赤錆の連繋
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煉獄さんの訃報を伝えに行った日、千寿郎君からお願いされた通り
その後は任務の際など出来得る限りで「澪さん」の居場所を探した。
ずっとそうして来たから、その名前にすぐに体が反応するようになった。
まぁ、これまでその名前の人に出くわしたとしても、悉くが煉獄さんどころか
鬼も鬼殺隊も知らない人だったんだけど…
何か強い予感を感じて、声の方向を必死に探す。
「女将さん、お久しぶりです!動いている方が気が紛れるから大丈夫ですよ。」
「そうは言っても心配だよ…しばらくは御用聞きに行ってあげるから家で大人しくしていた方が良いよ?」
「…まぁそんな贅沢な。ふふふっ」
いた!あそこだ!
目を向けた先には、八百屋の店番の女性とにこやかに話している女の人がいた。
フワッ…
あ…、この香りは。
「あのっすみませんっ…!」
「「?」」
「…えっ!?!?」
走りながら勢い込んで声をかけると、女性たちがこちらを振り返った。
と同時に、その事実に気付いて驚く。
その女の人は、今にも産まれそうなほど大きなお腹を抱えていて、振り返る動作も少しゆっくりだったから。
ど、どどどどういうことだ!?身重だってことは煉獄さんの「澪さん」とは別人だってことだよな!?
…いや、だけど…この匂いは!!
勢いよく声をかけたわりには、二の句が告げられずに固まる俺の全身を
八百屋の女将さんがなめまわすように見て、腰元の日輪刀に気付くと眉をひそめた。
「あんた一体何者だい?」
「あ、いや俺は…その…っ」
「…鬼殺隊の方ね?これから任務かしら?」
女将さんの詰問にしどろもどろになっていると、穏やかな笑顔のまま、その人が言う。
「あら。でもお怪我を…ということは、今、少しお時間ある?」
「!…はい、任務中ではありません!」
「そう。それなら…女将さん、これとこれと、あとはあちらを頂ける?」
「は?あぁもちろん構わないけど、少し重くなるよ。後で家まで届けようか?」
「いいえ。大丈夫です。今、持ち帰ります。」
「いや、だけど澪ちゃんそのお腹で…」
「お腹の中でもこれほど大きく育っているのだもの。きっと大きく産まれてくるわ。だから今から腕も鍛えておかないとね。それに…お怪我に支障ない程度で、こちらの方がお手伝い下さるわ。」
「「…えっ!?」」
「さ!行きましょう!」
女将さんから受け取った品物の3分の1、しかも1番軽そうな品物を入れた風呂敷を
その人はテキパキと俺の上体に括り付けると、話は終わりとばかりに歩き出す。
「ちょっちょっと待ちな、澪ちゃん!あんた、この怪しい子を家に連れていくつもりかい!?あたしは反対だよ!何かあったらどうするんだ!」
「ちょっと待って下さい!そちらの荷物も俺が持ちます!!」
「大丈夫!さぁさぁ、置いていきますよ!」