躑躅の純真
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「ぇえ、…ぃね。…のょ…、…とぅ。」
「…。」
「…!目が覚めましたか?貴方、大丈夫…?」
「…え!わたし…っ、…こ、ここは…?」
蜜璃が意識を取り戻すと、
蜜璃は柔らかな布団に寝かされていて
横にはあの助けた少女が綺麗な姿勢で座り
こちらを心配そうに覗き込んでいた。
「ここは…えぇと…私たちを助けて下さる方のお宅です。貴方、倒れたのよ。今の気分はいかがです?」
「だ、大丈夫です!」
「(ホッ)私は、瀬尾澪。町中で貴方に助けて頂いたの。覚えているかしら?」
「澪、さん…。私は甘露寺蜜璃って言います。あの…怪我とかはないですか?」
「蜜璃さん。助けて下さって、本当にありがとうございました。お陰様で、私はかすり傷ひとつないわ。」
そう言って微笑む澪を見て、蜜璃は頬を染める。
忌まわしいだけだった自分の力が誰かの役に立てた
という事実が嬉しかった。
「良かったわ!でも、逆に私の方が迷惑をかけてしまって…ごめんなさい。」
「そんな…」
「ここまではどうやって…澪さんが運んでくれたんですか?」
「あぁいえ、その…ちょうど知り合い…の方、と行き合ったのでその方にお願いしたのです。」
「知り合いの方…?」
「あ!もちろん女性の方だから、心配しないで下さい!」
「それは…その、お気遣い頂いてありがとうございました。でも女性の方が私を…?」
蜜璃は、女性にしては大柄なため
自分を女性が運んだという事実に驚く。
「えぇ、その…」
「…瀬尾さん、失礼します。先ほど依頼の件、完了しましたので我々はこれで。」
「あぁ、ちょうど良かったわ。入って下さい。…蜜璃さん、あの方が蜜璃さんを運んで下さった方です。」
「!」
そう言って澪が示した先に居たのは、
目元以外を隠した全身黒装束の小柄な女性だった。
その格好と、小柄な身体に蜜璃は目を見張った。
どう見ても蜜璃より小柄な体型だったからだ。
「え!あの人が私を!?…はっ!!し、しのび!?忍びの方なんですかっ!?!?私、初めて見ましたっ!!」
「!?い、いえ、私は忍びではなく隠で…っ」
「!?…ふ、…ふふふっ(笑)」
「…カクシ…?」
「…瀬尾さん!笑っていないでご説明を…っ」
「ふっ…ご、ごめんなさい…っ!ふふふっ…(笑)」
「あのっ…忍びの方じゃなかったんですね…勘違いしてしまってごめんなさい。それと!私を運んで下さったと聞きました!ありがとうございます!重かったでしょう?」
「いえ…我々は鍛えておりますので。」
「鍛えて…?」
「無事に目覚められて良かったです。急に倒れられたようですが、もう大丈夫なんですか?その…何か持病が?」
「いえ、違いますっ!その…っ」
ぐぅううううぅぅぅううう~~~~~
「きゃあっ/////」
病気ではなく空腹で…と答えようとした蜜璃のお腹が
“空腹”という言葉を思い浮かべたことで
そうだった空腹だったのだと思い出したように大きく鳴り、
蜜璃は恥ずかしくて赤面する。
「まぁ…空腹でいらっしゃったのですね。」
「帰りがてら家の者に食事の準備を依頼して行きましょう。」
「そんな…っ、そこまでご迷惑をかけるわけには…っ」
「いえ、助けて頂いた御礼と思って、ぜひ。…お願いしますね。」
「承知しました。では、私はこれで。」
「あのっ…本当に、ありがとうございました!」
ペコリ
全身黒装束の女性はお辞儀をして部屋から立ち去っていった。