藤紫の覚悟 -side杏寿郎-
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藤紫の覚悟 -side杏寿郎-
「では、行ってくる!」
「…はい。杏寿郎さん、行ってらっしゃいませ。」
「兄上!お気を付けて!!」
母上が亡くなってから、三年。
ついに俺は、最終選別のため、澪と千寿郎に見送られ
藤襲山へ向かった。
ここに来るまで、三年もかかった。
父上は母上が亡くなって以降、部屋に篭りがちになり
稽古を付けてくれることはなくなってしまった。
だから炎の呼吸は、指南書を元に自分で学ぶしかなく
会得するまでにかなりの時間を要してしまった。
ようやく、すべてを何とか扱えるようになったため、
俺はこの場にやって来た。
遠く微かに藤の花の匂いがする。
七日間行われる最終選別ももう、五日を過ぎた。
夜には鬼を狩り、夜明けと共に仮眠をする。
起きて、山の中で食物を調達し、腹を満たす。
そうして日が暮れ、また鬼を狩る。その繰り返しだ。
だが、五日も経てば日中の時間帯に多少なりとも余裕が生まれ、
思考の沼に落ちるようになる。
普段なら、考えても詮無いことと深く考えないようにしている想いが
次から次へと溢れてくる。
何故、父上は稽古を付けてくれなくなったのか
父上が言うように、俺や千寿郎には才能がないのだろうか
あれほど優しかった父が、俺や千寿郎だけでなく
澪にまで冷たくあたるのは何故なのか
…どうすれば父上は以前のように戻ってくれるのだろうか
考えても答えは出ない。
だが、答えは出ずとも、日が暮れれば鬼は出る。
鬼が出れば、考える必要もなく、身体が動き、鬼を狩る。
そうしてその日の夜も過ぎた。
「では、行ってくる!」
「…はい。杏寿郎さん、行ってらっしゃいませ。」
「兄上!お気を付けて!!」
母上が亡くなってから、三年。
ついに俺は、最終選別のため、澪と千寿郎に見送られ
藤襲山へ向かった。
ここに来るまで、三年もかかった。
父上は母上が亡くなって以降、部屋に篭りがちになり
稽古を付けてくれることはなくなってしまった。
だから炎の呼吸は、指南書を元に自分で学ぶしかなく
会得するまでにかなりの時間を要してしまった。
ようやく、すべてを何とか扱えるようになったため、
俺はこの場にやって来た。
遠く微かに藤の花の匂いがする。
七日間行われる最終選別ももう、五日を過ぎた。
夜には鬼を狩り、夜明けと共に仮眠をする。
起きて、山の中で食物を調達し、腹を満たす。
そうして日が暮れ、また鬼を狩る。その繰り返しだ。
だが、五日も経てば日中の時間帯に多少なりとも余裕が生まれ、
思考の沼に落ちるようになる。
普段なら、考えても詮無いことと深く考えないようにしている想いが
次から次へと溢れてくる。
何故、父上は稽古を付けてくれなくなったのか
父上が言うように、俺や千寿郎には才能がないのだろうか
あれほど優しかった父が、俺や千寿郎だけでなく
澪にまで冷たくあたるのは何故なのか
…どうすれば父上は以前のように戻ってくれるのだろうか
考えても答えは出ない。
だが、答えは出ずとも、日が暮れれば鬼は出る。
鬼が出れば、考える必要もなく、身体が動き、鬼を狩る。
そうしてその日の夜も過ぎた。