私の熱の源
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私の熱の源
(…ふぅ、)
制服のタイを締め終え、部屋の鏡で全身をチェックする。
高等部も2年ともなれば、着慣れている制服であるが
今日ばかりは違和感がないかどうか気になってしまう。
「…あらっ、澪。ずいぶん早いのね。」
「うん、何か変に緊張というか…落ち着かなくて。だからちょっと早めに出るね。」
「あら、そう。あんまり無理しないのよ?」
「うん、分かってる。」
いつもの朝より30分以上も早くリビングに顔を出したので
お母さんも驚きの表情を見せながら、気遣ってくれる。
何故、落ち着かないか…と言うと、
今日が久しぶりの登校になるからだ。
先々週、何だか悪寒がするような…と思っていたら
翌日には39度の高熱と関節痛でダウンしてしまった。
病院の診断は「インフルエンザA型」
結果的に、先週1週間はずっと欠席せざるを得ず、
実に10日ぶりの登校である。
(変なの…たった1週間なのに、何だかすごく懐かしい気になるなんて)
キメツ学園の校門を抜け、昇降口まで歩きながら
何でこんな気持ちになるのか少し自分に笑ってしまう。
中等部も同じ敷地内だから、もう5年近く通っているのに。
教室に着いて、自分の席で今日の時間割を確認していると
早すぎた登校のせいで人気もなく、しーんとした教室に
バタバタバタバタッ
と廊下を走る音が、響いてきた。
スパンッ
「っ!?」
「澪っ!おはよう!!」
激しい音と共に開かれた教室のドアを驚いて見つめると
そこには
にぱっ
という効果音が付きそうなほどの満面の笑みで
道着姿の杏寿郎くんがいた。
「久しぶりだな!澪!体調はどうだ!?」
「ぉ、おはよう、杏寿郎くん。体調はもう大丈夫だよ、ありがとう。」
「それは良かった!!」
「杏寿郎くん、朝練は?」
「少しだけ抜けてきた!」
「…、…えっ!?」
“あの”杏寿郎くんが、部活の朝練を抜けてきた!?
「これを君に渡そうと思ってな!澪が休んでいた期間のノートだ!」
「…え、わざわざこれを渡しに?」
「うむ!ではまた後でな!」
「っえ!ぁ、ありがt」
「澪!久しぶりに会えて嬉しい!」
「っ!////////」
今朝、メッセージアプリで“今日から復帰だと聞いたが無理はしないように”と
送ってくれた杏寿郎くんへ
何だか落ち着かなくて早めに家を出たとは返事したけれども
まさか部活動に人一倍熱心な杏寿郎くんが朝練を抜けてまで
わざわざノートを届けに来てくれるだなんて予想もしていなくて。
目を白黒させている間に、
どんどん話を進めて道場に戻ろうとする杏寿郎くんへ
慌てて感謝の言葉を伝えようとしていたのに、
杏寿郎くんはこちらの返事を待たず
最後まで言いたいことだけ言って、
嵐のように走り去っていった。
「~~~~~っ!////////」
残された私は恐らく真っ赤に染まっているであろう顔をおさえて
机に突っ伏すしかなかった。
(…もうっ、…熱がぶり返しそうだよ、杏寿郎くん)
いつの間にか変な緊張はほぐれていたが、
余計落ち着かない気分になった澪がそのことに気付くことはなかった。
(…ふぅ、)
制服のタイを締め終え、部屋の鏡で全身をチェックする。
高等部も2年ともなれば、着慣れている制服であるが
今日ばかりは違和感がないかどうか気になってしまう。
「…あらっ、澪。ずいぶん早いのね。」
「うん、何か変に緊張というか…落ち着かなくて。だからちょっと早めに出るね。」
「あら、そう。あんまり無理しないのよ?」
「うん、分かってる。」
いつもの朝より30分以上も早くリビングに顔を出したので
お母さんも驚きの表情を見せながら、気遣ってくれる。
何故、落ち着かないか…と言うと、
今日が久しぶりの登校になるからだ。
先々週、何だか悪寒がするような…と思っていたら
翌日には39度の高熱と関節痛でダウンしてしまった。
病院の診断は「インフルエンザA型」
結果的に、先週1週間はずっと欠席せざるを得ず、
実に10日ぶりの登校である。
(変なの…たった1週間なのに、何だかすごく懐かしい気になるなんて)
キメツ学園の校門を抜け、昇降口まで歩きながら
何でこんな気持ちになるのか少し自分に笑ってしまう。
中等部も同じ敷地内だから、もう5年近く通っているのに。
教室に着いて、自分の席で今日の時間割を確認していると
早すぎた登校のせいで人気もなく、しーんとした教室に
バタバタバタバタッ
と廊下を走る音が、響いてきた。
スパンッ
「っ!?」
「澪っ!おはよう!!」
激しい音と共に開かれた教室のドアを驚いて見つめると
そこには
にぱっ
という効果音が付きそうなほどの満面の笑みで
道着姿の杏寿郎くんがいた。
「久しぶりだな!澪!体調はどうだ!?」
「ぉ、おはよう、杏寿郎くん。体調はもう大丈夫だよ、ありがとう。」
「それは良かった!!」
「杏寿郎くん、朝練は?」
「少しだけ抜けてきた!」
「…、…えっ!?」
“あの”杏寿郎くんが、部活の朝練を抜けてきた!?
「これを君に渡そうと思ってな!澪が休んでいた期間のノートだ!」
「…え、わざわざこれを渡しに?」
「うむ!ではまた後でな!」
「っえ!ぁ、ありがt」
「澪!久しぶりに会えて嬉しい!」
「っ!////////」
今朝、メッセージアプリで“今日から復帰だと聞いたが無理はしないように”と
送ってくれた杏寿郎くんへ
何だか落ち着かなくて早めに家を出たとは返事したけれども
まさか部活動に人一倍熱心な杏寿郎くんが朝練を抜けてまで
わざわざノートを届けに来てくれるだなんて予想もしていなくて。
目を白黒させている間に、
どんどん話を進めて道場に戻ろうとする杏寿郎くんへ
慌てて感謝の言葉を伝えようとしていたのに、
杏寿郎くんはこちらの返事を待たず
最後まで言いたいことだけ言って、
嵐のように走り去っていった。
「~~~~~っ!////////」
残された私は恐らく真っ赤に染まっているであろう顔をおさえて
机に突っ伏すしかなかった。
(…もうっ、…熱がぶり返しそうだよ、杏寿郎くん)
いつの間にか変な緊張はほぐれていたが、
余計落ち着かない気分になった澪がそのことに気付くことはなかった。
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