甚三紅の想紅
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『こっちのレヱスは半襟にも使えるから』云々と
更なる商品説明を始めたご主人を遮り、
手近なお店に杏寿郎さんをぐいぐいと引っ張り込むと
くどくどと注意をする。
「大体、杏寿郎さんは思い切りが良すぎると言うか…極端なのです。」
「嬉しくなかったか?」
「う、…お気持ちはありがたいと思ってますけども!限度という物があるのです!!」
「嬉しいことや幸せなことに限度など不要だ!」
「…もうっ!」
「さて、そろそろ千寿郎が戻る頃合いだ。“空也”の最中でも土産に買って帰ろう!」
短すぎる休息だったが、
もう帰ると言うのであれば良いか、と
店を出て歩いていると
「あらあら、まぁ清らかで可愛らしいお嬢様ですこと。うちの紅をお付けになったらより素敵におなりよ。どうぞ見ていって。」
と声を掛けられる。
「それは良い!女将、一つもらおう!」
「杏寿郎さん…っ!」
先ほど言ったことがやはり少しも伝わっていない。
とりあえず止めるべく、
怪我をしていない方の袖を引く。
「あはは!これは気風の良い旦那様だね。」
「光栄だ!女将、すまないが澪に似合いの色を選んでくれないか?」
「お安い御用さ。…さて、お嬢様は抜けるように色が白いからこれなんかが最適さね。」
「では、それを!」
「はいよ。せっかくだから包む前に、付けていくかい?お嬢様。」
「え、ちょ…あのっ…」
「そうだな!是非付けてもらうと良い、澪!」
あぁもう…どちらも全然話を聞いてくれない…
口を挟む余裕すらないまま、
奥で女店主に紅を付けてもらう。
普段紅を付ける機会など無いというのに、
これはどうしたら良いのだろう…
「…うん、やっぱり映えるね!綺麗だよ、お嬢様。」
「あの…ありがとうございます。」
「さぁ、どうかな旦那様!似合っているだろう?」
「っ…//////」