青鈍の光
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「…。」
「目が覚めたか?」
次に起きた時には、
本当に闇の中であった。
いつの間にか、日が落ちたようだ。
だが、部屋の中には煌々と灯りがともされ、
俺の手は未だ、
俺を闇からすくい上げてくれてその人に繋がれたままで
だからこそ俺は未だ光を感じることが出来て
ほっと息を吐いた。
「気分はどうだ?どこか痛む箇所などはあるか?」
「…。」
問いかけには首を振って応じる。
身体の怠さはあるが、痛む箇所はなかった。
「そうか。お前は、昼に倒れ今まで眠っていたのだ。勝手ながら医者にも見せたが、問題は無かろう、と。」
昼の苦しさを思い出し、
一瞬だけぐっと胸が強張ったが
その瞬間に、繋がれた手にもぐっと力が込められ
そちらに意識がいったおかげで胸の強張りはすぐに解けた。
「…何の説明もなく、いきなりすまなかったな。先日も名乗ったが、俺は鬼殺隊炎柱、煉獄槇寿郎。ここは俺の住まいだ。」
あぁ、そうだった。
あの夜にも、この人はそう名乗っていた。
いろいろなことが起こりすぎて、
名を記憶出来てはいなかったが。
「昼に門前で会ったのは、俺の息子だ。上が杏寿郎、下が千寿郎と言う。今年で十三と四つになった。」
年下だったのか…。
体の大きさ、骨の太さ、すべてが自分より力強く見え
年上のように見えたなと思った。
「…、そしてその後に出てきたのが澪だ。」
がちん、とまた体が強張り、
少し震えも来た。
再び、繋がれた手にぐっと力が込められ
ここで初めて天井に向けていた視線を
煉獄槇寿郎へと向ける。
その力強い視線に、
あの夜に見た赤く燃える炎を思い出し、
再び強張りが融ける。
だが、震えは未だ治まらない。
「…澪は、杏寿郎の許婚で、俺の義娘だ。そして…今は臥せっておるが、この家にはもう一人俺の妻がいる。それで全員だ。」
「…。」
「…妻は、自分の部屋から出ることは無い。澪にもこの客間には近付かぬよう申し付けておいた。だからこの客間にいる間だけは何も心配せずとも良い。良いか?」
こくん、と首を縦に振る。
男が三人、女は二人
この部屋から出なければ、脅かされることはない。
「客間だけにいろというわけではないからな。外に出れば澪に出くわす可能性はあるが、家の中は好きに使え。分かったか?」
再び頷く。
昼のことを考えれば、部屋を出るのは
得策ではないと理解した。