甚三紅の想紅
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時を遡ること数時間前―
「ごめんくだせぇ!三河屋ですー!」
「三河屋のおじ様!」
「おぉ、澪ちゃんかぃ久しぶりだねぇ!」
「ご無沙汰しています。…今日はどうなさったの?」
「いやぁ、この近くに届け物に来たついでに御用聞きにね。何か足りない物はないかい?」
「何かあったかしら…?」
頭の中で考えても答えが出なかったので、
勝手口から土間に入ってもらい
私が台所で確認をしている間、
三河屋のおじ様には上がり框で座って待って頂くことにした。
「うーん…お味噌はこの前頂いたばかりですし…」
「はは!こうして台所にいる澪ちゃん見てると、すっかり煉獄家の奥様だなぁ!」
「…何を仰るの、三河屋のおじ様ったら。」
「もう澪ちゃんも十五過ぎただろう?早いとこ杏ちゃんに花嫁さんにしてもらいな!おじさんは早く幸せな澪ちゃんが見たいなぁ!」
「…。」
えーと…。
…苦笑いをしながら、おじ様の方を振り返ったら
おじ様の背後、遥か遠方にこちらを凝視する杏寿郎さんが見えた。
(す、すごい見てます!これは私、どう答えるのが正解ですかっ!!)
だいぶ離れた場所にいるけど、あの顔は絶対聴こえてます…
と、苦笑いのまま固まって、
だらだらと冷や汗をかいていると
三河屋さんが
「特に入り用の物が無さそうであれば、また店においで」
と言って立ち上がった。
慌てて、
「わざわざ寄って頂いたのにすみません…。」
と謝りながらお見送りに出る。
「…澪!」
「っひゃあ!」
三河屋さんを見送った後、勝手口から台所へ戻ると
先ほど三河屋さんが座っていた上がり框に
杏寿郎さんが立っていた。