藤紫の覚悟 -side杏寿郎-
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「当り前です。だって私は、瑠火様の義娘なのですから。」
微笑みながらそう言う澪に、
よもや俺の考えていたことが分かったのかと驚きつつも
得心する。
幼き頃から澪は母上が憧れだと言っていたし、
母上も許婚になる前からずっと澪のことを可愛がり
慈しんでいた。
俺の中に、母上から頂いた言葉が
息づいているように、
澪の中にも、母上は息づいている。
自然と笑顔になりながら、
もっと早く気付くべきだったなと反省する。
澪がこれほどの覚悟を持って
自分の隣にいることを選んでくれていることを知らず
誤った覚悟を持ってしまった。
「これから澪にはすべてを話すことにしよう!澪は俺の隣で歩む女性だからな!」
「…そうですね。私もこれからはもっとお話をするようにします。」
俺が鬼殺隊に属し、任務に邁進する以上
澪にはいくつもの不安な夜を過ごさせることになるだろう。
澪を遺し、先に逝くことだってあるだろう。
一緒に過ごせる時間は、普通の人より少ないかもしれない。
だからこそ、後で悔いないように
一緒に過ごせる時間をこれまでより、
より一層大切にしよう。
才能がなくとも、なりたい自分になるための努力や
誰かのために力を尽くしたいという心映えに
価値があるように、
例え俺と澪の結末が死によって分かたれ
人よりも限られた時間しか一緒に過ごせなくとも
共に歩む、その時間を
価値あるものにすればよいのだから。
藤紫の覚悟