【後編】café ampleでお夜食をどうぞ
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「お待たせ~、澪特製レバニラ定食だよ。」
「食欲をそそる良い匂いだ!…澪は食べないのか?」
「私はさっき空腹に負けて、先に食べちゃったの。」
「そうか、では…いただきます!…うまいっ!」
「ふふっ良かった。たくさん食べてね。」
しばらくは、カフェに似つかわしくない
中華特有の香ばしい匂いに満ちた店内で
うまい、うまいと食を進めた。
もちろんレバニラ定食など、通常のカフェメニューにはないが
こうして試験前後の繁忙期には激務に追われる教師たちのために
澪はその時々に応じた食事を提供してくれていた。
忙しい時期が続いた最後の方は胃に優しいリゾットだとかうどんだとかいうメニューに変わるため、キメツ学園教師陣にとってこのカフェの存在は既に無くてはならない存在になっている。
チリンチリン
「「「こんばんは~」」」
「あ、先生方。お疲れ様です。」
「あぁ、澪さん、いつも申し訳ないがお願いできますか?」
「もちろんですよ、今準備しますのでお座りになってお待ち下さいな。」
「ありがたい…。」
「時間切れ…か。」
「何を言ってる。これでもだいぶ引き延ばした方だぞ。礼を言え、礼を。」
「伊黒の言う通りだァ、充分時間空けて来てやっただろォが。」
もうほぼ食べ終わりに近い状態の杏寿郎の横に、
伊黒と不死川が座りながら文句を言う。
「大体、これ以上時間置いたところで進展なんかしねぇだろうがてめぇはよ。いい加減ハッキリさせろよ。」
「全くだ。一体いつになったら言うつもりだ。早々に動かんと、気付いた時には不死川の嫁になっているぞ?従兄妹同士は結婚できるのだからな。」
「むぅ…。」
「…ッチ、…オレのことはともかく、どこの馬の骨とも知れんヤツがひょっこり出てくるかも知んねェだろ。」
「いや、それは大丈夫だ!」
幼馴染に近付く男に関する対応としては最早ベテランの域に達している杏寿郎が
自信満々に答える。
目下、杏寿郎にとって警戒すべき恋敵は
澪の従兄妹であり自分の同僚でもあるこの男、不死川実弥のみであると
自信を持って言えるからだ。
「それは大丈夫だ、じゃねェんだよ!そんな回りくどい裏工作するよりさっさと澪に言えってんだよ!言わなきゃ一生気付かねェぞ、あの鈍感女は!」
不死川はテーブルに頬杖をつきながら苛立たし気に杏寿郎を焚き付ける。
彼にとっても澪は、大切な存在だ。