彼女だけが知る笑顔
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友人たち曰く、身体が鍛え上げられている俺は
スポーツなら何でもこなせそうに見える、らしい。
だが、身体は剣道の鍛錬を行う中で自然と鍛えられたものであるし、
そもそも幼い頃から剣道だけに注力してきたので
他のスポーツの経験値は低い。
それに、人は誰だって得手不得手くらいあるだろう、と
俺は思うのだが。
それでも、体育の授業などで俺の不得手なものが判る度に
友人たちはいちいち驚いていたものだった。
例えば卓球。
中等部時代に、初めて卓球という競技を実施したのだが
球が小さすぎる上、力のコントロールが効きづらく、
杏寿郎の打ち返す球は大抵台の遥か遠くへ飛んでいってしまった。
思わず、
『俺にはこの台は小さすぎる!!』
と叫んでしまった俺の言は、『煉獄迷言』としてしばらく友人たちに揶揄われた。
かと思えば、去年の球技大会、男子種目であったバレーボール。
杏寿郎の打つスパイクは視認すら難しいレベルで誰も打ち返せなかったし、
足の速さは折り紙付きなのでどんなボールでも拾うことが出来、大活躍だった。
ちなみに一昨年の球技大会、参加したのは男女混合種目のキックベースだ。
杏寿郎の蹴る球はほぼ毎回が場外ホームランレベルでぶっちぎりの優勝だった。
それなのに今年の男子種目であるサッカーとなると、
同じ球を蹴る競技であるのにフィールドプレーヤーとして
人を凌駕するほどの実力が無いことは、自覚していた。
唯一、ゴールキーパーだとほぼ100%に近いくらいシュートを止めることはできたため
体育の授業ではゴールキーパー要員だったが、
今年は同じクラスにサッカー部のキーパーがいるので自分は出番無しだ。
では、バスケットボールは…と言うと
早い動きで対戦相手を躱すことは得意だし、
シュートの成功率もそれなりに高いのだが、
不思議なことに少し身体がぶつかっただけで相手が吹っ飛んでいき
すぐにファウルとなるので、試合にならない。
意図してファウルしているわけではないので俺はいつも困惑しきりなのだが
同じくらい体育教師も「こいつはどうすりゃいいんだ…」という目で
いつも困惑している始末だった。
結果的に、サッカーもバスケットボールも選べない俺としては
今年の球技大会はドッジボールしか選択肢がないも同然だった。
そして、それは5年の付き合いがある同級生たちも皆、暗黙の了解だったようだが
そういった事情を知らない山田だけが単純な疑問を持ったということだろう。