蘇芳の導き
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蘇芳の導き
「はぁっ…、はぁっ…、…っ!く、…はぁっ…、」
乱れる息が戻らない。
上手く全集中の呼吸が続けられない。
…今日は、ここまでか、と観念する。
煉獄家所有の山中にある、修行場。
ここ一帯だけは岩場になっており、炎の呼吸の技を放っても
山火事などが起こる心配もない。
かつては父に連れてきてもらったこの地も、
今は一人で来るだけになった。
母上が亡くなってから、半年と少し。
父上は任務に出られる以外、自室に引きこもり
歴代炎柱の日記などの書物を読みふけっておられるようだった。
鍛錬もなさらず、稽古も付けてくれなくなった。
母を喪った哀しみがまだ癒えないのだろう。
俺は炎の呼吸の指南書を元に、己のみで鍛錬に明け暮れている。
母上との約束守るため。
そして、俺に見込みがあると思えば
父上が未来を見ることを思い出し、
また稽古を付けてくれるようになるやも知れぬと
そう、期待しているからだ。
しかし、誰からも伝授してもらうこともなく
たった一人で続けるこの修業は
少しも目に見える成果が生まれず
ただただ日々が過ぎ去っていくように感じた。
やはり、独学で指南書だけを頼りに
技を習得しようなどというのは、無理な話なのだろうか…
だが、炎柱である父上がいらっしゃるのに、
他の炎の呼吸の使い手や育手の元に行き
稽古を付けてもらうことも出来まい。
息を整えながら、
そのように考えても詮無いことを
ぐるぐると思い巡らせていると
陽はすでにだいぶ傾いてしまっていた。
「…いかん、夜が来るまでに戻らねば。」
父上はここ数日任務で不在にしている。
家には、澪と千寿郎だけだ。
夜が近付く中、二人では不安だろう。
急いで帰らなければ…
整えた呼吸をまた、乱れて途切れていた
全集中の呼吸へと戻し
家路を全速力で駆け戻った。
「はぁっ…、はぁっ…、…っ!く、…はぁっ…、」
乱れる息が戻らない。
上手く全集中の呼吸が続けられない。
…今日は、ここまでか、と観念する。
煉獄家所有の山中にある、修行場。
ここ一帯だけは岩場になっており、炎の呼吸の技を放っても
山火事などが起こる心配もない。
かつては父に連れてきてもらったこの地も、
今は一人で来るだけになった。
母上が亡くなってから、半年と少し。
父上は任務に出られる以外、自室に引きこもり
歴代炎柱の日記などの書物を読みふけっておられるようだった。
鍛錬もなさらず、稽古も付けてくれなくなった。
母を喪った哀しみがまだ癒えないのだろう。
俺は炎の呼吸の指南書を元に、己のみで鍛錬に明け暮れている。
母上との約束守るため。
そして、俺に見込みがあると思えば
父上が未来を見ることを思い出し、
また稽古を付けてくれるようになるやも知れぬと
そう、期待しているからだ。
しかし、誰からも伝授してもらうこともなく
たった一人で続けるこの修業は
少しも目に見える成果が生まれず
ただただ日々が過ぎ去っていくように感じた。
やはり、独学で指南書だけを頼りに
技を習得しようなどというのは、無理な話なのだろうか…
だが、炎柱である父上がいらっしゃるのに、
他の炎の呼吸の使い手や育手の元に行き
稽古を付けてもらうことも出来まい。
息を整えながら、
そのように考えても詮無いことを
ぐるぐると思い巡らせていると
陽はすでにだいぶ傾いてしまっていた。
「…いかん、夜が来るまでに戻らねば。」
父上はここ数日任務で不在にしている。
家には、澪と千寿郎だけだ。
夜が近付く中、二人では不安だろう。
急いで帰らなければ…
整えた呼吸をまた、乱れて途切れていた
全集中の呼吸へと戻し
家路を全速力で駆け戻った。