長春の告白
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「あの…」
「どうしてっ…何で貴女のように、何の力も持たない人がっ、」
とりあえず、意図して黙っていたわけではないということを伝えて
誤解させてしまったことを謝ろうと声を掛けようとするも
興奮した彼女に遮られてしまう。
「そんな人、煉獄さんに相応しくないわ!…鬼殺隊士だったら、…私だったら!煉獄さんの力になることができるもの!それなのにっ…!」
「…。」
ぎりっ
そう音がしそうなほど強い視線を向けられ、
そして、彼女の言う事も最もだと感じてしまって、怯む。
着替えを手伝った時に見た、彼女の身体に刻まれた無数の傷。
手の皮の厚み。
きっと血を吐くような思いと努力によって、
彼女は闘い、その力を身に付け、
そうして杏寿郎さんに出会った。
それなのに、何の力も持たず
実際に鬼を見たことすらない私が
杏寿郎さんの横にいることを知ってしまって
やりきれない想いなのだろう。
その気持ちはよく理解できるし、
彼女の言う通り
彼女なら杏寿郎さんに危険が迫った時に
杏寿郎さんを守ることだって出来るだろう。
先日、そうしたように。これからだって…
そう思って私は黙り込んでしまったのだが、
その次に彼女が放った言葉には瞬時に声を返す。
「貴女のような人、煉獄さんだって負担に思っているわ!」
「…っやめて!」
「!?」
「…私のことはどのように仰っても構いません。ですが…杏寿郎さんのことを侮るのは止めて下さい。」
「なっ…私がいつ、」
「確かに私は、杏寿郎さんに庇護され、守られてばかりの存在です。けれど、杏寿郎さんはそんなことを負担に思うような人じゃありません!」
「なに言って…っ」
「杏寿郎さんは、誰かを守り、そのために力を尽くすことを負担に思ったりするような、そんな人じゃありません!杏寿郎さんのことを侮辱しないで!」
「っこの…!」
「!?…っ」
バシンッ
彼女が放った言葉が許せなくて、言い返してしまった私に向かって
興奮した彼女が大きく手を振り上げたのが見え
私は咄嗟に両腕を顔の前に交差して身を守ろうと身体を捩った。
直後、大きな打擲音がしたが
私に痛みは一向に訪れない。
恐る恐る目を開けた私の目の前には、焔色の髪が揺れている。
「杏寿郎さんっ」
「れ、煉獄さん…!」
私と、彼女の間に身体を入れた杏寿郎さんは、
振りかぶった彼女の手の首を、掴み取っていた。