躑躅の純真
お名前の設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「…蜜璃さん、お話してくれてありがとう。」
澪が、泣き続ける蜜璃の背中をさする。
「力が強いことを隠しているのに、今日私を助けて下さったことも…本当にありがとう。」
「…っく、あの時はっ…とにかく助けなくちゃ…って」
「えぇ、蜜璃さんはとても優しいのね。」
「本当はっ…この力を使って、人の役に立てることがあるんじゃないかって…っふ、ぅ…ずっと思ってたの。だから…っ、だから私っ、鬼殺隊に入りたい…っ。」
「!」
「どうすれば入れるのか、教えてくれませんか…っ?」
「…杏寿郎さん。」
「うむ!自らの力を人のために役立てたいとは素晴らしい考えだ!良いだろう、俺が稽古をつけてやろう!」
「!?い、良いんですかっ?」
「あぁもちろんだ!さっそく明日から共に鍛錬をしよう!これから君のことは甘露寺と呼ぶから君は師範と呼ぶといい!」
「…よろしくお願いしますっ師範!!…あ、でも…。」
蜜璃は涙をおさめ、花が咲いたように笑ったが
すぐにまた、その顔を曇らせる。
「蜜璃さん…?」
「きっと今の縁談は破談になってしまうわよね…。」
「…ねぇ、蜜璃さん。私は、嘘の蜜璃さんを好きな方ではなく、優しい本当の蜜璃さんを好きになって下さる方と結婚して欲しいわ。」
「そ、そっ…そんな人、いるかしら…っ?/////」
「絶対居るわ。だって、こんなに優しくて明るい素敵な女性だもの。」
「でもっ…今は黒く染めているけど…私の本当の髪の色なんて…。」
「…澪!」
「はい?」
「君は俺のこの髪の色を嫌だと思ったことはあるか!」
「…えっ!?」
突然、自分の髪のことを澪に尋ねる杏寿郎に
蜜璃は驚く。
(えぇえええぇ~~~~っ/////この瞬間にそんなことを聞くなんてっ、煉獄さん…師範は澪さんのことがお好きなのかしらっ/////)
「まぁ…まさか。そんなこと一度も思ったことありませんよ。」
「えっ…!?/////」
「ふむ!では、俺の髪が…そうだな…あそこに咲いている躑躅色だったとしたらどうだ!」
「…ふふっ(笑)それは華やかで隊服に映えそうですね…それはそれで素敵だと思いますよ。」
「…えぇっ!?/////」
(素敵って!澪さんも師範のことをお好きなのねっ!?相思相愛なのねっ!?きゅんきゅんしちゃうわ!!/////)
「そうか!…と、いうことだ甘露寺!髪の色を問題にしない人は必ず見つかるから心配しなくていいぞ!」
「あ、あああああの師範っ!」
「なんだ!」
「師範と澪さんって…っ!?」
「許婚だな!」
「っ!?い、許婚!す、素敵だわ…っ!!//////」
「そういえば説明してませんでしたね…。」
「ねっねぇ、澪さん!どうやっていつ出会ったの!?いつご結婚なのっ!?」
「み、蜜璃さんっ!落ち着いてっ…」
「はははっ!俺の髪ではなく、甘露寺の頬の方が躑躅色だな!!」
その後、澪がすでに煉獄家で生活をしていると知った時も
蜜璃が初めて稽古のために煉獄家を訪れた際に
本当の髪色を「春のように温かい色で素敵ね」と澪に言われた時も、
初めて杏寿郎の強さを目の当たりにした時も、
蜜璃はときめいて、頬を何度も躑躅色に染めることになる。
ただ、蜜璃が一等頬を躑躅色にするのは、
澪と杏寿郎の何気ないやり取りで二人の絆を目にする時と
髪の色どころか蜜璃のすべてを受け入れてくれる、
とある男性と一緒にいる時だった。
だが、今はまだ、誰もそれを知らない。
躑躅の純真