甚三紅の想紅
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ぽかん、としている間に
どんどん話が進められ、やって来たのは
銀座だ。
「ん?前に来たときはあのような店は無かったな!覗いていくか!」
怪我をしているのに遠出なんて…と
難色を示す私に、
『逢引に付き合ってくれないなら、やはりここらを一走りだな!』
と(私にとっては)脅し文句のような台詞を言って
黙らせた杏寿郎さんはやけに楽しそうに、
無事な左手で握った私の手を引く。
杏寿郎さんにとっては脅している認識など無く、
ただ単に私が断ったら本当に鍛錬へ向かうという意味だったとは思うが…
楽しそうな様子を見ていると、
やはり脅したのだろうか?と疑わしくなってくる。
「ふむ、ではそれを頂こう!」
「!?」
ぎょっとして杏寿郎さんの方を見ると、
その手には、細やかなレヱスのリボンが握られている。
「き、杏寿郎さんっ!」
「ん?なんだ、気に入らないか?」
「そうではなくて、そのような高価な物を!」
驚くほどの手の込んだ繊細な意匠だ。
だからこそ、その値段がおおよそながら分かってしまう。
実家を離れて長いが、元は商家の娘である。
「せっかく粋な恋人が買ってくれるって言ってるんだ、そこはありがとうと素直に受け取ったらどうだい?お嬢さん。」
「うむ!実際には俺は無粋な人間なのだが!受け取ってくれると嬉しい!」
(これが今日初めてのお買い物でしたらそうしますとも!!!)