漁夫の利狙いの眼差し
お名前の設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「今度の練習試合も応援に行くから、頑張ってね!」
「は、はぃい!//////」
昼休み、たまたま担任が剣道部の顧問であるため
その担任に呼び止められ、1学年上の先輩である煉獄さんへの伝言を預かった僕は
教師の遣いをやる羽目になったことを面倒に思うどころか、
その任を任されたことに対してウキウキとした気持ちを抑えられなかった。
その理由は目の前で、満面の笑顔を見せてくれている人のおかげだ。
瀬尾澪先輩。
キメツ学園三大美女の1人で、学園中の憧れの的だ。
今年は煉獄さんと澪先輩は同じクラスになったので、
顧問の伝言を伝えに行けば、澪先輩に会えると思うとウキウキもするというものだ。
例え澪先輩が学園中が知っているように、
目の前の先輩の恋人だったとしてもそれは大きな問題ではない。
自分が恋人になりたいと思うことすらおこがましいくらいの存在なので
ただただ、声を掛けてもらえるだけで嬉しいのだ。
(教室戻ったら、澪先輩に声掛けてもらったってあいつらに絶対自慢しよう!)
きっとまた、これだから剣道部の連中はズルいとブーイングを受けるだろう。
剣道部の試合があれば、休日にも澪先輩の姿を見ることだって出来るし
差し入れのお菓子をもらったことだってある上、言葉を交わす機会だって多い。
いつもそんな話を他部の友人たちに羨ましがられているのだ。
それもこれも、目の前で微笑ましそうにこちらを見ている煉獄さんが
皆の憧れである澪先輩の恋人の座におさまってくれているからだ。
剣道部の後輩としては煉獄さんに感謝しかない。
噂で去年あの2人が別れたという話を聞いた時は衝撃だった。
来年自分が高等部に上がっても、もう澪先輩と親しくお話することはできないのか…と、同学年の剣道部メンバーと共に絶望したりもした。
しかし、いざ高等部に上がってみたら
2人はとっくにヨリを戻していたどころか、
中等部の時以上に仲睦まじく、
結果として引き続き他の後輩より近い距離感を享受することが出来ている。
目の前で時計を見ながら、
そろそろ、購買行って戻らないと…という会話を交わす2人に
今度こそ別れの挨拶をした僕は、
何やら笑顔で話しながら並んで歩く2人の背中…
特に煉獄さんの背中を、
強い念を込めた眼差しで見つめて見送った。
(煉獄さん…っ!どうかこれからも澪先輩の恋人の座を死守してくださいねっ!!僕たちのためにもっ!!!)