漁夫の利狙いの眼差し
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「はぁ…はぁ、それが、先生放課後も校外の予定が出来たみたいで、伝達事項だけ伝えたいから午後、授業の合間の小休憩時間に職員室まで来てくれ、だそうです…っ、はぁ。」
「…俺が?」
「はい~…部長は元々今日の部活は家庭の事情で欠席予定ですし、副部長はその…呼んでも来ないだろうから『煉獄に言っておけ』と先生が…。」
すごく言い辛そうな後輩を杏寿郎くんの隣から見つめながら
(あぁ…あの先輩か、確かに呼んでも来なさそうだなぁ)
と澪も思った。
現3年の副部長は剣道の実力は素晴らしいのだが、
何というか…いわゆるチャラい部類の先輩で、練習も出たり出なかったり
ミーティングや顧問の呼び出しに応じるなど以ての外といったタイプの人だ。
それでも気さくで後輩の面倒見は意外と良いので
真逆のタイプである杏寿郎くんをはじめ、後輩たちにはとても慕われていて
本人は真っ向から拒否したものの民主主義的多数決により
副部長の座におさまっている。
尚、現在の部長は同じく3年生なのだが、こちらは杏寿郎くんと似た
真面目で、後輩の面倒見も良い上、先生の信頼も厚いタイプの人だ。
2年生のうちから、副部長の代わりの伝達事項を任されるくらいだ。
きっと来年は杏寿郎くんが部長になるんだろうな、と澪は思った。
「…なるほど、分かった。わざわざすまなかったな。」
「いえ!あの…こちらこそすみません、その…お邪魔してしまって。澪先輩も、すみません。」
「そんな邪魔だなんて…、それよりこの前の新人戦優勝おめでとう!」
「!あ、え、ぁありがとうございますっ!!//////」
こちらの方を申し訳なさそうに伺った後輩が、
先日行われた剣道部の新人戦で優勝した子だということを思い出し
祝いの言葉を贈ると、瞬時に後輩の顔が真っ赤に染まった。
キメツ学園三大美女などと呼ばれているらしいことは
自分にとっては甚だ不可解かつ不本意なのだが、
このように分かりやすく好意を示してくれたり、憧れの眼差しを送ってくれるのは
嬉しいものだ…と思う。
嬉しいのと同じくらい、面映ゆいのだけれども。