藤紫の覚悟 -side杏寿郎-
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「お話は、分かりました。」
そう言って、静かにこちらを見返す澪が
俺の知らぬ女性のように感じた。
「ですが、私は煉獄家(ここ)を出ていきません。」
「!」
「私はとうに、選んでおります。杏寿郎さんの傍で生きることを。鬼狩りの務めの役割も、煉獄家の使命も、杏寿郎さんが誰かのために力を尽くす御人であることも、理解した上で私はここにいるのです。」
滔々と語るその姿は、
『杏寿郎兄さま』と俺を呼んでいた
幼き少女ではなかった。
思えば俺はずっと、
日々あんなにも澪に支えてもらいながら
それでもやはり“守るべき存在”として
澪を見ていたのかも知れない。
今、目の前にいるのは
庇護するだけの存在ではなく、
一人の立派な女性なのだ。
「…澪は、強い女性なのだな。」
それほどまでに、強い覚悟を持って、
ずっと傍にいてくれた。
年下であろうが、尊敬すべき強き女性だ。
まるで、母のように。