【前編】お悩み相談はcafé ampleへ
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玄弥は兄に似ず、とにかく数学が苦手で
中等部時代、試験前に兄からスパルタ指導を受けていて
その頃もよく澪に『澪姉ちゃん…兄ちゃんに殺される…っ』と泣きついてきていた。
そのスパルタ指導の結果、ますます数学に対する苦手意識が強くなったところに
『違う学校ならまだしも直接指導している以上、俺が教えるわけにいかねぇだろ。』と
試験前の詰め込みスパルタ指導も無くなったため
高等部に入ってからの玄弥の数学の成績は右肩下がりの一途を辿っている。
『玄弥、お前はちゃんと勉強して良い大学に入って良い会社に就職しろ』
と思わず澪が(昭和のおかんか)と突っ込みたくなるような台詞を
玄弥に常日頃言い聞かせている実弥の青筋は、
玄弥の数学の成績と反比例してどんどん増えていっているように澪も思っている。
自身は家庭の事情から大学に通わず、アルバイトで生活費を稼ぎながら
血を吐きそうなほど努力して教職免許を取った実弥のことを思うと
玄弥にはそうなって欲しくないからという兄心だということは
とてもよく分かるのだが、いかんせん圧が強すぎる。
とは言え、完全に文系だった澪も
玄弥に数学を教えられるほどの実力はない。
「…はぁ、仕方ないなぁ…。実弥に、誰にだって得手不得手はあるんだよってまた話してみるから。」
「っ!澪姉ちゃん!ホントッ!?」
「ただ…これから先生たちは採点祭りで鬼気迫った感じになるからなぁ…。火に油注いじゃいそうな気もするけど。」
生徒と同様、このカフェの常連客でもある教師たちが
試験日程の前後は試験作りと採点で地獄の激務になり
どんどん生気が失われ、最後には鬼気迫る状態に変わっていくのを知っているので
そんなタイミングで玄弥の話をしようものなら
実弥に血走った眼で『あぁ!?(怒)』と睨まれてしまう図しか思い浮かばない。
だが、玄弥が玄弥なりに努力したことは知っているので
気張って従兄弟たちの間に入ってやろうと澪が決意をしたちょうどその瞬間、
バンッ
チリンチリーンッ
「澪さんっ!聞いてよぉーーーーーっっ!!!」
盛大な音を立てながら、桜色と鶯色の春を模した髪を振り乱して
豊満な胸を惜しげもなく強調するような
ぴたっと体の線に沿った服を着た女の子が店に飛び込んできた。