって差別するような人じゃない。でも、それを分かっている上で好きだなんて言うのはしたくないな…。
エン人はただの宇宙人ではない。戦闘民族として鍛えられ、育ち、戦い、血を浴びてきた。人に褒められるような生き方なんて出来ない種族だ。
そんな私が告白なんてしたら、きっと、彼を汚してしまう。
ドン、と大きな音がした。お腹に響く、爆発のような音だ。空を見上げれば、光の粒が花を描き、落ちていった。花火という言葉は知っていたが、実際に見るのは初めてだ。
「たーまやー!」
「かーぎやー!」
「ブンブンジャー!」
各々が花火を見て好きに叫んだ。そういう文化があるのかとぼんやり観察していると、「失礼します」と女性がやって来た。タイヤノイドと親しげに話していた人だ。
「初めまして、細武調と申します。国際宇宙対策機構、通称I.S.Aに所属している調査官です」
「あ…巴柚葉です、大也さんが持っているキッチンカーで働いています」
「…こんな場所で話すのも申し訳ないのですが、あなたを少し調べさせて頂きました」
「えっ…」
花火の音が遠くなった。調の声だけが耳に響き、こだまする。
「あなたはどこから来たのです?そして、何故ここへ?」
「…」
「情報屋と連携して調べましたが、確かに地球上に巴柚葉という人間は存在しませんでした。現在発覚している行方不明者とも顔を照らし合わせてみましたが、一致する人物はいなかった。あなたの存在を証明する証拠は何も無いのです」
「……」
「…質問を少し変えましょうか。どうやってスマホを手にしましたか?契約の際に個人情報が必要でしょう」
「…ごめんなさい」
私は彼女の顔を見れなかった。目を合わせているように見せかけて、メガネのフレームを見つめていた。そして無理矢理口角を上げ、笑みを作った。
「今日は花火大会です。私は逃げたりしませんから、この話はまた今度にしましょう」
「……そう、ですか」
「大丈夫ですよ、私は誰かに危害を加えるつもりはありません。この件で調さんに何かするつもりも毛頭ないです」
「…わかりました。また後日、話をしましょう」
「はい。その時は、よろしくお願いします」