藤紫の覚悟 -side主人公-
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「ですが、私は煉獄家(ここ)を出ていきません。」
「!」
「私はとうに、選んでおります。杏寿郎さんの傍で生きることを。」
あなたが、その道を選ぶと決めたように。
「鬼狩りの務めの役割も、煉獄家の使命も、杏寿郎さんが誰かのために力を尽くす御人であることも、理解した上で私はここにいるのです。」
目を見開いてこちらを見つめる杏寿郎さんに、
はっきりとそう告げる。
私の覚悟を見せるために。
「…澪は、強い女性なのだな。」
杏寿郎さんがそう言って、
眩しそうに目を細める。
私が、このように強い覚悟を持って
しっかりと立っていられるのは、
あの日、お義母様から頂いた言葉があるからだ。
杏寿郎さんが、母の言葉が指針になっているように、
私にとってもあの言葉が指針になっているのだ。
「当り前です。だって私は、瑠火様の義娘なのですから。」
「!…はははっ!そうか、そうだな!」
ようやく、あの太陽のような笑顔が戻った。
「すまなかった。もっと早く君と話をしておくべきだったな。」
「私も、まさか杏寿郎さんがそのような事を考えていたとは思わず…もっと早くお聞きしていれば良かったと思いました。」
許婚を解消して、家を出る
それが、私のことを厭うているからなのであれば
従わざるを得ないと思っていたけど
先ほどの話を聞いて、
私のことを大切に思って下さっていることが分かったから
恐れずにもっと早く聞いておけば良かったと心から思った。
「これから澪にはすべてを話すことにしよう!澪は俺の隣で歩む女性だからな!」
「…そうですね。私もこれからはもっとお話をするようにします。」
初任務で破れた鼓膜がもし回復しないようなものだったら
鼓膜ではなく、命に関わる損傷だったら
仮定ばかりを考えることはしたくないが
もしそうだったら私は、杏寿郎さんが何故
『何処に居ても誰と居ても上手くやっていけるだろう』などと
言い出したのか、知らぬままになってしまうところだった。
私の想いや覚悟を、私の口からお伝え出来なくなってしまうところだった。
だから、杏寿郎さんの言うように、
私もこれからは思ったことを全て伝えるようにしよう。
後悔はしないように。
私は、杏寿郎さんを支えるわけではなく、
杏寿郎さんの隣で、しっかりと立ち
同じ方向を見て歩いていくのだから。
藤紫の覚悟