ヨシ!【爆上・玄蕃】
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※バクアゲ19時空
あれ以来気持ちが沈んでしまった柚葉は、少しでも元気を取り戻そうと買い物に出ていた。
「はあ~…本当、地球って可愛いものでいっぱい…」
通りすがる少女や子供達、果てには老人さえも視界に入れたものは全て「可愛い」と認定していく。戦闘民族である彼女にとって、力が弱く体も強くない地球人はそのほとんどが「可愛い」ものに値するのだ。例え自分好みに容姿の整った人間であろうと、自分よりも非力ならば可愛いのである。
「これだけで一日頑張れる♪給料日♪」
機嫌良く鼻歌──というか最早歌を口ずさみながらルンルンで歩いて行く女性を微笑ましい目で見つめた。柚葉は歌も好きだ。流石に歌詞の内容にはよるが、特に童謡が好ましい。子供達が一生懸命歌っている様を見ていると悶えてしまう程である。
可愛い人達に出会えて良い日だなあ、と呑気に思い広場の階段に腰を下ろす。紙袋の中に入った雑貨やコスメを手にとって眺めながら、穏やかな休日を過ごしていた。
「きゃー!!!」
その平穏はすぐに壊され、悲鳴が広場に響き渡った。柚葉が慌てて戦利品を紙袋に戻すと、ネジレッタ達が一般人を襲い、その後ろから苦魔獣がやって来る。
「苦魔獣…!」
──もうあの時の、「最低な自分」にはならない。そう心に誓い、彼女は前へと直ぐに飛び出した。
「お金の重さ、思い知れ!クルマネー札、発射!」
苦魔獣の口のような部分から紙幣が飛び出してくる。柚葉はすぐに避けたが、追尾性能があのか紙幣は彼女目掛けて飛んできた。完全に避けれたと気を抜いていた彼女の顔に紙幣がべったりと貼りつき、そして上から何かの圧が圧し掛かる。
「!?これは…!?」
擬態している人間の姿が出せる精一杯の力で抵抗し、フラフラと圧に抗いながら彼女は苦魔獣へと立ち向かおうとした。そこへ先斗が高速で駆け寄ってきて、「退がってな」と彼女を苦魔獣から遠ざける。この前の人だ、と先斗の顔を見てすぐに気付いた柚葉は彼の言葉通り数歩後ろへ退がった。
先斗が変身し、ネジレッタと戦闘を始める。思いの外数が多い。今同じように重圧で倒れている人々が襲われてはいけない、と考えた柚葉は重圧に逆らい、紙幣で視界が悪い中精一杯ネジレッタを蹴りや投げ技で蹴散らした。
「やるなあ、嬢ちゃん!」
「ッ…結構、ギリギリですけどね!」
先斗の膝蹴りがネジレッタの鳩尾に入り、彼が取りこぼしたネジレッタへ柚葉の前蹴りが腹部に炸裂する。お互いを補うように戦っていると、「大丈夫ですか!?」と錠、未来、玄蕃が駆けつけてきた。彼らは圧をかけられているかのように伏している人々の顔に紙幣が貼りついていることに気が付くとそれを力一杯引っ剝がす。
「おう!お前ら、そこの嬢ちゃんのやつも取ってやってくれ!」
「!柚葉!?」
「え?げ、玄蕃さん…ですか?」
紙幣でよく見えず、オロオロしている彼女に近付くと玄蕃は力尽くで彼女の顔についた紙幣を剥がした。ようやくお互いの顔が見え、目と目が合う。柚葉は至近距離で玄蕃の顔を見てしまったことにより顔が真っ赤になり、「あ、ありがとうございます!!」とだけ言って難を逃れた一般人達と同じように走り去って行った。
*
苦魔獣を倒した後、玄蕃達は広場で紙袋を抱えている柚葉の元に駆け寄った。
「柚葉、怪我はない?」
「はい、ありがとうございます未来さん」
「それにしても、どうして柚葉さんはあの攻撃を食らっても動けたんですかね?」
錠が首を傾げると、射士郎が「見ればわかる」と呆れたように口を開いた。彼の視線の先には、柚葉が持っている紙袋がある。
「大方、散財したばかりなんだろう」
「成る程、そういうことか」
「え、でもあれって貯金も含まれてたでしょ?それでもあれだけ動けてたのって…」
未来はジッと柚葉を見つめる。柚葉は気まずそうに視線を逸らすが、耳まで赤くなっていた。
「……もしかして、いつも金欠なのかい?」
「………」
玄蕃の問いかけに答えもしない。暫く黙っていたかと思うと急にその場で蹲り、「わ~~~!」と悶え始めた。
「知られたくなかったのに~…!!」
「…気にしてたんですね、金欠…」
「錠さん、あんまり言わないでください…!!」
「柚葉、給料を上げてほしいなら引き上げるが…」
「大也さん…同情は一番心にきます…」
雇い主である大也の現実的な解決策を突っぱねる程恥ずかしかったらしい。柚葉は頭を抱え、「穴があったら入りたい…」とブツブツ呟き始めた。
「別に気にすることじゃねえだろ、お陰で俺も楽に戦えたんだからよ!」
「……だ、誰ですか…」
「そうか、二人は初対面だったな。柚葉、こっちは焔先斗。ブンブンジャーの新しい一員だ。先斗、こっちが巴柚葉。俺が経営しているキッチンカーのスタッフでアイスを売っているんだ」
「おう。焔先斗だ、よろしくな柚葉ちゃん」
さらっとちゃん付けをした先斗に玄蕃が若干不満げな視線を向けた。先斗はそれに気が付いたが既に玄蕃の視線は柚葉へと向けられていた為、気のせいだったかと頭を掻く。
「柚葉、お金は大事に使おうか」
「…可愛いものを見ると、抑えられないんです……」
「それなら私と一緒に毎月の収入と支出をつけよう。まずはお小遣い帳からかな」
クスクスと笑う。玄蕃的には子供扱いをしたつもりだったのだが、小遣い帳の文化を知らない彼女にはイマイチ意味が伝わっていなかった。
「?が、頑張ります…?」
「君の願い事は、”お金の管理がしっかりできますように”にしておこう」
自己完結する玄蕃に柚葉は終始疑問符を浮かべていたが、彼が楽しそうなのでまあいいかと自分を納得させた。
その日ガレージに飾られた笹の中の一つに、玄蕃の字で「お金の管理がしっかりできますように。巴柚葉」という短冊があったのは言うまでもない。
あれ以来気持ちが沈んでしまった柚葉は、少しでも元気を取り戻そうと買い物に出ていた。
「はあ~…本当、地球って可愛いものでいっぱい…」
通りすがる少女や子供達、果てには老人さえも視界に入れたものは全て「可愛い」と認定していく。戦闘民族である彼女にとって、力が弱く体も強くない地球人はそのほとんどが「可愛い」ものに値するのだ。例え自分好みに容姿の整った人間であろうと、自分よりも非力ならば可愛いのである。
「これだけで一日頑張れる♪給料日♪」
機嫌良く鼻歌──というか最早歌を口ずさみながらルンルンで歩いて行く女性を微笑ましい目で見つめた。柚葉は歌も好きだ。流石に歌詞の内容にはよるが、特に童謡が好ましい。子供達が一生懸命歌っている様を見ていると悶えてしまう程である。
可愛い人達に出会えて良い日だなあ、と呑気に思い広場の階段に腰を下ろす。紙袋の中に入った雑貨やコスメを手にとって眺めながら、穏やかな休日を過ごしていた。
「きゃー!!!」
その平穏はすぐに壊され、悲鳴が広場に響き渡った。柚葉が慌てて戦利品を紙袋に戻すと、ネジレッタ達が一般人を襲い、その後ろから苦魔獣がやって来る。
「苦魔獣…!」
──もうあの時の、「最低な自分」にはならない。そう心に誓い、彼女は前へと直ぐに飛び出した。
「お金の重さ、思い知れ!クルマネー札、発射!」
苦魔獣の口のような部分から紙幣が飛び出してくる。柚葉はすぐに避けたが、追尾性能があのか紙幣は彼女目掛けて飛んできた。完全に避けれたと気を抜いていた彼女の顔に紙幣がべったりと貼りつき、そして上から何かの圧が圧し掛かる。
「!?これは…!?」
擬態している人間の姿が出せる精一杯の力で抵抗し、フラフラと圧に抗いながら彼女は苦魔獣へと立ち向かおうとした。そこへ先斗が高速で駆け寄ってきて、「退がってな」と彼女を苦魔獣から遠ざける。この前の人だ、と先斗の顔を見てすぐに気付いた柚葉は彼の言葉通り数歩後ろへ退がった。
先斗が変身し、ネジレッタと戦闘を始める。思いの外数が多い。今同じように重圧で倒れている人々が襲われてはいけない、と考えた柚葉は重圧に逆らい、紙幣で視界が悪い中精一杯ネジレッタを蹴りや投げ技で蹴散らした。
「やるなあ、嬢ちゃん!」
「ッ…結構、ギリギリですけどね!」
先斗の膝蹴りがネジレッタの鳩尾に入り、彼が取りこぼしたネジレッタへ柚葉の前蹴りが腹部に炸裂する。お互いを補うように戦っていると、「大丈夫ですか!?」と錠、未来、玄蕃が駆けつけてきた。彼らは圧をかけられているかのように伏している人々の顔に紙幣が貼りついていることに気が付くとそれを力一杯引っ剝がす。
「おう!お前ら、そこの嬢ちゃんのやつも取ってやってくれ!」
「!柚葉!?」
「え?げ、玄蕃さん…ですか?」
紙幣でよく見えず、オロオロしている彼女に近付くと玄蕃は力尽くで彼女の顔についた紙幣を剥がした。ようやくお互いの顔が見え、目と目が合う。柚葉は至近距離で玄蕃の顔を見てしまったことにより顔が真っ赤になり、「あ、ありがとうございます!!」とだけ言って難を逃れた一般人達と同じように走り去って行った。
*
苦魔獣を倒した後、玄蕃達は広場で紙袋を抱えている柚葉の元に駆け寄った。
「柚葉、怪我はない?」
「はい、ありがとうございます未来さん」
「それにしても、どうして柚葉さんはあの攻撃を食らっても動けたんですかね?」
錠が首を傾げると、射士郎が「見ればわかる」と呆れたように口を開いた。彼の視線の先には、柚葉が持っている紙袋がある。
「大方、散財したばかりなんだろう」
「成る程、そういうことか」
「え、でもあれって貯金も含まれてたでしょ?それでもあれだけ動けてたのって…」
未来はジッと柚葉を見つめる。柚葉は気まずそうに視線を逸らすが、耳まで赤くなっていた。
「……もしかして、いつも金欠なのかい?」
「………」
玄蕃の問いかけに答えもしない。暫く黙っていたかと思うと急にその場で蹲り、「わ~~~!」と悶え始めた。
「知られたくなかったのに~…!!」
「…気にしてたんですね、金欠…」
「錠さん、あんまり言わないでください…!!」
「柚葉、給料を上げてほしいなら引き上げるが…」
「大也さん…同情は一番心にきます…」
雇い主である大也の現実的な解決策を突っぱねる程恥ずかしかったらしい。柚葉は頭を抱え、「穴があったら入りたい…」とブツブツ呟き始めた。
「別に気にすることじゃねえだろ、お陰で俺も楽に戦えたんだからよ!」
「……だ、誰ですか…」
「そうか、二人は初対面だったな。柚葉、こっちは焔先斗。ブンブンジャーの新しい一員だ。先斗、こっちが巴柚葉。俺が経営しているキッチンカーのスタッフでアイスを売っているんだ」
「おう。焔先斗だ、よろしくな柚葉ちゃん」
さらっとちゃん付けをした先斗に玄蕃が若干不満げな視線を向けた。先斗はそれに気が付いたが既に玄蕃の視線は柚葉へと向けられていた為、気のせいだったかと頭を掻く。
「柚葉、お金は大事に使おうか」
「…可愛いものを見ると、抑えられないんです……」
「それなら私と一緒に毎月の収入と支出をつけよう。まずはお小遣い帳からかな」
クスクスと笑う。玄蕃的には子供扱いをしたつもりだったのだが、小遣い帳の文化を知らない彼女にはイマイチ意味が伝わっていなかった。
「?が、頑張ります…?」
「君の願い事は、”お金の管理がしっかりできますように”にしておこう」
自己完結する玄蕃に柚葉は終始疑問符を浮かべていたが、彼が楽しそうなのでまあいいかと自分を納得させた。
その日ガレージに飾られた笹の中の一つに、玄蕃の字で「お金の管理がしっかりできますように。巴柚葉」という短冊があったのは言うまでもない。