購買員の見守る恋物語
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購買員の見守る恋物語
「いらっしゃいませー!」
「こんにちは!」
「こんにちは。」
お昼休みの1番忙しい時間帯を終え、
少しまったりとしていた頃合いに何とも目立つカップルがやって来た。
いつも通り元気よく声を掛けると、
それ以上に元気いっぱいの挨拶と、対照的なほど静かで落ち着いた挨拶が返ってくる。
(あ…この2人、ベストカップルの…)
キメツ学園内にある購買で働き始めて、4年が経つ私はすぐに
その子達が数年前の中等部文化祭において
圧倒的得票数を獲得しベストカップル賞に輝いた2人だと気付いた。
確か彼女の方は、ミスコンでも1位になった現在のキメツ学園三大美女の1人でもあったはずだ。
思わず興味津々で見つめてしまう。
目鼻立ちがくっきりしていて、万人が認める美人さんだ。
イマドキらしからぬ、きっちりと規定通りに着ているであろう制服が
清楚さも醸し出している。
その上、女子高生にしてはキャピキャピ(キャピキャピって死語かな…)しておらず
大人っぽいというか…とても落ち着いている。
ただ、表情が柔らかく微笑んでいるので堅苦しかったり、高嶺の花という印象は受けない。
(こりゃあ、モテるはずだわ…)
その辺のアイドルやモデルよりも余程魅力的だ。
そんな女の子と付き合えているなんて、ものすごいラッキーボーイだな彼氏くんの方は…
と思い、男の子の方に目を移すとバチッと音がしたかと錯覚するくらいの勢いで目が合った。
「え!?」
「少しお尋ねするが、残っているパンはこれだけでしょうか!」
挨拶の時も思ったけど、ものすごい声量だ。
ほぼ目の前で話しているからそんなに大きな声を出さなくても聞こえるんだけど…
「…あぁ、そうなんです。もうそれしか残っていなくて…」
「むぅ…そうですか!まぁこの時間だから仕方ないですよね!」
「すみません。」
お昼休みはもう半分が経過している。
パンやおにぎり、サンドイッチなどの商品は午前中から、お昼休みの開始時間で
ほぼ売り切れてしまうため棚にはほとんど商品が残っていない。
残っているのは、焼き菓子に近いような甘い系の菓子パンのみで
目の前のがっしりと鍛え上げられた身体を持つ男の子にとっては
お腹の足しにはならないだろう。
返事をした途端に下がった眉を見て、思わずすみません…と
謝罪の言葉が口から出る。
「いえ!こちらが出遅れただけですので!」
そう言ってその子がニカッと笑うと、一気に親しみやすく感じられた。
しかも、よく見てると所作がすごく綺麗に見える。
良いお家のご子息なのだろうか…?
「杏寿郎くん、…やっぱりもう無かった?」
「澪!あぁ、まぁこの時間だからな!」
結局、彼氏くんの方もまじまじと観察をしていると
奥の方の棚で飲み物を選んでいたらしい彼女の方が、
手に飲み物を持って、戻って来た。
「…どうする?食堂でお蕎麦とか食べる?」
「…ふむ。…間に合わなくは、ないな。蕎麦くらいなら充分食べられそうな時間だが…」
「じゃあ食べておいた方がいいと思うな。部活の時間もたなくなっちゃうよ?」
「では付き合ってくれるか?」
「うん。」
どうやら、これから食堂に行って蕎麦を食べるらしい。
…え、噓でしょ?30分切ってるよ!?
と思いつつ、まぁ男子高校生なら充分な時間なのだろうか…?
「では…お願いします!」
「!?え…き、杏寿郎くん、」
話が決まったところで、彼氏くんの方が彼女の手から飲み物を受け取り
お会計をお願いして来た。
慌てて本職の仕事を全うする。
焦ったように、戸惑う彼女に頓着せずに支払いを終えると
彼氏くんの方はそのまま食堂方面へと向かっていく。
「ちょっと待って!ちゃんと払うよ…っ」
「いい!これから食事に付き合ってもらう礼だ!さぁ急ごう!」
飲み物を受け取ってから、支払うまでの流れがスマートすぎて
この子は本当に高校生だろうか?と思ってしまった。
パタパタと追いかける彼女を連れて去って行く背中に向かって
「いけめんかよっ!!!」と危うく叫んでしまうところだった。
(なるほど…ベストカップル賞は伊達じゃない…)
ほんの数分のうちにその事実を理解し、
あのカップルの行く末まで気になってしまう。
自分は仕事上、購買から出ることはかなわないので
どうか今後もちょくちょく購買に来て欲しいものだ…と思った昼下がりだった。
「いらっしゃいませー!」
「こんにちは!」
「こんにちは。」
お昼休みの1番忙しい時間帯を終え、
少しまったりとしていた頃合いに何とも目立つカップルがやって来た。
いつも通り元気よく声を掛けると、
それ以上に元気いっぱいの挨拶と、対照的なほど静かで落ち着いた挨拶が返ってくる。
(あ…この2人、ベストカップルの…)
キメツ学園内にある購買で働き始めて、4年が経つ私はすぐに
その子達が数年前の中等部文化祭において
圧倒的得票数を獲得しベストカップル賞に輝いた2人だと気付いた。
確か彼女の方は、ミスコンでも1位になった現在のキメツ学園三大美女の1人でもあったはずだ。
思わず興味津々で見つめてしまう。
目鼻立ちがくっきりしていて、万人が認める美人さんだ。
イマドキらしからぬ、きっちりと規定通りに着ているであろう制服が
清楚さも醸し出している。
その上、女子高生にしてはキャピキャピ(キャピキャピって死語かな…)しておらず
大人っぽいというか…とても落ち着いている。
ただ、表情が柔らかく微笑んでいるので堅苦しかったり、高嶺の花という印象は受けない。
(こりゃあ、モテるはずだわ…)
その辺のアイドルやモデルよりも余程魅力的だ。
そんな女の子と付き合えているなんて、ものすごいラッキーボーイだな彼氏くんの方は…
と思い、男の子の方に目を移すとバチッと音がしたかと錯覚するくらいの勢いで目が合った。
「え!?」
「少しお尋ねするが、残っているパンはこれだけでしょうか!」
挨拶の時も思ったけど、ものすごい声量だ。
ほぼ目の前で話しているからそんなに大きな声を出さなくても聞こえるんだけど…
「…あぁ、そうなんです。もうそれしか残っていなくて…」
「むぅ…そうですか!まぁこの時間だから仕方ないですよね!」
「すみません。」
お昼休みはもう半分が経過している。
パンやおにぎり、サンドイッチなどの商品は午前中から、お昼休みの開始時間で
ほぼ売り切れてしまうため棚にはほとんど商品が残っていない。
残っているのは、焼き菓子に近いような甘い系の菓子パンのみで
目の前のがっしりと鍛え上げられた身体を持つ男の子にとっては
お腹の足しにはならないだろう。
返事をした途端に下がった眉を見て、思わずすみません…と
謝罪の言葉が口から出る。
「いえ!こちらが出遅れただけですので!」
そう言ってその子がニカッと笑うと、一気に親しみやすく感じられた。
しかも、よく見てると所作がすごく綺麗に見える。
良いお家のご子息なのだろうか…?
「杏寿郎くん、…やっぱりもう無かった?」
「澪!あぁ、まぁこの時間だからな!」
結局、彼氏くんの方もまじまじと観察をしていると
奥の方の棚で飲み物を選んでいたらしい彼女の方が、
手に飲み物を持って、戻って来た。
「…どうする?食堂でお蕎麦とか食べる?」
「…ふむ。…間に合わなくは、ないな。蕎麦くらいなら充分食べられそうな時間だが…」
「じゃあ食べておいた方がいいと思うな。部活の時間もたなくなっちゃうよ?」
「では付き合ってくれるか?」
「うん。」
どうやら、これから食堂に行って蕎麦を食べるらしい。
…え、噓でしょ?30分切ってるよ!?
と思いつつ、まぁ男子高校生なら充分な時間なのだろうか…?
「では…お願いします!」
「!?え…き、杏寿郎くん、」
話が決まったところで、彼氏くんの方が彼女の手から飲み物を受け取り
お会計をお願いして来た。
慌てて本職の仕事を全うする。
焦ったように、戸惑う彼女に頓着せずに支払いを終えると
彼氏くんの方はそのまま食堂方面へと向かっていく。
「ちょっと待って!ちゃんと払うよ…っ」
「いい!これから食事に付き合ってもらう礼だ!さぁ急ごう!」
飲み物を受け取ってから、支払うまでの流れがスマートすぎて
この子は本当に高校生だろうか?と思ってしまった。
パタパタと追いかける彼女を連れて去って行く背中に向かって
「いけめんかよっ!!!」と危うく叫んでしまうところだった。
(なるほど…ベストカップル賞は伊達じゃない…)
ほんの数分のうちにその事実を理解し、
あのカップルの行く末まで気になってしまう。
自分は仕事上、購買から出ることはかなわないので
どうか今後もちょくちょく購買に来て欲しいものだ…と思った昼下がりだった。